山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

オオカワジシャ (大川萵苣)

2011-04-27 06:46:17 | 双子葉合弁花

カワジシャは環境省のRDBに記載されている絶滅危惧種ですが、こちらはそのカワジシャに似て
姿が大きいことからオオカワジシャと呼ばれています。

4~9月にオオイヌノフグリにそっくりの花を付けますが、草丈は大きいものでは1㍍近くにも
なります。画像の個体は成長過程のようで、まだ約20㌢ほどの高さでした。

このオオカワジシャはヨーロッパからアジア北部原産の帰化植物で、カワジシャと交雑して雑種の
ホナガカワジシャを形成し、その雑種は種子を生産することが人為的交配実験や野外観察で確認され、
在来種の遺伝子撹乱が危惧されています。

 このため、オオカワジシャは、外来生物法の特定外来生物に指定され、栽培や移動が法的に
禁止されています。

これまで関東や中部地方での繁殖が報告されていますが、この京都府南部の木津川でも
確実に生息域を広げているようです。

オオカワジシャ <ゴマノハグサ科 クワガタソウ属> 越年性1年草

   ↓ 画像はクリックで大きくなりますオオカワジシャ

 

 

 

 

 

 

 


オカワジシャ(花詳細)

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オオバタネツケバナ (大葉種漬花)

2011-04-26 06:33:39 | 双子葉離弁花

川の畔や湿地などに群生するアブラナ科の多年草。
耕作地などで見られるタネツケバナとは少し生活域が異なります。

名前が示すように、葉や花がタネツケバナと比べかなり大きく、6~7㍉ほどあり、肉眼で見ても
花の形がわかるほどです。

関西の河川周辺では変種のニシノオオタネツケバナも見られるようですが
葉の形を調べると、画像の個体とはかなり違うようです。

それともう1種、オオケタネツケバナが候補にあげられますが、こちらは茎や蕾が顕著な
細毛に覆われています。 
本種では該当部分が無毛に近いので、オオケタネツケバナではないようです。


オオバタネツケバナ <アブラナ科 タネツケバナ属>  多年草


  ↓ 画像はクリックで大きくなります
オオバタネツケバナ















オオバタネツケバナ(花)















オオバタネツケバナ(葉)

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ウワミズザクラ (上溝桜)

2011-04-24 22:24:47 | 被子植物離弁花

ウワミズザクラは、山の麓や低山に生える桜の仲間です。
4月末~5月、葉が開いてから本年枝の先に長さ6~7㌢の総状花序を出し、
白色で5弁の小花を多数蜜に開きます。

一般的な桜の花のイメージとは少しかけ離れた雰囲気の花ですが、小花を
よく見ると、桜の花を小さくした形をしているのがわかります。
雄蕊は多数あり、花柱は雄蕊とほぼ同じ長さで、何れも花弁より長くなっています。

果実は6~7㍉の卵形で、他の桜と同様、黄赤色から黒く熟しますが、緑色の幼果は
塩漬けにする他、新潟県では蕾を塩漬けにしたものを杏仁香(あんにんこ)と呼んで
食用にしているそうです。

近似種にミヤマイヌザクラ、エゾノウワミズザクラなどがあります。

ウワミズザクラ <バラ科 サクラ属>   落葉高木


  ↓ 画像はクリックで大きくなります
ウワミズザクラ




 










 

 

 

 












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ノアザミ (野薊)

2011-04-23 22:22:28 | 双子葉離弁花

アザミの仲間は種類が多く、日本国内で正式な和名の付けられているものだけでも
60種類を超えるそうです。

その上、変種や極端に分布する範囲の狭い地方の固有種まで含めると、軽く100種を
超える種類がこの日本に存在しています。

唯一の春咲きアザミ

しかし、その中でも、春~初夏に人里近くの河原の土手などで花を咲かしている
ノアザミは比較的分布範囲が広く、他にこの時期に咲くアザミがほとんどないことから
他の秋咲きのアザミに比べ、同定が容易です。

つまり、単純に春咲きのアザミはこれだけなので間違うことはないと思っていただければ
良いと思います。



ノアザミ <キク科 アザミ属>  多年草

  ↓ 画像はクリックで大きくなります
ノアザミ


















 頭状花序は5弁の筒状花が
 集まったものです










ノアザミ(葉)



