山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

小さな猛禽モズ(百舌)

2010-11-29 22:31:02 | Weblog
畑地に出ると雄のモズが縄張りを宣言する高鳴きが聞こえてきます。
初秋~初冬の頃は雌雄とも単独で生活し、繁殖行動は見られません。

この時期に活発な動きを見せる個体のほとんどは雄で雌は警戒心が強く、
人里ではほとんど観察されません。

2月頃に雌が雄の縄張りを訪れ、雄が求愛給餌を行うことから繁殖行動が
始まります。

モズ <スズメ目 モズ科>  漂鳥(一部の地域では留鳥)
スズメ目で、体の大きさもスズメよりやや大きい程度、しかしながらモズは”猛禽”です。
自身の数倍もの敵を鋭い嘴で倒す戦闘力を備えています。
食餌は主に地上にいるカエルや昆虫で、初秋には捕えた獲物を枝などに刺す
モズのはやにえと呼ばれる習性があります。



雄の特徴は過眼線が黒色で、顔つきが鋭く精悍、雌は過眼線が褐色で表情は
少し優しい雰囲気を持っています。この個体は雄です。




この時期、人里にあまり姿を見せない雌の個体、腹面に細かい鱗形の模様が見られます。
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ツルウメモドキ(蔓梅擬)

2010-11-28 20:03:30 | 被子植物離弁花

ツルウメモドキはニシキギ科の落葉蔓性植物で、生息環境は河川域の砂礫地から
亜高山地帯の山林とかなり範囲は広いのですが、何れもやや貧栄養な土地がこの植物には
適しているようです。

河川域に生えるものは画像のように、絡みつく樹木がないため、蔓はあまり発達せず
一見、灌木のように見えていますが、樹木の多い山地では蔓を長く伸ばし樹木に絡みます。
蔓は太いものでは直径が10㌢以上にもなるそうですが、私はそれほどの古木にはまだ
遭遇したことがありません。

このツルウメモドキは木津川の河川敷の砂礫地に生えていたものですが、このあたりは
2年連続の増水で、このツルウメモドキも何回か水没を繰り返しましたが、深く張った
根で流失や枯死を免れているようです。


ツルウメモドキの果は黄色に熟すと3つに裂け、中から赤い色の仮種皮に包まれた
種子が現れます。

外側の果皮の黄色と仮種皮の赤い色のコントラストが美しく、秋の生け花の材料としても
よく使われます。



ツルウメモドキ <ニシキギ科 ツルウメモドキ属> 落葉蔓性





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スイカズラ(吸葛)の果実

2010-11-27 21:31:33 | 被子植物合弁花

5~6月に唇形の白い花を咲かせるスイカズラの果実です。
黒光りしているものの、特に美しいと言われるような果実でもありません。
どちらかと言うと「超」がつくほど地味な果実です。


別名を忍冬(ニンドウ)といいますが、この名は緑の葉が落葉せず寒い冬を
耐え忍ぶところからきているそうです。

しかし実際にはこの時期になると半分以上は落葉しているので、この地味な果実も
少し植物に関心のある人にはそれなりに目につきます。

このような性質を持つ植物は「常緑」でも「落葉」でもなく、「半落葉」と呼んでいます。


スイカズラ <スイカズラ科 スイカズラ属>  半落葉蔓性
この植物は我が国では同じ生息環境に、ヤマノイモやアオツズラフジなどの
競合する蔓性植物が多いため、さほど大繁殖はしませんが、ヨーロッパに帰化したものでは
競合植物が少なく大繁殖しているため、一部の国では有害な外来植物に指定されています。



この果実は液果で直径は5~6㍉ほど、中には褐色の種子が2個入っています。

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タラヨウ(多羅葉)

2010-11-26 21:53:34 | 植物(木本)
タラヨウはモチノキ科の常緑高木で、神社の森などでよく見る木です。
葉は15~18㌢の長楕円形で厚く、表面には光沢があり、葉の大きさでは
我が国のモチノキ科の中では最大です。

10~12月に熟す果実は直径6~8㍉の球形で、葉腋に多数が密集して付きます。

里山でも、山頂部や自然林ではあまり見かけないところをみると、
昔は神事や仏事などに使うために人為的に植えられていた名残りなのかも知れません。

葉の裏に尖ったもので字を書くと、やがて書いた字の部分が黒く浮き上がるところから
「葉書の木」とも呼ばれ、各地の郵便局にシンボルツリーとしてよく植えられています。


タラヨウ <モチノキ科 モチノキ属>  落葉高木


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サネカズラ(実葛)の果実

2010-11-25 22:18:49 | 植物(木本)
サネカズラの果実が赤く熟してきました。
別名をビナンカズラ(美男葛)とも呼びますが、名前の由来はこの赤い果実を
美男子に喩えたということではないようです。

