山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

薊岳(あざみだけ)

2009-04-29 21:38:18 | 登山記録
私のGW作戦第1日目は、台高山脈の静かな山、薊岳(1406㍍) をのんびり登ってきました。

私の住む城陽市からはマイカーで約2時間、東吉野村の大又が起点になります。

公共交通機関としては、奈良交通バスがありますが、便が少なくこれを利用しての日帰り山行は

ほとんど無理な様です。

笹野神社の近くに数台の駐車スペースがあるのでそこに車を止め、コースは神社の右側に

林道に通じる小道があるので、これを辿っていきます。



登山口の笹野神社の対岸には藤の花がたくさん咲いていました。


登山口付近で見た案内標識はこれだけ、粗末ですが有ると大いに助かります。


比較的明るい植林帯を登っていきます。途中からはかなり急登、焦らずゆっくり高度を稼いでいきます。


植林帯の林床に生えるマムシグサ<サトイモ科 テンナンショウ属>


ヒナスミレ<スミレ科 スミレ属>


ヒカゲノカズラ<シダ類・ヒカゲノカズラ科 ヒカゲノカズラ属>
植林帯の上部、やや日当たりの良い地面に群生していました。


稜線に出るとバイケイソウの群落があちこちで見られます。


稜線には、かなり太いブナの木が多く、樹皮の模様が美しい。新緑が見られるのは5月末頃から


ムシカリ<スイカズラ科 ガマズミ属>


このコースの核心部、雌岳の登りは距離は短いもののロッククライミングが強いられます。
3点支持順守で慎重に登りましょう


薊岳(雄岳)頂上の石楠花、少し来るのが早かったようです。まだ蕾でした。


公式な頂上を示す標識はありません。山岳会の人が登頂記念に造った自前の標識です


頂上からの展望は素晴らしく、台高山脈、奈良中部の金剛・生駒、遠く大峰山脈まで見渡せます
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ナワシログミ(苗代茱萸)

2009-04-28 06:45:06 | 植物(木本)
毎年、今頃になると木津川堤防に登る土手にナワシログミが実をいっぱい付けます。

子供の頃、大人達から「たくさん食べると糞詰まり(便秘)になるぞ」とよく言われました。

私も子供の頃に食べた記憶はありますが、そんな心配をするほど多くは食べられません。

微かな甘みはあるものの嫌な渋みがいつまでも舌に残るのです。

植物図鑑の解説などをみると「熟すると食べられる」と書かれていますが

「不味くて食用不向き」と書いたほうが適当な気がします。

この実は鳥たちにも不人気のようで、秋になっても食べられずに枝に付いたままです。

名前の由来は、普通のグミが春に花が咲き夏に実が熟するのに対し、秋に花が咲き

苗代の始まる5月頃に実が熟することによるものです。



ナワシログミ<グミ科 グミ属>


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クサフジ(草藤)

2009-04-26 22:01:01 | 双子葉離弁花

今日は朝から断続的に雨が降ったり止んだりの愚図ついた空模様

こんな日には傘を片手に雨の似合う花を探しに行くのも楽しいものです。


雨の似合う花と言えばアジサイが頭に浮かびますが、まだ一か月以上先の話です。

何かないものかと歩いている内、荒れて草藪と化した放置耕作地の中に、少し濃い目の

紫色が美しい花を見つけました。マメ科植物のクサフジです。


茎は蔓性で葉はマメ科のカラスノエンドウ、花はケシ科のムラサキケマンによく似ています。

この様に花が長い房状に咲いていると「○△フジ」と名前がつく場合が多い様ですが

藤の花が上から垂れ下がるのに対して、このクサフジは下から立ち上がっています。

雨の中、この花は凛として咲いていました。



クサフジ<マメ科 ソラマメ属>






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コアオハナムグリ(小青花潜)

2009-04-25 23:15:52 | 昆虫
先週はまだ蕾だったノアザミが咲き始めています。

これを待ちかねたようにコアオハナムグリが花粉を食べにきました。

花弁をこじ開けて花の中に強引に潜ることから「花潜り」→「ハナムグリ」と呼ばれています。

幼虫は腐植で成長し、9~10月頃羽化して、その後越冬、

翌年の4月末、冬眠から覚めた成虫は花粉や蜜を後食しますが、柑橘類などでは

将来果実になる子房を爪や頭で傷をつけて害を及ぼすこともあります。


コアオハナムグリ<コガネムシ科 ハナムグリ属>


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ヒメウラナミジャノメ

2009-04-24 23:14:04 | 昆虫
今年に入ってからジャノメチョウの仲間に出逢ったのはこれが最初。

この蝶は毎年GWが始まる少し前に姿を見せています。

日本国内で見られるジャノメチョウの仲間は約10種類ほどですが、その中の一つ

ヒメウラナミジャノメで、大きさはモンシロチョウより一回り小さい位の蝶です。


色は全体に茶色系で目立つ蝶ではありませんが、前翅・後翅にバランスよく配置された

6対の蛇の目紋には少し大人びた趣を感じさせます。


近似種にウラナミジャノメがいますが後翅裏の蛇の目紋の数が3対と少なく(ヒメジャノメは5対)

