山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

ガガイモとツチバチの仲間

2014-08-30 10:32:20 | 双子葉合弁花

近くの水主神社の裏にガガイモの花が咲き始めていました。

ガガイモは蔓性の多年草で、横に這う地下茎から地上茎を出して繁殖し、8月の終わりごろに

淡紫色の花を総状花序に咲かせます。花冠には毛が多く、花弁の溝には蜜が多いのか、小さな

蟻が頭を突っ込んでいるのがよく観察されます。

花後は、長さ10㌢ほどの袋状の実を付け、種子には毛があって風で散布されます。

和名は「鏡芋」で、ガガはスッポンを意味し、葉がスッポンの甲羅に似ていることから

この名が付けられたそうです。しかし、根に芋と呼べるような根塊は全く見当りません。

ガガイモ















ガガイモ














小さいながら蜜の多い花には昆虫の来訪が絶えません
特に目立っていたのが大型のツチバチの仲間です。この仲間には似たものが何種類かあって
同定は少し難しくなりますが、本種はその中のオオハラナガツチバチとだと思います。
体長は30㍉以上、スマートで絵になる雰囲気を備えています。
オオハラナガツチバチ













同上、別の角度から撮ってみました。大人しい蜂?なので、大接近しても刺されることはありません。
オオハラナガツチバチ














こちらもツチバチの仲間・・・
キオビツチバチと呼ばれています。オオハラナガツチバチと比べると少し小型です。
腹部に黄色い帯があるように見えますが、紋は左右に分かれています。
キオビツチバチ




 

 

 

 

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クロヒカゲ(黒日陰)

2014-08-27 17:09:59 | 昆虫

ジャノメチョウ科の蝶は、比較的暗い環境で暮らすものが多いのですが、このクロヒカゲも

山中の暗い林でしか見ることのできない蝶の一種です。

暗い林に暮らす黒っぽい蝶なので、蝶にあまり関心のない人は気付かないかもしれません。

 良く似た近似種のヒカゲチョウに比べ、地色が黒っぽいことからクロヒカゲと呼ばれますが

個体差もあって、色による判別は難しいと思います。

捕獲するか撮影しての確認が必要ですが、後翅を縦に走る褐色の条線が2個の大きな

眼状紋の間に大きく「く」の字形に食い込むのがクロヒカゲで、食い込みが浅く、直線に

近いのがヒカゲチョウです。

この点については、3枚目のヒカゲチョウの画像と見比べて頂ければよく判ると思います。

生息環境では、クロヒカゲの方がより暗い環境を好むのので、両者の間でテリトリーを巡っての

争いはないようです。

クロヒカゲ <タテハチョウ科 ジャノメチョウ亜科> 

クロヒカゲ















クロヒカゲ















参考画像
ヒカゲチョウ <タテハチョウ科 ジャノメチョウ亜科>

ヒカゲチョウ

 

 

 

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タマガワホトトギス(玉川杜鵑)

2014-08-26 09:29:52 | 単子葉類

山地に生えるユリ科ホトトギス属の多年草、タマガワホトトギスです。

和名に地名が用いられる場合は、それが最初に発見された場所を示すことが多いのですが、

では、この玉川とは何処の玉川を指すのでしょうか?

「玉川」は古歌に歌われた六ヶ所の総称で、「六玉川」とも呼ばれています。

井手の玉川(京都)、高野山の玉川(和歌山)、三島の玉川(大阪)、野路の玉川(滋賀)

調布の玉川(東京)、野田の玉川(岩手)の六ケ所がそれですが、実を言いますと、この

玉川は、発見場所ではないんです。

この「タマガワホトトギス」の名付け親は、牧野富太郎博士で、黄色い花の色をから

山吹の名所として知られる井手の玉川(京都府綴喜郡)を連想しての命名だそうです。

因みに、井手の玉川は私の住む城陽市の隣ですが、この辺りでタマガワホトトギスを

見たことはありません。画像は先日、長野県の上高地で撮ったものです。

タマガワホトトギス <ユリ科 ホトトギス属> 多年草 

タマガワホトトギス

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ウスタケ(臼茸)

2014-08-25 16:35:08 | 菌類(きのこ)