 アザミの語源は
 美しい花に誘われ
 手折ろうとすると
 葉の先端の刺が刺さる
 つまり、欺く(あざむく)
 であるとも言われます。
 草食動物に食われない
 ための植物の知恵かも
 

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ヤマモモ (楊梅・山桃)の花

2011-04-21 06:55:03 | 植物(木本)

ヤマモモは関東以西の山地に生える常緑高木です。
6~7月に熟する果実は直径15㍉程の大きさで、生食すると甘酸っぱい味がしますが、少し癖があり、
取り立てて美味しいと言える味ではありません。
等量のグラニュー糖に水を加え、煮詰めてジャムにするか、果実酒にするのが良いようです。

この木は雌雄異株で、雌株には雌花序のみ、雄株には雄花序のみが付きます。
花は風媒花で、雄花序は大量の軽い花粉を広範囲に飛散させるため、すぐ近くに雄株のない場合でも、
雌株のほとんどは受粉して結実します。

ヤマモモ <ヤマモモ科 ヤマモモ属>   常緑高木  

  ↓ 画像はクリックで大きくなりますヤマモモ(雌株)

 

  

  ← 雌花序は小さく、よく注意して
    見ないと咲いているのが
    わかりません。
    花と葉の位置関係を見ると、
    周囲の葉は空中を浮遊する
    花粉を捉えるのに都合よく
    配置されているようです
    

 
ヤマモモの雌花序

 

 

 

 

  ← 雌花序の詳細

 

 



ヤマモモ(雄株)



 ← こちらは雄花序です
   雌花序に比べて大きく
   かなり目立ちます。
   花粉は多く、軽いので
   10Km以上も離れた
   場所でも、雌花は受粉
   が可能です。  




ヤマモモの雄花序

 

 

 

 ← 雄花序の詳細

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タチイヌノフグリ(立ち犬の陰嚢)

2011-04-19 23:19:48 | 双子葉合弁花

イヌノフグリの仲間、タチイヌノフグリです。
ヨーロッパ原産の帰化植物ですが、同じくヨーロッパ原産のオオイヌノフグリが柔らかく湿った場所に
生えるのに対して、こちらはそれよりやや固く乾燥した場所に繁殖します。 

オオイヌノフグリに比べ、目にする機会が少ないのは、絶対数がやや少ないこともありますが、花が小さいうえに、
午前中の限られた時間にしか花を開かないこともその原因のひとつです。

 茎はオオイヌノフグリが地面を這って伸びるのに対して、垂直に立ち上がるところからタチイヌノフグリと呼ばれます。
花弁は小さく、先端が尖っているのが特徴です。

何れにしても、現在私達が目にするこの種の草の殆んどは帰化植物ですが、在来種のイヌノフグリが最近見られなく
なったのは、これらの帰化植物に駆逐されたとするのは誤りで、生息環境の変化による影響が大きいように思います。

元々、 在来種のイヌノフグリは土の少ない石垣などに繁殖していた種類で、それらの構築物が最近では隙間のない
コンクリートに取って代ったことが最大の原因ではないかと考えられます。

タチイヌノフグリ <ゴマノハグサ科 クワガタソウ属> ヨーロッパ原産帰化植物

  ↓ 画像はクリックで大きくなりますタチイヌノフグリ

 

 

 

 

 






 

 



 「フグリ」は睾丸の古い呼び方だそう
 です。
 首を傾げたくなるようなこの名前も、
 この果実の形を見れば納得です。
 確かに似ています。

 

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アオキ(青木)の雄花と雌花

2011-04-17 22:03:00 | 被子植物離弁花

冬に艶のある美しい赤色の実を付けるミズキ科のアオキです。

今、新芽と共に花の時期を迎えていますが、この木は雌雄異株で、雌株には雌花がそして
雄株には雄花が咲きます。 庭木として植えても一向に実が付かないのは、雄株である可能性が
高いので、今の時期に1度花を見て確認すると良いでしょう。

中段の画像のような花が咲いていれば、それは雄株なので実はできません。

アオキ <ミズキ科 アオキ属>  常緑低木 雌雄異株

  ↓ 画像はクリックで大きくなりますアオキ

 