大きさもモンシロチョウとほぼ同じ位です。



ヒメウラナミジャノメ<ジャノメチョウ亜科>




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つぐみ

2009-04-23 06:55:07 | Weblog
ツグミは冬鳥なので、まもなく見られなくなります。

ジョウビタキなど他の冬鳥たちはすでに北の繁殖地へ帰ってしまいました。

どうやら北帰行のしんがりはこのツグミのようです。

長旅をするので栄養をたっぷり採って太ってから旅立つものと思っていましたが

秋から冬場にかけて見た時と比べてかなり細く、シャープな体形になっています。

やはり長距離飛行はメタボではだめなのか?





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キランソウ(金瘡小草)

2009-04-22 21:41:31 | 双子葉合弁花

キランソウは人里近くの石垣などで咲いているごくありふれた花、

別名をジゴクノカマノフタとかイシャコロシと呼ばれ、煎じて飲んだり、搾って

傷口に塗るなど、昔は万病に効く民間薬として珍重されたようです。

しかし現在では薬草として使われていないところを見ると

それほど薬としての効果はないのかも知れません。

色と形はアニメのキャラクターのような雰囲気で中々面白いものがあります。


キランソウ<シソ科 キランソウ属>


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ニワハンミョウ

2009-04-21 22:17:28 | 昆虫
当尾の里、岩船寺に向かう山道で見付けたハンミョウの仲間、ニワハンミョウです。

体長2㎝程の小さな虫ですが、素早く歩いては止まる行動パターンで地面を徘徊し、出会った昆虫やミミズを

手当たりしだいに襲って食べる獰猛な捕食性の昆虫です。

カラフルな色をしたナミハンミョウに比べ、かなり地味な色をしていますが、体形や行動パターンはよく似ています。

幼虫は地面に穴を掘って住み、巣穴の近くを通る蟻などの昆虫を捕食します。



ニワハンミョウ<甲虫目 オサムシ亜目 ハンミョウ科>


警戒のポーズ? カメラに気付いた様です。


大きな口と鋭い牙、迫力充分の面構えです。
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ノアザミ(野薊)

2009-04-20 19:44:15 | 双子葉離弁花

川の土手では咲きかけのノアザミの花があちこちに見られます。

まだ満開になっていませんが、来週位にはおそらく咲いた花が見られることでしょう。

このノアザミ、深みのある美しい色の花とは裏腹に、葉にはまるで手折る者を拒否する様な鋭い棘を持っています。

以前、アザミという名は「欺く」という言葉が語源になっていると聞いたことがあります。

つまり美しい色の花に欺かれて手を伸ばすと、鋭い棘でチクリとやられる・・・欺く→アザミとなるわけです。

しかし、こんな荒々しさ、棘々しさこそがこの花の魅力・・・野性のプライドなのでしょう。

人間は順化を追及するあまり、こんな棘(プライド)を犠牲にしているように思えてなりません。

このアザミの仲間は世界に250種類以上、日本だけでも100種類以上にも及びます。

しかし、その中で春に花の咲くのは、このノアザミだけです。今、咲いているアザミを見たらノアザミと思って間違いありません。


ノアザミ<キク科 アザミ属>


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ムラサキサギゴケ(紫鷺苔)