珍しい形のきのこですが、モミやツガなどの針葉樹林下に生えるラッパ形をした毒キノコで、

針葉樹とは共生関係にある菌根菌の一種です。

ラッパの内側が普通のきのこの傘の表に相当し、胞子が造られるのは傘の裏と柄の境界が

はっきりしない外側の皺襞のある部分です。

地方によっては食用きのことされ、熱湯で湯がいて煮こぼすと無毒化できると言い伝えられ

ていますが、毒キノコの毒が煮こぼして無毒化されることはありません。

下痢や嘔吐などの中毒症状が比較的軽く、多食しなければ症状も出ないとのことですが

「君子、危うきに近寄らず」・・・ですね

ウスタケ <ラッパタケ科 ラッパタケ属> 菌根菌  有毒

ウスタケ

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シナノキンバイ & ミヤマキンポウゲ

2014-08-12 22:03:39 | 双子葉離弁花

樹林帯を過ぎて少し湿り気のある草原に出ると、黄色いキンポウゲ科の花の群落が

目立つようになってきます。

何れも似たような黄色い花で、同定には苦労しますが、その中でも比較的よく見られる

シナノキンバイ(信濃金梅)ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花)を見比べてみます。

尚、これらはキンポウゲ科ですので、黄色い花弁のように見えているのは全て萼片であって、

花弁はありません。

 シナノキンバイ <キンポウゲ科 キンバイソウ属> 多年草

花の径は3~4㌢程ですが、この種の花としては大きくて立派です。葉は掌状で5裂し

裂片はさらに細かく裂けています。

シナノキンバイ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミヤマキンポウゲ <キンポウゲ科 キンポウゲ属> 多年草

花の径は約2㌢と、シナノキンバイに比べると小さく、萼片は丸く光沢があり、平地で見られる

ウマノアシガタに似た雰囲気です。葉は深く3裂し、裂片はさらに細かく裂けています。

シナノキンバイに比べると裂片が細いのも見分けるポイントのひとつ。

ミヤマキンポウゲ

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キヌガサソウ(衣笠草)

2014-08-11 22:21:13 | 単子葉類

樹林帯の登山道を、小さな花を探しながら登っていると、樹林帯を抜けるあたりで突然こんな花に

出くわすと、その大きさに圧倒されてしまいます。

何故かと申しますと、花の大きさそのものは径6~7㌢なのですが、その周囲から放射状に

輪生する葉が、まるで花の一部であるかのような錯覚を覚えさせるからです。

この白い花はこの後、わずかに淡紅色を帯びるようになり、終わりには淡緑色へと変わって

いきます。 和名は「衣笠草」で、衣笠は昔、高貴な人にさしかけた布製の日傘のことです。

キヌガサソウ <ユリ科 ツクバネソウ属>  多年草 

ツクバネソウ科では、我国で最大の種類です。 参考のためこの画像の下に、ツクバネソウの

一般的な大きさのものを掲載させて頂きましたが、それと比べてみると、このキヌガサソウが

いかに大きいものであるかがお判りいただけるかと思います。

キヌガサソウ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考画像)
クルマバツクバネソウ
輪生する葉は長さ7~12㌢、幅1~4㌢、これに対してキヌガサソウの葉は、
長さ20~30㌢幅は5~8㌢にもなりますクルマバツクバネソウ

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ギンリョウソウ(銀竜草)

2014-08-10 08:09:35 | 双子葉合弁花

徳沢から蝶ケ岳に登る長塀尾根(ながかべおね)は、取り付いてすぐコメツガ、トウヒ、シラビソなど

亜高山性針葉樹が混生する急な登りになります。

この辺りは薄暗く、湿った林下には、目立った花の咲く植物は見られませんが、そんな環境の

恩恵を受けて生きる植物の姿がみられます。

このギンリョウソウは、そういった植物の典型的なもので、明るく開けた場所では到底生きる

ことのできない生態をもっています。

分類上はイチヤクソウ科になりますが、ご覧いたいておりますように、葉緑素をはじめとする

色素がないために、根を除いては全て真っ白で、光合成は全くおこなっていません。

そのため、必要な養分は林床に落葉が積もってできた腐植土から得ています。

樹木から落葉の提供を受けて生きているので、一見、半寄生植物のようですが、落葉が

吸収可能な養分となるには菌類による分解が必要です。

このため、このギンリョウソウのような生態をもつ植物は腐生植物と呼ばれています。

しかし、自身からはほとんど何も提供せず、樹木と菌類によって保たれている森の再生機能に

ちゃっかり便乗するしたたかさ・・・

一見、弱々しくも見える奴こそ、実はもっとも強い生き方をしているような気がします。

つまらぬ見栄や外見に囚われて生きる者が、はたして本当に強い生き物と言えるのでしょうか?

