山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

室町椿

2009-01-28 22:24:43 | 植物(木本)
室町時代と言えば、南北朝合一(1392)から織田信長による

征夷大将軍、足利義昭の京都からの追放(1573)までの凡そ180年間を指します

平成の今から数えると400~600年ぐらい前ということになるのでしょうか。

そんな時代に生まれた種子が、600年もの長い眠りから覚めて現代に蘇ったとしたら

これはもう奇跡としか言いようがないでしょう


 この椿の種子は1997年2月、平等院鳳凰堂の後背部庭園を発掘中に、室町時代に積もった

池底の泥から出土しました。宇治市教育委員会で、土器などの出土品と一緒にパックに封入して

保管していたところ、種子が発芽しているのが発見されました。

この種子を平等院の依頼で宇治市植物公園が預かることになり、実生株と危険分散のため平等院の許可を得て

山茶花の台木に接ぎ木した株を同公園で管理してきました。

山茶花の台木に接ぎ木で育てた株が2003年4月に初開花、それ以来、毎年花を咲かせています。

一方、実生株は地植えできる大きさにまで育ったので、平等院へ戻されています。

数年後には、この実生株での開花が平等院で見られることでしょう。



室町椿・・・原種ヤブツバキの一種と思われますが、普通種に比べ花は大輪で葉もしっかりしている様です 
(写真の花は宇治市植物公園で管理されている接ぎ木株で開花したものです)


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ホオジロ

2009-01-27 22:45:53 | Weblog
ホオジロはスズメに似た鳥ですが、白い顔が黒い帯で上下に仕切られた様な特徴のある顔と

少し長い尾羽で見分けがつきます。

草原の鳥というイメージが強く、非繁殖期には、地上を跳ね歩いて種を食べ、それ以外は低木や

背の高い草の茂みに潜んで、外敵から身を隠し、高木へはあまり行きません。

しかしこの時期は少し違った事情があるのか、10m近くあるタチヤナギの梢に5~10羽の集団で

過ごしています。  ひょっとして春の繁殖期を前に、パートナーを探しているのかも知れませんが

よく分かりません。 春になり繁殖期を迎えると、主に昆虫を食べ、ツガイで縄張りを張ります


ホオジロ <スズメ目 ホオジロ科>


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ニシキマンサク(錦満作)

2009-01-25 19:28:02 | 植物(木本)
マルバマンサクの内、花弁の中心部が暗紅色をしているものを

ニシキマンサクと呼んでいます。

自生地は、北陸地方の福井から富山にかけての地域限定種

この写真のニシキマンサクは植栽されているものです


ニシキマンサク <マンサク科 マンサク属>


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マンサク(満作)

2009-01-23 22:37:04 | 植物(木本)
早春の花、マンサクのリボンの様な花弁が顔をのぞかせています

マンサクにも色々あるようですが、この花の色を見ると

マルバマンサクの一種、アカバナマンサクだと思います。

マンサクの名前の由来は、早春に山でいち早く咲くところから

「先ず咲く」これが訛って「マンサク」となったという説と

普通のマンサクが黄色い花を枝いっぱい咲かすので

「豊年満作」が縮まって「満作」となったとする二つの説があります。

花弁は1~1.5㎝と小さいながらも、リボンが絡まったような

特徴のある形が目を引きます



アカバナマンサク <マンサク科 マンサク属>


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ソシンロウバイ(素心蝋梅)

2009-01-22 23:24:51 | 植物(木本)
ロウバイの中でも花がやや大きく、見栄えがいいので一般に植えられているロウバイは

この品種が多い様です。蝋梅の和名は花が蝋細工の様に見えることに依ります。

花弁と蕚は同じ格好をしているので、ほとんど区別がつきません。

ソシンロウバイ <ロウバイ科 ロウバイ属>   原産地 中国


昨夏の偽果(ぎか)の中には種が5~20個入っています。この偽果は花托が変化したもので、
食べられる部分がほとんど無いのか、鳥にも食べられず一年以上、枝についたままです。
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ミツマタ(三椏)

2009-01-20 22:38:08 | 植物(木本)
ミツマタはジンチョウゲ科の落葉低木です。原産地は中国で、17世紀に和紙の原料として渡来しました。

それまでの和紙の原料は、主として楮(こうぞ)や麻が使われていた様です。

しかしミツマタそのものは、それ以前にも日本の山野に存在していて、万葉歌に「さきさく」、「さきくさ」、「さいぐさ」

などと詠まれているのは、三椏を指すのではないかとする説もある様です。

和紙の需要が減った現在では、あまり栽培されていませんが、現在でも高級和紙や障子紙の原料には

楮と共に、この三椏が使われています。

特に三椏を使った円紙幣の質の良さは世界一とも言われています。

春、葉が出るのに先立って、この様に球形の頭状花序をつけますが、花弁に見えているところは

先端で4裂した筒状の蕚で、花弁ではありません

ミツマタの名前の由来は、枝が必ず3本に分岐する特徴に依ります


ミツマタ<ジンチョウゲ科 ミツマタ属>
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ウメモドキの果実