この蔓性の枝には粘液が多く、昔は男性の整髪料として粘液が使われていた
ことに由来する名前だそうです。

今年は夏の天候の影響によるものかどうか判りませんが、昨年と比べると
色の鮮やかはいまひとつです。

このサネカズラは常緑樹としては珍しく、冬が近づくと葉や葉柄の一部が赤くなりますが
落葉樹のように枯葉となって落ちることはありません。

冬が近づくと葉に糖分を多く取り込むことによって、水分に含まれるアントシアニンなどの
濃度を高くし、葉や茎を凍結から守っています。

常緑の蔓性植物ではこれの他にテイカカズラなどもこの時期に葉や葉柄の一部が
赤くなりますが、これと同じ理由によるものと考えられます。


サネカズラ <モクレン科 サネカズラ属> 常緑蔓性






これは昨年の12月中旬に撮影したものです。


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紅葉~里山の風景を切り取る

2010-11-24 22:19:20 | 被子植物離弁花

何時まで続くのかと思われた猛暑の夏が去り
遅くやってきた今年の秋・・・
気がつけば冬がそこまで来ています。
紅葉もいよいよ終盤にさしかかり秋は目の前を駆け足で通り過ぎていきます。

私の住んでいる京都には紅葉の名所が数多くありますが、楓の本来の美しさから言えば
それが有名であれ無名であれ、美しさに違いのあるはずはありません。

今日は少なくとも有名ではない私の家から近い里山の紅葉の
美しいと感じた部分を切り取ってみました。


里山の全体がこのような美しい紅葉ばかりという訳ではありませんが
様々な雑木の黄葉や常緑樹が楓の紅葉の美しさを際立たせるのも
里山ならではの紅葉風景です。


















池に浮かんだ紅葉には友禅染のような趣があります


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ヒヨドリジョウゴ(鵯上戸)

2010-11-21 09:20:53 | 双子葉合弁花

林の縁などに生える蔓性の多年草です。和名はヒヨドリがこの果実を好んで食べる
ことからだと言われていますが、実際に食べている姿は見たことがありません。

一見、トマトのようで美味しそうに見えますが、神経毒のソラニンを含み、大量に食べると
中毒を起こすそうです。果実の大きさは約7㍉ほどです。


ヒヨドリジョウゴ <ナス科 ナス属>  多年草 

果実は7㍉ほどで液果、画面左下の画像は7~8月に咲く花、追羽根のような形をしています

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カナメモチ(要黐)の果実

2010-11-20 18:06:49 | 被子植物離弁花

カナメモチと言うと一般家庭の植垣や公園に植栽され、上部に1年中赤い若葉を付けて
いるものを想像なさる方が多いと思います。

しかし植栽されている品種の多くはニュージランドで交雑育成されたベニカナメモチか
アメリカでカナメモチとオオカナメモチの交配によって作成されたレッドロビンである
ことが多いようです。
在来の自生種では今の時期にあのように派手な赤い若葉を見ることはできません。

果実は4㍉程度の大きさで、色はモチノキ科のモチノキやウメモドキに比べて
やや地味な色合いをしています。

尚、名前に”モチ”が付くことから、モチノキ科の樹木と誤解されそうですが
この木はバラ科に属しています。



カナメモチ <バラ科 カナメモチ属>  常緑小高木



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ツルリンドウ(蔓竜胆)の結実

2010-11-19 17:55:01 | 双子葉合弁花

ツルリンドウの花は8月頃の咲き始めから、この果実が熟すまで随分長く楽しませてくれます。
この果実は液果で、残存する花冠から付きだした紅紫色の大きな実は、花の少なくなった
晩秋の木陰でも良く目立っています。

9月頃に見た花の数と比べると少ないような気がしますが、かなり目立つ果実ですから
鳥などが食べるのかもしれません。


ツルリンドウ <リンドウ科 ツルリンドウ属>  多年草



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アオハダ(青膚)?

2010-11-18 06:51:06 | 植物(木本)
里山の藪の中で赤い実をいっぱい付けた木を見つけました。
初めてみる樹木です。

まだ紅葉(黄葉)していませんが、ウメモドキなどに見られる
葉にモチノキ科特有の黒い死斑が出ているので多分モチノキ科の樹木だと思います。

同定にはあまり自信がありませんが
短枝が発達していて、その先端に実が付く特徴などから一応、
モチノキ科のアオハダを候補にあげておきます。



アオハダ <モチノキ科 モチノキ属>  落葉高木

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コシロノセンダングサ(小白の栴檀草)

2010-11-17 18:23:55 | 双子葉離弁花

荒れ地に群生するキク科の雑草で、種子が衣服に付く”ひっつき虫”センダングサの仲間です。
アメリカセンダングサやコセンダングサなど、一般にセンダングサの仲間の多くは筒状花のみで
舌状花がありませんが、このコシロノセンダングサは4~5枚の白い舌状花があるやや希少な種類です。