 

 

 

 

 

 



アオキ(雄花)

 

 

 

 こちらは雄株に咲く雄花です。
 花弁が4個と雄蕊が4個で
 雌蕊はありません。

 

 

アオキ(雌花)




 

 こちらが雌株に咲く雌花です。
 花弁が4個と柱頭の大きな雌蕊が
 1個あり、雄蕊はありません。
 

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ニセカラクサケマン (偽唐草華鬘)

2011-04-16 22:23:24 | 双子葉離弁花

ニセカラクサケマンを始めて見たのは3年前のことです。
前回は京都市伏見区桃山の宇治川の畔にある公園の中でしたが、今回も宇治市内の宇治川堤防の土手です。
どうやら宇治川周辺で繁殖が進んでいるようです。

ヨーロッパ原産の帰化植物ですが、2000年代前半に出版された帰化植物の図鑑には載っていないので、
比較的新しく渡来した植物ではないでしょうか。

和名は赤い色のカラクサケマンに似て色が白いことから、「偽のカラクサケマン」の意味です。

花は先端が紅紫色で、白く大きな萼には鋸歯があり、中心に黄緑の筋が一本入っています。
先端の開いたものが見られないので、閉鎖花ではないかと思われます。

ニセカラクサケマン <ケマンソウ科orケシ科 カラクサケマン属>

  ↓ 画像はクリックで大きくなりますニセカラクサケマン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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コチドリ (小千鳥)

2011-04-15 21:43:41 | Weblog

満開の桜が早くも散り始めました。
どうやら桜の花も今週末がクライマックスのようです。

そして散った花の後には、瑞々しい若葉が顔を覗かせています。

季節はいよいよ春から初夏へ・・・(ちょっと気が早い?)

今日の夕刻、田起こしの始まる前の水田で、このあたりでは夏鳥のコチドリの姿が見られました。
名前の通りチドリ類では最小のチドリです。

チドリの仲間はどれも体形や色がよく似ていますが、このコチドリはトレードマークとも言える
黄色いアイリングが遠くからでもよく目立ち、比較的、識別が容易です。

繁殖期には、近くの木津川畔の砂地に簡単な巣を作り、卵を産みますが、卵も雛も小石に似た
保護色で、広い河原では私たちが目にすることはほとんどありません。

親鳥はカラスなどの外敵が巣に近付くと擬傷(傷ついたふり)を行って卵や雛を守る習性のある
ことが知られています。

 コチドリ <チドリ目 チドリ科>  夏鳥

   ↓ 画像はクリックで大きくなります
コチドリ

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 












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キジ(雉)

2011-04-09 22:44:14 | Weblog

木津川河川敷の樹林伐採地で出会った雄のキジさんです。
昨年の大規模な伐採工事で姿を消したと思っていましたが、どうやら住み慣れたこの場所を
離れなかったようです。

突然の出会いで驚きましたが、それより驚いていたのはキジさんのほうでしょう。
そそくさと葦の茂みに隠れてしまいました。

キジ <キジ目 キジ科>   留鳥   別名ニホンキジ
日本の国鳥です。狩猟用に放鳥されることもあり、比較的、人里近くで見られることの多い鳥です。
過去に海外から移入されたコウライキジが放鳥されたこともあり、その子孫や交雑種も見られますが、
コウライキジや交雑種の多くには首と胴体の間に、白い首輪のような模様があります。
但し、雌や幼鳥ではそういった外見上の違いは見られないので見分けられません。
  
  ↓ 画像はクリックで大きくなりますキジ(♂)

 

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ヒメウズ (姫烏頭)

2011-04-06 22:47:15 | 双子葉離弁花

ヒメウズは、川の土手や山麓の草地に生えるキンポウゲ科の多年草です。

花の形はオダマキの長い距を取ったような形ですが、5~6㍉と小さく、草丈も
10~15㌢程なので、あまり目立つ植物ではありません。

しかし、よく見ると俯き加減に咲く白い花は中々可愛く、清楚な趣があります。

白く花弁のように見えているのは萼片で、その内側に雄蕊を囲むように筒状に配列
されているのが花弁です。
キンポウゲ科の花には、このように萼片が花弁状をしているものが多いようです。

