最近は紅葉のさ中でも、この桜が咲いているのをよく見かけます。
もちろん自然の桜ではなく、10月~12月に咲く様に改良した人工雑種です。
一般的には、マメザクラとエドヒガシの交雑種という説が有力ですが、コヒガンザクラの園芸改良種と
いう説もあり、八重咲きと一重咲きがあります。
この桜は4月にも普通に咲くので、この季節でないとジュウガツザクラであることが判りません。
秋に桜を咲かせる園芸家の技術の高さには感心しますが、我々日本人の季節感からすれば、紅葉の時期に
桜が咲く不自然さは少し戸惑いを感じさせます。
やはり桜は人々に本格的な春の到来を告げる花であり続けてほしいものです。
ジュウガツザクラ <バラ科 サクラ属>
ビワは野生のものは石灰岩地帯にしか無い様ですが、城陽では「枇杷荘」という地名が
残されているところをみると、随分昔から枇杷が栽培されていた様です。
現在、農作物として城陽で栽培されている枇杷はほとんどありませんが、木津川河川敷の
農地の所々には今もこの木が残っています。
この枇杷の木が今、初冬を迎えてたくさんの花を付けました。
この花、遠目には綿毛ばかりが目立って何とも見栄えしませんが、近付いて見ると、梅の花に似た
意外に清楚で可憐な姿と、なんともいえない甘い香りがあります。果実になるのは5~6月頃です。
ビワ(枇杷) <バラ科 ビワ属>
蕚と花柄を覆う綿毛は冬に咲くこの花の防寒対策? 虫媒花だと思いますが何故もっと早く咲かないんでしょう
ヨメナは西日本に分布する固有の野菊の一種で、関東にはカントウヨメナがありますがこれとは別種です。
菊といわず嫁菜と名付けられているのは、古くより春の若菜として食用にされてきたからでしょう。
見分けの付きにくい野菊が2~3ありますが、このヨメナも元を糺せば南方系のコヨメナとオオユウガギクとの雑種
と考えられ舌状花の数や長さに若干の個体差が有る様に思います。
シオン属のノコンギクもこのヨメナに似ていますが、こちらは葉がザラついていることと、長い冠毛を持っているので
見分けることができます。
冠毛が見られないことでノコンギクではないことがわかる
こちらは上と比べて舌状花がかなり長い。ひょっとしてオオユウガギクかも?
何時の間に咲いたのかまったく気付かない内に、ヒイラギの花が咲いていました。
いかにもトゲトゲしい葉の真ん中に、白い小さな花がいくつも集まって咲いています。
何者も寄せ付けない様な鋭い棘状の鋸歯を持つ葉とは対象的にこの花は
近寄ってよく見ると本当に可愛い姿・・・そして甘い香りがあります。
漢字で書くと「柊」、昔からこの花が咲くと寒くなるというイメージがあります。
気象情報によると、どうやら明日はかなり冷え込んで寒くなりそうです。いよいよ冬ですねぇ
ヒイラギ <モクセイ科 モクセイ属>
触れれば、いかにも痛そうな鋭い棘状の鋸葉を持つ葉、鬼の目つぶしと言われます。
それとは対照的に、この季節、花はなんとも美しく可愛い姿を見せてくれます。
春から夏にかけて、色んな花が見られた木津川の河原も、めっきり花が少なくなりました。
日曜日の午後、花探しをしていた私の目に止まったのは、この赤い色をした可愛いいノイバラの実です。
葉はほとんど無くなり、回りに咲く花の無い藪の中でこの赤い実だけが、一際目立っていました。
このノイバラ、6月頃には、直径2㎝位の白い小さな可愛い花をいっぱい咲かせます。
日本に古くからある原種バラで、源氏物語などの古典文学に書かれている薔薇とは、このノイバラを指す様です。
「卯花の垣根ことさらにしわたして 昔おぼゆる花橘、撫子、薔薇、くたになどやうの花くさぐさを植ゑて、
春秋の木草、その中にうちまぜたり。」 (源氏物語 21帖 少女)
ノイバラ <バラ科 バラ属>
この赤い実は、古くから薬用として使われ、利尿・整腸の薬効があります。
万葉集に八重葎と言う植物がよく出てきます。これは現在のヤエムグラ(アカネ科)ではなく、
このカナムグラの古い呼び名の様です。
問答歌
思ふ人 来むと知りせば八重葎 おほへる庭に玉しかましを
反歌
玉敷ける 家も何せむ八重葎 おほへる小屋も妹とし居らば
この反歌に詠まれている様に、小屋を覆う様なものであれば、現在のヤエムグラでない
ことだけは確かな様です。
このカナムグラは人里近くの荒地や河原に生い茂っているので、見る機会の多い植物です。
特に河原では蔓どうし絡み合い、大繁殖しているのをよく見かけます。
8~9月頃、白い雄花を付け、少し遅れて緑色のホップの実の様な形をした雌花が付きます。
ここまでの雄花と雌花の様子はよく紹介されていますが、成熟して種を落とす前の雌花の
暗紫紅色に色付いた姿はあまり知られていない様です。
カナムグラ <クワ科 カナハラソウ属>
この暗紫紅色の部分は苞です。種が落ちた後は黒く変色して枯れます。
ビールのホップに似ていて当然、ホップはこれの近縁種です。
但し、カナムグラの雌花は苦味が無いので、ビールには使えません
そうそう、八重葎と言えばもう一つ忘れてました。小倉百人一首です。
八重葎 しげれる宿のさびしきに 人こそ見えね秋は来にけり (恵慶法師)
もちろん、ここにでのヤエムグラも当然、今でいうカナムグラのことです。
キクは苦手だ、キクは難しい、キクは判らん!・・・と、ぼやきながらも今回、懲りもせずキクを載せました。
図鑑で調べて特徴の一致点が一番多かったのはキダチコンギク、
あまり自信ありませんが、これではないかと思います。
キダチコンギクは北米原産の帰化植物で、栽培種を含め4~5の品種が
あるようですが、先月「カワラノギク?」の記事でとりあげたのも、どうやらこれの仲間
ではないかと思います。
花径は約2㎝位の小さな花で、背丈は60㎝ほど
ヒョロヒョロっと伸びていて、花、葉、茎 全て繊細な雰囲気でした。
暗い場所での撮影で、あまりいい画像ではありませんが、大体こんなイメージです。
これも名前にコンギク(紺菊)がついていますが、ぜんぜん紺色していませんねぇ
横から見ると、こんな感じです。