2009-01-15 20:04:12 | 植物(木本)
冬に赤い果実を付ける樹木の中でも、このウメモドキの果実はひと際鮮やかで美しい色をしています。

血のように鮮やかな赤い果実が枝いっぱいに付いた姿は実に壮観で、庭木にもよく用いられます。

この果実はヒヨドリやカワラヒワなどの野鳥が好んで食べますが、鳥の体内で消化されるのは果肉だけで

種子は消化されず、鳥の糞と共に体外に排出されるため、この木の繁殖に役立っています。

一方、鳥の体内を通らず、果肉が付いたまま地面に落果したものは種の発芽率はかなり低くなります。

言ってみれば、この木と鳥達は「持ちつ持たれつ」の関係なのです。


ウメモドキ <モチノキ科 モチノキ属>
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コクチナシ(小梔子)の実

2009-01-13 22:40:19 | 被子植物合弁花

コクチナシは普通のクチナシに比べて、全体に小さなクチナシです。

原産地は中国、小さいので鉢植えや盆栽に適しています。花は一重咲きのものと、八重咲きのものがありますが

八重咲きのものは実ができず、もっぱら鑑賞用です。クチナシの名前は、この黄色い実が裂開しないところから

「口無し」と名付けられたそうです。

熟した実はクロシンと呼ばれる黄色の色素を含み、染料や食品の着色料などに使われます。


コクチナシ <アカネ科 クチナシ属>


純白の清楚な花もいいが、赤黄色に熟したこの実にも中々趣があります。実の中はゴマの様な種がいっぱい

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サカキ(榊)

2009-01-09 22:51:50 | 植物(木本)
畑の隅に植えられた木に、黒光りした丸い実が成っていました。

葉をよく見ると、神棚に供えたり神社で玉串として使われる榊のようです。
しかし、普段はこんなにいっぱい実の成った榊を見ることはありませんね。

榊はツバキ科の常緑高木で、大きいものでは高さ10mにもなります。
日本固有の植物ではなく、アジア東南部に広く分布しているので、日本人の
祖先のうち、南方から渡来した人達が持ち込んだとする説もあります。

最近は輸入農作物が問題になっていますが、この榊も花屋さんで売っている
安いものは中国産のものが多くなっています。


サカキ <ツバキ科 サカキ属>


榊の日本での分布は関東以南です。
こちらは関東以北や、榊の無い地方で代用して神事に使われるヒサカキ(姫榊)です
榊と違って、葉の縁に鋸歯(ギザギザ)があり葉もかなり小さくなります。
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枇杷庄の庚申さん

2009-01-07 06:31:30 | Weblog
城陽市の南西に枇杷庄という街があります。

ここには古くから儒教を源流とする庚申信仰があって、「庚申さん」が祀られています。



[庚申信仰]

庚申とは干支(えと) つまり、庚(かのえ)申(さる)の日を意味し、この夜に人間の体の中にいる

三尸の虫(さんしのむし)というのが寝ている間に体から脱け出してきて、天帝にその人間の行った

悪行を告げ口に行きます。天帝は寿命を司る神で、悪いことをした人に罰として寿命を縮めるそうです。

ところが、三尸の虫は、人間が寝ている間にしか体から脱け出ることができません。

庚申さんはこの三尸の虫を喰ってしまう神様で、いつの頃からか、庚申日には徹夜で庚申さんを拝む

風習が生まれました。これを庚申待ちといいます。(現在では徹夜は行われていません)


[くくり猿]
庚申さんには、この「くくり猿」がたくさん吊られています。

猿は欲望のままに動く心の喩、この「くくり猿」は猿が手足を縛られた形です。

手足は人間の邪悪な欲望を現し、このくくり猿に願い事を書いて吊っておくと願い事が叶うとされています。





土蔵のある家など、古い時代をしのばせるたたずまい




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タガラシ(田辛子)

2009-01-05 22:32:48 | 双子葉離弁花

タガラシは麦の伝来に伴って我が国に伝来した史前帰化植物で

一枚目の写真の様な用水路で富栄養化した泥がたまっている場所などでよく見かけます。

名前の由来については、有毒で葉を食べると辛いので「田辛子」とする説と

田圃の栄養が吸い取られて田が枯れるから

「田枯らし」とする二つの説があります。

何れにしても、悪者扱いされているようです。

でもこの花、よく見ると結構可愛い格好をしていますね。


タガラシ <キンポウゲ科 キンポウゲ属>






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マサキ (柾)~天女の如く

2009-01-02 22:36:14 | 被子植物離弁花

マサキはマユミやツリバナと同じニシキギ科の常緑低木です。
名前の由来は年中青い葉を付けていることから「真青木」、これを縮めて「マサキ」となったという
正にマユツバものの様な話です。
ところでこのマサキ、看板の青い葉が貝殻虫の被害を受けたらしく、ほとんど刈り取られていました。
でも、相変わらず冬空に向かって眺めたこの実は美しく天女を彷彿させます。

マサキ <ニシキギ科 ニシキギ属> 宇治川畔にて


この仮種皮と果肉のコントラストは正に絶妙です


(追加記事)正常な状態では下の画像の様に、青々とした葉をつけています。

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