和名のウズは、烏帽(とりかぶと)で、ヒメウズは「小さなトリカブト」の意味です。


ヒメウズ <キンポウゲ科 オダマキ属>   多年草

   ↓ 画像はクリックで大きくなりますヒメウズ

 

 

 

 

 

 




 




 

 

 








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ネコヤナギの雄花

2011-04-05 22:46:58 | 植物(木本)

赤い葯が開き黄色い花粉が出始めたネコヤナギの雄花です。

ネコヤナギは別名をカワヤナギと呼ぶように、山野の川辺に生え、冬の間、銀白色の花芽が
人目をひきますが、この時期の雄蕊が見せる黄金の輝きもまた格別です。

ネコヤナギ <ヤナギ科 ヤナギ属>    落葉低木


  ↓ 画像はクリックで大きくなります
ネコヤナギの雄花序


 

 

 











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キブシ (木五倍子)

2011-04-04 22:36:10 | 植物(木本)

キブシの花の蕾が少しづつ膨らんで開花の時期を迎えています。

この木は雌雄異株で、雄花は淡黄色で雄蕊がよく発達し、雌花はやや小さく
淡黄緑色で子房が発達しています。
但し、今はまだ開花していないので、この画像では雄花なのか雌花なのかの
判断はできません。

雌花は5月下旬には結実を始めますが、実が熟して種を落とすのは10月頃です。
花の蕾はその後にできるので、1年がかりの種作りをしていることになります。

和名は「木五倍子」で、果実をヌルデの葉にできる虫瘤から作る染料「五倍子」の
代用として使ったところからこの名があります。

キブシ <キブシ科 キブシ属>   落葉低木

   ↓ 画像はクリックで大きくなりますキブシ

 


















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コブシ (辛夷)

2011-04-03 12:42:24 | 植物(木本)

コブシは山野に自生するモクレン科の小高木で、3~5月に枝先に6~10㌢の
芳香のある白い花を咲かせます。

この花より少し早く咲く、中国原産のハクモクレンと花の形は似ていますが、大きさは
ハクモクレンよりずっと小さく、花の下に葉が1枚付くのが特徴です。

モクレンやハクモクレンとのもう1つの大きな違いは、花の向きです。
モクレンやハクモクレンが全て上を向いて咲くのに対して、コブシは枝の伸びる方向に
忠実に花を開きます。

山で見る、よく似た樹木にタムシバがありますが、コブシと違って花の下に葉が無いことと
やや疎らに花が付くことで見分けられます。

コブシ <モクレン科 モクレン属>   落葉小低木


      ↓ 画像はクリックで大きくなります 
コブシ



 

 

 

 

 





 

 

  花の基部に葉が1枚付くのが
 コブシの特徴です。
 モクレンやタムシバなどには
 この葉はありません  
  





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シキミ(樒)の花

2011-04-02 19:38:07 | 植物(木本)

山を歩くと、コブシやタムシバなどのモクレン科の花が見られる季節になりましたが
仏事によく用いられる、このシキミ(樒)もモクレン科で、今ちょうど花期を迎えています。

この植物は、日本特有の香木で、樹皮や葉から抹香や線香が作られ、実際に葉を切って
嗅いでみると抹香や線香の香りがします。

株全体が有毒で、特に9~10月に実が熟して飛び出す種子は猛毒です。

和名は漢字で「樒」ですが、「シキミ」という呼び名の語源には諸説あって、実のところ
よく分かっていません。

古語で実が多く、重なりあうことを重実(しきみ)と呼んでいたことに由来すると言うのが
有力ですが、その他では、種子が猛毒であることから「悪しき実」とする説や、
土葬が行われていた時代に埋葬した遺体が動物などに依って掘り荒らされないように、
遺体の上に有毒の樒の葉を敷き詰めたことから「敷き身」が語源とする説などがあります。

シキミ <モクレン科 シキミ属>  常緑小高木

   ↓ 画像はクリックで大きくなりますシキミ

 

 

 

 

 

 

 







 

 

 




 





 花弁と萼片は共に線状披針形で
 12個づつあります

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