山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

ヤブツバキ (藪椿)

2008-12-31 13:36:02 | 植物(木本)
穏やかな日が多いからか、近くの里山にヤブツバキが咲き始めました。
椿には改良された園芸品種も多く、八重咲きや斑入りのものなども多く栽培されています。

しかし一方では原種であるヤブツバキの艶やかで深みのある緑の葉と真紅の花のシンプルな
組み合わせを愛する人も決して少なくありません。

そのため、現在でも公園樹や庭木に植えられている椿の多くはこのヤブツバキです。

ヤブツバキはこれまで、日本固有の原種ツバキと考えられてきましたが、最近では中国や朝鮮半島にも
同一種の有ることが知られています。

ヤブツバキ <ツバキ科 ツバキ属> 別名 ヤマツバキ


園芸品種には無いこのシンプルで飾り気のない美しさは捨てがたいものです




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ヤドリギ (寄生木)

2008-12-29 22:42:11 | 植物(木本)
源氏物語と宇治茶で知られる宇治市では、この季節に宇治川畔などにある桜や榎などの落葉高木に
着生しているヤドリギが多く見られます。

ヤドリギは半寄生性の常緑樹で、宿主の木が落葉した後にも葉は緑を保っているため、冬になると
俄かに存在が目立ってきます。

ヤドリギ <ヤドリギ科 ヤドリギ属>


よく見ると、この一株は果実を付けている様です。約6㎜ほどの小さな果実で、果肉は強い粘性を持つ液果
で中に一つの種子があります。

果実を鳥が食べた後、種子は糞に混じって体外に排出されますが、この時果肉に含まれる粘液によって他の木に
付着し、そこから寄生根を出して幹に食い込ませ再び着生します。

自分以外の木に寄生して、そこから水分と養分を採る吸血鬼の様な植物ですが
ヨーロッパでは、クリスマスの飾りに使われる縁起物で、ヤドリギの木の下では誰にでもキスをしてかまわない
という風習が有り、これを「ヤドリギの下のキス」と呼んでいるそうです。

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桐の実と花芽

2008-12-28 22:56:58 | 植物(木本)
初夏に藤色の花をいっぱい咲かせて人目を引く桐の冬の姿を撮ってみました。
葉も無くなってちょっと寂しそうな姿ですが、そこには自然が生んだ造形的な面白さもあります。


今はすっかり葉が落ちて、まるで枯れ木の様です。実は弾けてほとんどは地面に落ちてしまいましたが一部は
この様に残っています。よく見ると種子も残っている様です。




こちらは来年の5月頃に藤色の花になる花芽です。よく生け花の花材として使われています。
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オオイヌノフグリ

2008-12-27 19:30:11 | 双子葉合弁花

今週は北からは雪の便りが届き、また昨日は京都でも少しばかり雪が降りました。
それでも城陽は概ね温暖な日が多く、3月~4月に咲く花が今頃咲いているのをよく見かけます。

このオオイヌノフグリもそんな花のひとつで、ルリ色の中々美しい花です。

フグリは哺乳動物の♂の陰嚢のことですが、果実の形が似ていることからそう名付けられました。
どうもこの可愛い花からすれば、すこし迷惑なネーミングの様ですね。

そんな訳で、女性からこの名前の意味を聞かれると少し困惑してしまいます。
まさか「犬の○○○○です」とは答えられません。

そういう場合、この花にはもう一つの美しい別名があります。

星の瞳・・・これなら大丈夫です。(何が大丈夫なのか?書いている私にもよくわかりませんが・・・)


オオイヌノフグリ <ゴマノハグサ科 クワガタソウ属> ヨーロッパ原産 帰化植物






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アセビ (馬酔木)

2008-12-26 06:36:31 | Weblog
アセビは漢字で書くと「馬酔木」と書きます。葉や茎にアセボトキシンという毒があり、そのため馬が
これを食べると足が痺れて酔った様になるそうです。呼び名はこれが訛って足痺れ→アシビ→アセビ
と変化した様です。

