山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

サネカズラ(実葛)~美男の異名を持つ赤い実

2009-10-31 19:31:38 | 植物(木本)
サネカズラは低山の藪で見られるモクレン科の常緑つる性の植物です。

8月頃に、直径1.5㎝位の淡黄色の花が垂れ下って咲きますが、花は雌雄異株または同株、

まれに両性花と3種類が混在しています。雌花は花の後、花床が膨らみ、球形の赤い実をつけます。

秋に赤い実を付ける植物は多いのですが、サネカズラは実の美しさから光栄なことに美男にたとえられ

「ビナンカズラ」とも呼ばれています。


サネカズラ<モクレン科 サネカズラ属>  別名 ビナンカズラ





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マユミ(真弓)

2009-10-31 07:19:26 | 被子植物離弁花

生育には多くの水分が必要で、山の渓谷沿いや日当たりの少し悪い場所で見られます。

5~6月に淡緑色の4枚の花弁と萼片を持った花を疎らに付けますがあまり目立ちません。

(花はリンク先、wakadoriさんの「ちゃれんじゃーのひとりごと」の記事をご覧下さい)

どちらかというと花よりも美しい朔果と紅葉がこの木の見せ処です。

朔果はピンク色で、縦横とも8~10㍉のサイコロ形、熟して4つに裂けると赤い仮種皮に包まれた種子が

顔をのぞかせます。

マユミを漢字で書くと「真弓」で、この材を使って弓を作ったそうですが、普通に山で見られるものでは

それほどの太さを持ったものは見られません。


マユミ<ニシキギ科 ニシキギ属>



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秋深まる大台ケ原

2009-10-28 21:44:32 | 登山記録
2年ぶりに紅葉の大台ケ原を訪ねてみました。

大台ケ原駐車場に車を止め、ビジターセンターで紅葉の状況を尋ねると、頂上付近の紅葉は先週の

台風20号の影響でほとんど落葉してしまったとのことでしたが、大蛇からの眺めやシオカラ谷の紅葉は

すでに終盤に向かっているとはいえ、美しい姿が見られました。

大台ケ原は今回で3回目になりますが、本当に行けば決して期待を裏切らない山です。


正木嶺付近から正木ケ原にかけては、枯れて白骨化した立木や倒木が目立ちます
この姿はすっかり大台ケ原のイメージとして定着していますが、気候の変化と、鹿などの
野生動物による食害で年々森林は衰退の一途をたどっています。




大蛇から見た不動返し






ヤマモミジ







コハウチワカエデ

ブナの黄葉


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ハウチワカエデ(羽団扇楓)

2009-10-26 21:46:36 | 被子植物離弁花

京都の秋を彩るイロハモミジの紅葉にはまだ早いのですが、

山では一足早くハウチワカエデの色付きが見られます。

このカエデは、名前でも分かるように、葉の形が天狗の持つ羽団扇に似ています。

また、あまり一般的ではありませんが、メイゲツカエデ(名月楓)という呼び名もあって、

これは、秋の名月の下で紅葉の落ちるのが見られるという意味から、

紅葉のライトアップが流行っている今と比べると随分優雅な観賞法です。

ところでカエデは現在「楓」という漢字が使われていますが、これは本来マンサク科の「フウ」を意味し

本種を含むカエデ科とは植物学上、全く別の植物です。

大きな違いとして、カエデ科の葉が対生するのに対して、マンサク科フウ属の葉は互生します。

にも関わらず、この字が使われるのは、葉の形が似ていることによります。

これとは別に「鶏冠木」という漢字も使われますが、これは赤く紅葉した葉をニワトリの

鶏冠に見立てたものです。

語源をさらに日本の上代まで遡ると、万葉名では「かへるで」(蛙手)で、おそらくこれが転訛して

カエデとなったものと思われます。


(参考)「我がやどに もみつかへるでみるごとに 妹をかけつつ 恋ひぬ日はなし」
           
                             大伴田村大嬢(万葉集)


ハウチワカエデ<カエデ科 カエデ属>



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ウラナミシジミ

2009-10-25 17:49:44 | 昆虫
日ごとに秋らしくなってきた木津川河川敷周辺で今年もウラナミシジミが飛び始めました。

この蝶は春に暖地で越冬した幼虫が羽化したあと、気温の上昇とともに世代交代を繰り返しながら

北上を続け、夏には北海道に達するものもあるといいます。

そして季節が秋を迎えると再び暖地を目指して南下の旅へ・・・

しかし、ここ南山城の地、城陽は冬の温暖な土地とはいえ、

春に羽化した成虫が飛んでいないところを見ると

この蝶にとってゴールはまだまだ先のようです。

季節のなかを彷徨える旅人の様な蝶、ウラナミシジミ

この小さな蝶は、この後、一体どこまで旅を続けるのでしょうか




ウラナミシジミ<シジミチョウ科>

ヤマトシジミに比べて、一回り大きく、名前が示す様に、翅裏の波模様が美しいシジミチョウの仲間
3月~11月にかけて、4~5回発生し、世代交代を繰り返しながら季節に応じて移動する習性がある。