2009-04-18 06:37:55 | 双子葉合弁花

名前を聞くと苔の仲間のようですが、苔ではありません。

イヌノフグリなどと同じゴマノハグサ科に属し、よく湿り気のある水田の畦や

休耕田に群生している多年草で、4~6月ごろに可愛い花を咲かせます。

花の大きさは1.5㎝~2㎝位です。

良く似た花でトキワハゼというのがありますが、こちらは花が1㎝内外で

ムラサキサギゴケと比べるとかなり小さいので見分けがつきます。

大きさ以外で決定的に違うのは、ムラサキサギゴケの上唇部の先端が

ウサギの耳の様に立っているのに対して、トキワハゼではこの部分が寝た格好になっています。

以上が花の外見による見分け方です。

花全体が白いものを単にサギゴケと呼んでいますが、これはムラサキサギゴケの変種で

基本的には同じ種類の植物と考えられます。


ムラサキサギゴケ<ゴマノハグサ科 サギゴケ属>






こちらはソックリさんのトキワハゼです。随分似ていますが、花の大きさも約1㎝とかなり小さい
一般的にはこちらが多いと思います。

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ベニシジミ

2009-04-16 20:05:49 | 昆虫
本格的な春の訪れと共に、昆虫達の動きも活発になってきています。

木津川の堤防を歩いているとベニシジミに出会いました。

去年の秋から半年ぶりの懐かしい友達との再会です。

秋型とは気温の違いもあるのか、翅を開いている時間が長いようです。

おかげで翅の傷みもない美しい翅表を楽に撮らしてもらいました。


ベニシジミ<シジミチョウ科 ベニシジミ属>






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金剛山(植林帯~山頂)

2009-04-15 06:47:09 | 登山記録
高天滝の休憩所から木橋を渡ると杉の植林帯がはじまります。

ここからは展望のない杉林になりますが、ショウジョウバカマ・ミヤマカタバミ・ヤマネコノメソウなどの

湿った林床に生える植物の花が楽しめます。

ミヤマカタバミ<カタバミ科 カタバミ属>


ヤマネコノメソウ<ユキノシタ科 ネコノメソウ属>


谷側が開け、日が射す明るい所ではヤマブキの黄色い花が咲き始めています。

ヤマブキ<バラ科 ヤマブキ属>


これは既に満開


山頂に近くなると杉の巨木が多くなってきます。


樹齢500年以上の巨木「仁王杉」


金剛山の山頂にある葛城神社、最高地点の葛城岳頂上はこの神社の裏ですが、葛城神社の「御神体」であるため
一般の人は登ることが許されていません。





葛城神社と転法輪寺の中間にある「夫婦杉」、一心同体の姿は夫婦円満の象徴とされています。




う~ん、正に一心同体ですね






転法輪寺


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金剛山(高天彦神社~高天滝)

2009-04-14 19:51:48 | 登山記録
大阪府と奈良県にまたがる金剛山(1125㍍)、今回は奈良県御所市の高天(たかま)方面から登りました。

高天は天孫降臨の日本神話に出てくる高天原の実在の地といわれています。

その中心にあるのがこの高天彦神社(たかまひこじんじゃ)、社務所もない小さく目立たない神社ですが

周囲の自然とともに神秘的な雰囲気を醸し出しています。登山ルートは、この神社を左に沢沿いを登って行きます。



高天滝の休憩所までの沢沿いの山道では色んな草花が目を楽しませてくれます。

オドリコソウ<シソ科 オドリコソウ属>


シャガ<アヤメ科 アヤメ属>


マツバウンラン<ゴマノハグサ科 ウンラン属>  帰化植物


クサノオウ<ケシ科 クサノオウ属>


ヤマルリソウ<ムラサキ科 ルリソウ属>


ヘビイチゴ<バラ科 ヘビイチゴ属>


キランソウ<シソ科 キランソウ属> 別名 ジゴクノカマノフタ


(明日は続編、植林帯~山頂へ)


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カタクリ(片栗)

2009-04-12 21:02:21 | 単子葉類

カタクリは明るい落葉樹林に群生するユリ科の多年草です。

落葉樹の葉が出てこない3月位から咲き始め、若葉が茂る5月頃から上部は枯れ始め

休眠期に入ります。明るい場所を好む割には夏の暑さには弱いようです。

山野に自生するものの鱗茎はかなり深く、手で掘り起こすのはほとんど無理、

実生で育てた場合、花が咲くまで6~8年かかります。

昔はこのカタクリの鱗茎から片栗粉を作ったそうですが、採れる量は僅かしかないので

現在市販されている片栗粉はジャガイモの澱粉を原料に作られています。


カタクリ<ユリ科 カタクリ属>     






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ショウジョウバカマ(猩猩袴)

2009-04-11 19:11:34 | 単子葉類

週末に安定した晴天になるのは久し振りです。

今日は金剛山を静かな奈良県側ルートから登ってみました。

コースは途中から薄暗い杉木立の中を登りますが、

腐葉土の堆積した湿気の多い場所では、このショウジョウバカマが

点々と花を咲かせ、訪れる人の心を和ませてくれます。

ここでの花の色は薄紫からピンク色のものが多く見られますが、他にも

淡紅色や濃紅色など変化が多く、写真の下段2枚の様に白色もあります。



ショウジョウバカマ<ユリ科 ショウジョウバカマ属>   多年草









頂上近くの粘土と砂礫の混じった明るい斜面に生えていたもの
白い花を咲かせていますが、一部の図鑑に記載されているシロバナショウジョウバカマとは異なります。


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