ここに載せた二枚の写真は、先日加茂町の当尾の里を歩いた時、最後に寄った浄瑠璃寺の参道に
咲いていたものですが、ここのアセビはこの花としては比較てき大きくて立派な品種です。

堀辰雄の作品に「浄瑠璃寺の春」というのがありますが、ここでもこの馬酔木についての記述があります。
もちろん戦前の話ですから、同じ木ではないと思いますが参考のため記事の最後に引用しました。


アセビ <ツツジ科 アセビ属> 別名 アシビ・アセボ




「まあ、これがあなたの大好きな馬酔木の花?」妻もその灌木のそばに寄ってきながら、その細かな白い花
を仔細(しさい)に見ていたが、しまいには、なんということもなしに、そのふっさりと垂れた一と塊りを掌のうえに
載せたりしてみていた。 どこか犯しがたい気品がある、それでいて、どうにでもしてそれを手折って、ちょっと人
に見せたいような、いじらしい風情をした花だ。云わば、この花のそんなところが、花というものが今よりかずっと
意味ぶかかった万葉びとたちに、ただ綺麗なだけならもっと他にもあるのに、それらのどの花にも増して、いたく
愛せられていたのだ。───堀辰雄「浄瑠璃寺の春」より 
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クコの実

2008-12-25 06:52:18 | 植物(木本)
冷たい風の吹いている木津川の河川敷、葉が散って寂しくなった灌木に混じって小さな赤い実が数粒、
人目を忍ぶように付いているのを見つけました。

よく見るとクコの実です。完熟状態らしく見事な赤色をしています。ドライフルーツにしたものが食材として
市販されていますが、生の果実は僅かな甘みはあるものの、不味くて食べる気がしません。

しかし、それは兎も角としてこの姿はとても美しくて可愛い。私にとっては他の何粒のものより、この数粒が
貴重なものに思えたひと時でした。

クコ <ナス科 クコ属>


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タネツケバナ (種漬け花)

2008-12-24 06:40:28 | 双子葉離弁花

この草も昨日のオランダミミナグサと同様、本来の花期は4~6月ごろです。
種漬け花の名前は、春になって苗代に蒔く種籾を水に漬ける頃に咲くのでこう呼ばれてきました。
昔は農作業をする上で、この花は大切な花暦にもなっていた様です。
しかし、最近の異常な気候変化にはこの草もついていけず、今頃から咲いてしまっているようです。

タネツケバナ <アブラナ科 タネツケバナ属>


この水掻きを付けたような葉が特徴ですが、これが単葉か複葉かというのが議論されているようです。
羽状複葉とか、複葉の様な単葉とか見る図鑑によって違った表示がされています。

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オランダミミナグサ

2008-12-23 17:41:22 | 双子葉離弁花

ハコベと同じように道端や畑などでよく見られる草です。本来の花期は4~5月頃ですが、温暖な
気候の城陽では、すでに一部が咲き始めています。
ハコベと一緒に生えていることが多いのですが、全体に軟毛と線毛が密生しているので区別できます。
原産地はヨーロッパの帰化植物、ミミナグサの名前は、葉の形が動物の耳に似ていることからそう名付
けられたそうです。

オランダミミナグサ <ナデシコ科 ミミナグサ属>


花は茎の頭頂部に集中して付きます。



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葉牡丹

2008-12-21 13:59:10 | Weblog
先週、仕事で世話になっている友人、Y氏から電話がありました。
「今年は、あれどうする?」とY氏、ここ2年ほど年末にはいつも分けてもらっていた葉牡丹のことです。
私は二つ返事で「要る要る」と答え、日曜日の8時にY氏の農園へ取りに行くことになりました。


午前8時農園に到着、と言っても私の家から車で僅か約5分の所にあります。Y氏はまだのようです。
電話をいれると愛犬と散歩中とのこと、ここで暫く待ちます。


5分ほど待つとY氏登場、このガッチリとした体格のY氏、数年前、某高圧受電設備メーカーを退職した
後、自ら電気設備の会社を立ち上げ現在も活躍中、その一方で米や野菜を作りをするなど、実に多才で
精力的、その体力と精神力たるや衰えるどころか、老いて益々盛んです。