これの近似種でよく見られるコセンダングサとは変種の関係で、2種の交雑種に
アイノコセンダングサと呼ばれるものがあり、1~3枚の小さく不完全な舌状花を付けます。

また花の大きさが3㌢を超えるシロノセンダングサは、栽培種が野生化したもので、
本種とは全く別系統の品種です。

尚、分類上の母種センダングサには黄色い舌状花がありますが、私は未だ現物を見たことが
ありません。



コシロノセンダングサ <キク科 センダングサ属>   北米原産・帰化植物



痩果は細長く、実ると球状に広がります。先端には逆刺(もどり)の付いた2~3本の刺があって、
衣服に刺さると簡単には抜けません。

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世界文化遺産 宇治上神社

2010-11-16 06:34:02 | Weblog
今日は最初に愚痴を少々・・・

昨日、愛機の内臓ストロボの動作が悪いのでメンテナンスに出しました。
「1週間ほどで治るでしょうか?」とたずねると、見積もりが来るまでが約10日、
修理が完成するまでに3週間ほどかかるとのことです。

私の職場も電設資材の卸販売をやっている繋がりで、家電品も取り扱っていますが
普通の家電品修理なら見積もりが出るまで1~3日、修理が完成するまでは約1週間
というところです。
今回のような軽微な修理はもう少し敏速に処理できないものでしょうか?

(こんなところで愚痴をいってもメーカーがこのブログを読んでいるワケないですね

と・・いう訳で今日からは当分、画像は以前使っていたコンデジで撮影したものになります。
仕事が終わる午後2時から、取りあえずコンデジ片手に近くの宇治上神社へ出かけました。


宇治川の岸辺のイロハカエデが、ちょうど見頃です。


宇治上神社一帯は、国連の世界文化遺産に指定されています。


拝殿(国宝)は、鎌倉時代前期に伐採された桧が使用されています。鎌倉時代の優れた建物遺構。


本殿(国宝)は神社建築としては日本最古のもので、平安時代の材が使われています。
祭神には菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)、応神天皇、仁徳天皇が祀られています。


源氏物語の舞台となった平安時代が偲ばれる建築様式


神社の前を通り過ぎて、しばらく行くと右手に大吉山へ登る道があります。






10分ほど登っていくと大吉山風致公園の展望台に出ます。
ここからの宇治橋一帯の眺めは抜群


近くに止まっていたヤマガラを狙ってみました。思っていたよりは
ずっとシャープに撮れるようです。


う~ん中々いい感じ・・・ですね


望遠で眼下の宇治橋を狙ってみました。これも一応合格?





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白く熟したスズメウリ(雀瓜)の果実

2010-11-14 22:20:42 | 双子葉合弁花

先月の6日にまだ青い未熟の果実をUPしましたスズメウリです。
前回の場所から少し離れた里山の麓の湿地ですが、白く熟しています。

大きさは1㌢ほどで、丁度パチンコ玉位の大きさで、カラスウリに比べ
かなり小さいのでスズメウリと呼ばれます。
また、姿の可愛いところから、ヒメウリの別名で呼ばれることもあります。

同じウリ科で園芸用に市販されているものに、赤地に白い縞模様のある
オキナワスズメウリというのがあります。
沖縄~トカラ列島の原産で、果実は有毒だそうです。


スズメウリ <ウリ科 スズメウリ属> 1年生蔓草



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ウメモドキ(梅擬)

2010-11-14 09:32:16 | 植物(木本)
モチノキ科の樹木の多くは晩秋から赤い果実を結びますが、その中でも
枝いっぱいに果実をつけるこのウメモドキが特に美しく人目を引きます。

果実は落葉した後も、枝に残り、冬の間も長く目を楽しませてくれることから、
庭木としてもよく植えられています。

しかし見頃というと、やはりまだ緑の葉が残るこの時期が一番でしょう。
この赤と緑のバランスは実に絶妙です。

和名は「梅擬」で、6月頃に葉脇に咲く、淡紫色で4㍉ほどの花の形が
梅の花に似ていることによります。



ウメモドキ <モチノキ科 モチノキ属>  落葉低木



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オトコヨウゾメ(男莢迷)

2010-11-12 22:01:23 | 植物(木本)
日当たりのよい山地に生えるガマズミ属の低木です。
鮮やかな赤い色の果実とは対照的に、やや黒ずんだ地味な色合いの紅葉を見せています。
どちらかというと、赤い果実が主役で、葉は引き立て役というところでしょうか?

和名の漢字表記は「男莢迷」で、莢迷とはガマズミのこと、頭に「男」と付くのは
実が不味くて食べられない、染料として使えないの意味だそうです。
要するに「役に立たない」ということでしょうか?

私見ですが、どうも植物の名前の先頭に「男」や「犬」などが付けられるとロクな意味はなさそうです。




オトコヨウゾメ <スイカズラ科 ガマズミ属>  落葉低木

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