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クコ(枸杞)

2009-10-24 17:42:37 | 植物(木本)
木津川河川敷の砂地に自生するクコの木に赤い実が付き始めました。

8月頃から咲き始めた、紫色の小さな花もまだ少し残っています。

このクコは、東アジアに広く分布するナス科の小低木で、果実は滋養強壮効果のある

食材として、薬膳料理などでもよく使われます。

また実を洗って乾燥させたものを、急須に入れて熱湯をそそぐと、クコ茶として楽しめ、

独特の風味がある上、肝機能強化、疲労回復、視力改善などの効果があるそうです。

中国が原産地で平安時代に渡来したそうですが、その頃からすでに健康によいお茶として

飲まれていたようです。



クコ<ナス科 クコ属>






この様な、花と実のツーショットが見られるのは今だけ



実は甘くて美味しい。そのままでも食べられます。
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五倍子

2009-10-23 06:25:49 | 植物(木本)
五倍子、字が一つ余ってしまいますが「ふし」と読みます。

4月頃にウルシ科のヌルデにヌルデノミミフシアブラムシの♀が卵を生み、孵化した幼虫が

若芽や若葉に寄生してできる虫瘤のことです。

成分の約70%がタンニンのため、昔から染料として、下地染めの他、既婚女性が歯を黒く染める

「お歯黒」や白髪染めなどにも使われていました。



五倍子は果実とよく間違われますが、ヌルデの果実はこれです。


五倍子を割ってみるとビッシリとヌルデノミミフシアブラムシが入っています。
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キタテハ(黄立羽)

2009-10-21 06:38:58 | 昆虫
キタテハは成虫で越冬するタテハチョウ科の蝶で、冬眠中も温かい日だまりによく現れて

私達の目を楽しませてくれます。

花の多い内に、越冬のための体力をつけようというのか、今の時期セイタカアワダチソウの周りなどで

忙しく吸蜜を繰り返しています。名前はキタテハですが、色は黄色というよりやや派手なオレンジ色

幼虫の食草は荒地や廃屋に絡んでいるクワ科のカナムグラだそうです。





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エノコログサと朝露

2009-10-19 22:07:21 | Weblog
朝の空気が日増しに肌寒く感じられるようになりました

まるで水晶玉のような朝露が、道端の草たちに装いを凝らしています。

10月は早くも後半の10日を残すのみ・・・

買ってしまった芥川賞「終の住処」も読まなければならないし

東北の山にも一度行ってみたいと思いますが

今年の秋中には多分無理でしょう

この季節になると体調がよくなるのか

妙に楽しいことや、やりたいことが増えてしまいます

せめてもう少し実行力があればいいのですが・・・・(反省)





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三角点探し~山吹山(京都府綴喜郡井出町)

2009-10-18 06:34:46 | Weblog
低山歩きの楽しみ方の一つに「三角点探し」というのがあります。

三角点は、地図などを作る場合などの三角測量で経度、緯度などの基準になる点のことで

山の上や見晴らしのいい場所に、測量法という法律で定めらた測量標が埋められています。

重要度に応じて一等~四等までに分類されていますが、通常低山歩きで見られるのは

三等か四等が多いようです。

「三角点探し」はこの測量標のある場所に到達することを目的にした山歩きです。

今回、三角点探しにチャレンジしたのは、いつもよく行く井出町野外活動センターの

向いに見えている山、「山吹山」の三角点です。

この山は、普段は地元の林業関係者か、高圧鉄塔を巡視する電力会社の人ぐらいが

来るるぐらいで一般のハイカーはあまり訪れないようです。

正式な登山道はないので、高圧鉄塔巡視路の利用ができる山城町との境界線の

尾根を登ることにしました。


まず、林野庁の「境界見出標」のある所から、小川を渡ります。


尾根に取りつくには、暗い杉の植林帯の踏み跡を辿ります。


尾根道に出ると鬱蒼とした杉林は終わり、明るい雑木林となります。
どうやら高圧鉄塔の巡視路らしいやや明確な踏み跡が上に向かっています。


予想通りでした。一番目の高圧鉄塔に到着です。


ここからはさらに巡視路らしい道が延びています。
とりあえず、この道さえ辿っていけば三角点近くの2番目の鉄塔までは迷わずに行けそう


T型の分岐点に関西電力の巡視用の標識があり、「右へ山吹山へ」と誰かが書き込んでいます。
道は左の方がやや登りで、右はやや下っていますが、この親切な?落書きに従い右へ・・・