「どれでも好きなん持っていって」とY氏、しかしどれも立派で美しく目移りがして中々決められない




葉牡丹を頂いた上、帰りにはこんなに沢山の野菜まで、ええかいな・・・もちろん採れたて新鮮そのもの
早速今夜は鍋料理で一杯だ。いやぁ持つべきは友ですねぇ


私が選んだのはこれ、レース飾りの様な踊り葉葉牡丹の赤と白です。賑やかな感じが正月らしくていい
でしょう。直径60センチもある大型です。

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冬田の住人達

2008-12-18 06:55:39 | Weblog
私と家族が京都市からこの城陽市に移り住んでから既に30年になります。

最初は見るのも珍しかったこれらの鳥達も一年中見ていると、すっかりお馴染みになりました。

それに伴って、夏の間は彼等の存在すら気にしなくなっています。

ところが稲刈りが終わり、回りに見る花もないこの季節になると俄然、彼等の姿へ目がいきます。



観察の回を重ねる毎に彼等の行動についての雑学が身についてきます。

ケリは縄張り意識が非常に強い鳥で、自分の縄張りに他の鳥が入ってくることを絶対許しません

カラスやトビなど、自分より遥かに大きな相手にも猛然と向かっていきます。そして相手が去るまで攻撃を続けます。

正面から撮影したかったのですが、この時は隣の田に居たカラスを眼光鋭く睨み付けていました。

これとは対照的に、サギの仲間は肉食をする鳥にしては、他の鳥と折り合いがよく、コサギとアオサギは木津川の

対岸の同じ木で、コロニーを形成しています。これといったトラブルはないようです。


コサギは通常、単独で行動します。昆虫やドジョウを捕える作戦は基本的には待ち伏せ、辛抱強く

チャンスを待ちます。



こちらのアオサギはペアリングが進んでいるようです。
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当尾(とうの)~石仏の里

2008-12-14 17:51:02 | Weblog
静かな南山城の山里、当尾(とうの)を訪ねてみました。
JR関西本線の加茂駅からバスに乗ると岩船寺へは16分位ですが、ここはカントリーウォークを
楽しみながら歩いて行くことにしました。
大半は車道を歩くのですが、通る車はさほど多くはありません。途中、左に「くぬぎ坂」という
苔むした石畳の旧道があり10分ほどは、しばし味気ない車道歩きから解放されます。
 

竹藪の中の車道を約一時間ほど歩き当尾の集落を過ぎると岩船寺に着きます。
岩船寺は素朴な佇まいの山寺で、門前には農家の人達が農作物などの地産品を売っている店や、
「吊り店」という無人のスタンドが道沿いに点在していて、干し柿、野菜、自家製の漬物などが一袋100円から
という産地ならではの値段で並んでいるので、つい3袋、4袋と買って荷物を増やしてしまいます。
しかしこれもカントリーウォークの楽しみの一つです。
 

紅葉が終わり、本来の静寂を取り戻した岩船寺 紅葉の時期は三重の塔がひときわ美しい


一願不動へ向かう道で見かけた風景、カントリーウォークのコースは同時に地元の人達の生活の場、
民家の近くを通る時には静かな生活環境を乱さない配慮が必要です。地域の人に出逢ったら軽く会釈
ぐらいはしたいし、「お邪魔します。歩かせていただいてます。」という気持ちを忘れたくないものです。


岩船寺前から右へ少し行くと、「石仏めぐり 浄瑠璃寺へ1.5Km」の道標があります。道標に従って
右にコースをとり、途中の急な石段を降りると、まず巨大な自然石に彫られた不動明王立像が迎えてくれます。
「一願不動」と呼ばれ、一つのことを一心に願えば、その願いが叶うといいます。



石段をさらに降りると、前方が明るくなり分岐点になっています。浄瑠璃寺へは、そのまま石段を降りて行きますが、
左に少し行くと「わらい仏」として親しまれている阿弥陀三尊があります。穏やかな笑みを浮かべた表情からは何か
ほのぼのとした親近感を感じます。