それでは今日はここまで、皆様ごきげんよう 

ギンリョウソウ <イチヤクソウ科 ギンリョウソウ属>  腐生植物 

ギンリョウソウ

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ソバナ(岨菜)

2014-08-09 08:29:33 | 双子葉合弁花

これも夏の信州路で必ずといっていいほど出逢う花のひとつです。

ソバナという名前を聞くと、ここが信州ということもあって蕎麦を連想してしまいそうですが

和名は漢字で書くと「岨菜」となり、この岨というのは切り立った崖のことで、そこに生える

山菜という意味になります。若い芽は山菜として食用にされます。

茎は細い割に長く、約1㍍ほどもあり、そのため直立せず釣り竿のように斜上しますが、

そこから吊り下がる淡紫色の花には独特の涼しげな風情があります。

花の色の濃淡には地域差があるようですが、上高地周辺のものには色の淡いものが

多いようです。

ソバナ <キキョウ科 ツリガネニンジン属>  多年草 

ソバナ

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クサボタン(草牡丹)

2014-08-08 18:36:05 | 双子葉離弁花

これも梓川沿いの遊歩道脇に咲いていたものですが、キンポウゲ科センニンソウ属で

クサボタンという植物です。

和名は漢字で書くと「草牡丹」ですが、この花の形からは、「オイ、これの何処がいったい牡丹なんだ」と

言われてしまいそうですが、実は、似ているのは、花ではなく葉の方だそうです。

 

花は地味な淡紫色で、2㌢前後の小さな花ですが、近付いて見ると先端はパーマをかけた

女性の髪形を連想させるように、開花するに従って外側にカールしているのが判ります。

ところで、この植物はキンポウゲ科ですが、キンポウゲ科のほとんどの花には花弁がありません。

実はこのカールしている花筒も、花弁状に萼が変化したものです。

 

茎は下部から中間にかけて、木本か草本か判らないほど木質化していますが、上部では

木質化していないところから、多年生草本(多年草)とされています。

クサボタン <キンポウゲ科 センニンソウ属> 多年草 

クサボタン

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センジュガンピ(千手岩菲)

2014-08-07 22:17:39 | 双子葉離弁花

上高地から徳沢に向かう梓川沿いの道で見付けたナデシコに似た白い花です。

茎はカワラナデシコと比べると、少し頼りない感じで、他の植物に寄りかかっているか、

または地面に倒れています。

 この時点では名前が判らず、家に帰ってから「日本の野草」(山と渓谷社刊)で調べた結果

ナデシコ科センノウ属のセンジュガンピと判りました。

分布は中部以北となっているので、関西地方で見る機会はなさそうです。

和名は漢字で「千手岩菲」となりますが、千手は栃木県の千手ケ浜で最初に発見された

ことからで、岩菲は中国原産のナデシコ科草本、ガンピセンノウ(岩菲仙翁)からの引用であって、

古い時代に和紙の原料として使われていたジンチョウゲ科のガンピ(雁皮)ではありません。

センジュガンピ <ナデシコ科 センノウ属>  多年草 

茎は柔らかくて枝分かれし、高さは30~40㌢ほど、花は径2㌢ほどですが

純白の花は少し暗い林下でもよく目立ちます。 

センジュガンピ

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オタカラコウ(雄宝香)

2014-08-07 09:16:00 | 双子葉離弁花

8月3日~4日には高気圧が大きく張り出し、晴れの日が続くという天気予報を真に受けて

蝶ケ岳に行ってきました。

結果、天候は大きく外れて雨交じりの霧といった天候でした。

やはり、台風が日本列島に近付く時には山行を見送るのが賢明だったようで・・・ 

幸いにも土砂降りの雨に逢うことも無く、樹林帯を通る登山道では快適とまでは言えないまでも

雨をそれほど気にせず花を楽しみながら歩くことができました。

しかし私の淡い期待も空しく、頂上付近は深いガスに覆われて展望はほばゼロ・・・

登頂の証拠写真?は撮りましたがここでのアップはやめときます。

 

そんな訳で、今日からは登山道で出逢った花などを順次アップしていきたいと思います。

先ずは上高地から徳沢に向かう梓川沿いの道に咲いていたオタカラコウから。

亜高山帯~高山の川や沢沿いの湿地帯に生えるキク科の多年草です。

和名は漢字で書くと「雄宝香」で、宝香は防虫剤などに使われる竜脳香に香りが似ている

ことと、近似種のメタカラコウ(雌宝香)との対比で全体に大きいことから雄宝香と呼ばれます。

同じキク科のフキに似た格好をしているので、ツワブキなどのように食べられるのではとの

興味が湧きますが、これが実は食べられるんです。

韓国では春野菜として市場に出回り、、豚バラ肉、テンジャン(味噌)などを混ぜ合わせて

炒めるのが一般的な食べ方のようです。

但し、この上高地一帯を含む中部山岳国立公園での動植物の採取は禁止されていますので

くれぐれもお間違いのないように

 オタカラコウ <キク科 メタカラコウ属> 多年草 

オタカラコウ

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