2番目の鉄塔に到着、もう少しで三角点という期待が膨らみます


さらに100㍍ほど進むと前方に派手なテープ巻きが・・・
以外と訪れるハイカーは多いようです。


真ん中のテープには「△→三角点あり」と書いてあります。


→に従い斜面を登ります。道は不明確ですが、ピークはすぐそこの様です。


三角点に到着できました。見通しはありませんが、ささやかな達成感を味わいます。


これが山吹山の四等三角点測量標です
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ツルニンジン(蔓人参)~果実編

2009-10-16 22:13:10 | 双子葉合弁花

画像を見て、なぁ~んだ柿のヘタかと思われそうな形、

先月UPしましたツルニンジンの近況報告です。

型破りの花は果実もまた型破りでした。

花冠の筒状部分は脱落して、中央の淡紫色の5角形の部分が

花の姿の名残りを留めています。

子房は大きく膨らみ、横から見ると、全体は扁平な球形で

萼片の位置は中間のやや下から延びています(半子房下位)





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コシロノセンダングサ(小白の栴檀草)

2009-10-15 20:04:16 | 双子葉離弁花

コシロノセンダングサは、コセンダングサの変種で、中部以西に広く分布する北アメリカ原産の帰化植物です。

明確な違いは、コセンダングサが筒状花のみの貧相な花なのに対して、コシロノセンダングサの花が

筒状花の周りに4~6枚の白い舌状花をやや不規則に付けている点です。

この様な変異が突然変異なのか、交雑によるものなのかは不明確ですが、生息環境には明らかな違いがあり、

コセンダングサが比較的、痩せた土地に育つのに対して、コシロノセンダングサはやや肥沃な土地を

選ぶようです。

沖縄や四国の南岸にはシロノセンダングサというこれより少し大きな花を咲かせるものがありますが、

これは園芸種が逸出して野生化したものです。


コシロノセンダングサ<キク科 センダングサ属>  別名シロバナセンダングサ



やや不規則に並んだ舌状花には独特の趣があります


人知れず咲く小さな可愛い花・・・


私はこの花の持つ雰囲気と「コシロノセンダングサ」という名前の響きが好きです。

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オトギリソウ(弟切草)の果実

2009-10-14 22:09:30 | 双子葉離弁花

井出町野外活動センターの駐車場で見つけました。

葉の形を見ると、どうやらオトギリソウが果実になったものの様です。

果実に関心がなかった性もありますが、オトギリソウの果実を見るのはこれが初めてです。

このオトギリソウの果実をつけたまま全草を刈り取り天日で干したものは、

生薬名で小連翹(しょうれんぎょう)と呼ばれ、煎じた液には止血・鎮痛・打ち身・腫れものなどに

効果があるといわれています。

弟切草(おとぎりそう)の名の由来は、家の秘伝であった薬効のあるこの草のことを他人に

しゃべった弟を、兄が切り殺したという言い伝えによるものです



オトギリソウ<オトギリソウ科 オトギリソウ属>

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ヒメアザミ(姫薊)

2009-10-14 06:25:54 | 双子葉離弁花

キク科の植物は種類が多く、同定に山野草ファンを悩ませ、「キク科は聞くな!」などとよく言われます。

そのキク科ファミリーの一角を占める、アザミの仲間も同様で、地方固有種や変種などもあって、

同定の難しい植物のひとつです。

画像のアザミは花と葉の大きさや形、地域から見て関西以西の山地に多いヒメアザミではないかと思われます。

別名をヒメヤマアザミと呼ぶそうですが、図鑑によって「別名ナンブアザミ」と表記されているものもあります。

しかし、ナンブアザミは中部以北の変種で、私の愛用している「山渓カラー名鑑・日本の野草」では別種に

位置付けられています。


ヒメアザミ<キク科 アザミ属>  別名ヒメヤマアザミ
 


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オトコエシ(男郎花)

2009-10-12 20:59:43 | 双子葉合弁花

オミナエシ(女郎花)よりも剛強な雰囲気から、オトコエシ(男郎花)と呼ばれます。

それぞれ、「女郎花」「男郎花」の漢字が使われ始めたのは、平安時代頃からのようで、

それ以前には「美人部為」「佳人部為」などの漢字が使われていました。

いずれにしても、かなり古い時代からこれらの植物を美人・美男子に見立てた名前が与えられていたようです。

今や準希少種となったオミナエシに比べ、山野にごく普通に生えている背丈1㍍程の多年草です。

黄色い花が目立って秋の七草にも数えられるオミナエシの影に隠れて、あまり知られていませんが

純白の花が群生する姿は清楚な美しさに満ちています。



オトコエシ<オミナエシ科 オミナエシ属>

薬用植物として、解熱や利尿に効果があり、葉はお浸しや和え物にして食べるなど身近な山菜として

利用することができます。

漢名を「敗醤」と言いますが、これは花を花瓶に生けておくと腐った醤油の様な臭いが水に残る

ことによります。







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