道を引き返し、浄瑠璃寺への道標に沿って坂を降りて行きます。やがて「カラスの壺」と呼ばれる辻まで来ると、
阿弥陀・地蔵磨崖仏に出合いますが、これは一つの岩の正面に阿弥陀如来座像、左側面に地蔵菩薩立像が刻まれています。
 

やがて田畑の中に民家が見える里景色になり、あたご灯篭と東小バス停前に出ます。
ここからは車道を歩き、浄瑠璃寺へ向かいます。途中、道路脇の竹藪の前に「藪の中の三尊」があります。
左の岩に阿弥陀如来座像、右の岩には地蔵菩薩と観世音菩薩立像が彫られています。

 
ここから右に入ると大門石像群と門仏谷磨崖仏が見られます。
往複50分ほどのアルバイトですが、ぜひ見て行きたい石仏群です。

 首切地蔵                                 大門石像群 
 

大門石像群                                門仏谷磨崖仏
 

浄瑠璃寺参道のアセビ                           浄瑠璃寺山門 以外に小さい 
 

紅葉シーズンの終わった今、参拝に訪れる人は少ない。静寂の中に佇む浄瑠璃寺三重塔(国宝)
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リュウノヒゲ (竜の髭)

2008-12-13 17:38:59 | 単子葉類

先週から探していたリュウノヒゲの実、やっと見付けました。

何処にでもあって、すぐにでも見つけられそうですが、主な繁殖の手段を地下茎に依存しているこの植物、
結実したものは意外と少ない上に、実はふさふさと繁った葉っぱに隠れて中々みつけられません。
コバルト色のとても綺麗な色なので、見つけるとつい嬉しくなってきます。

この実の実際の色は、どちらかと言うともっと濃い青紫色ですが、光の具合とデジカメの性で正確に
表現するのは、難しいようです。

リュウノヒゲの地下茎は、所々紡錘形に膨らんでいて、この部分が漢方薬として使われます。
生薬名を麦門冬(ばくもんどう)と呼び、痰の切れない咳に効果があるそうです。



リュウノヒゲ <ユリ科 ジャノヒゲ属> 別名 ジャノヒゲ






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シクラメン

2008-12-12 23:07:15 | Weblog
特に園芸などやらない私でも、この時期になるとつい買ってみたくなる花があります。

俗に言う衝動買いなのですが、この花が園芸店やホームセンターの園芸コーナーに並ぶと
いよいよ師走だなぁ~という気がします。

ところが私には、この花を2年続けて咲かした記憶がない。この時期になるといつも新しい
鉢を買っているような気がします。

・・・といったところで、今月の女房殿の俳画はこれです。

水をやらなくても、ずっと咲き続ける優れものだそうです。ハイハイ




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ヤブランの実

2008-12-10 22:51:44 | 単子葉類

ヤブランが黒光りする小さな実をいっぱい付けています。

まだ緑色のものや、色が緑から黒へと変化する途中のものも入り混じり
地味ながらも趣のある美しさを見せています。

来年は、この子供達が大きくなってまたあの薄紫の可愛い花を見せてくれることでしょう

2008年もあと僅か、何かやり残した事いっぱいある様な気がする年の瀬・・・
泣いても笑ってもあと20日、できたら笑って過ごしたいものですね。

ヤブラン <ユリ科 ヤブラン属>

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アオキ (青木)

2008-12-09 22:36:54 | 被子植物離弁花

庭のアオキの実がだんだんと鮮やかな赤色になってきました。

アオキは庭木としてよく植えられているので比較的身近で見ることの多い植物です。
葉だけではなく若枝も緑色をしているのでこんな名前がつけられました。

葉は厚みがあり、艶のある深い緑色をしています。この葉のしぼり汁には解熱効果があるため
昔は子供が風邪をひいて熱を出した時などに飲ませたそうです。

園芸品種も多く、白い実や黄色い実を付けるもの、斑入りの葉をもつものなどがあります。


アオキ <ミズキ科 アオキ属>




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