山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

サネカズラ(実葛)

2012-11-26 18:13:23 | 被子植物離弁花

サネカズラはモクレン科の蔓性常緑樹です。

常緑樹とは読んで字の如く、一般的には秋になっても紅葉や落葉のないものを指しますが、

このサネカズラは常緑樹でありながら、冬が近づくと葉や茎の一部が赤く色づきます。

これは葉や茎が寒さで凍りつかないように糖分の濃度を上げているためで、赤い色は

糖分から作りだされる色素アントシアンによるものです。

同じような常緑樹の紅葉はスイカズラやテイカカズラでも見られますが、落葉樹のように葉と茎の

間に落葉のための離層は形成されず、落葉はしません。

落葉樹の紅葉はこれとは異なり、葉と茎の間に離層が出来て養分が遮断され、その結果として

葉緑素が分解され、その下にあった赤や黄の色素が現れます。

 サネカズラ <モクレン科 サネカズラ属> 常緑蔓性  別名ビナンカズラ

サネカズラ1















サネカズラ















サネカズラ

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ツグミ(鶫)

2012-11-25 17:34:35 | Weblog

木津川堤で餌を啄むツグミの姿が目立つようになってきました。

この鳥は夏季にシベリア地方で繁殖し、秋に中華人民共和国北部へと大移動する冬鳥で

その一部が日本にも飛来します。

全国的には10月上旬頃から飛来してくる冬鳥なので、この地域は少し時期が遅いようです。

身近に見られる冬鳥の中では比較的、滞在期間が長く、毎年4月末頃までの観察が可能です。

渡来数は年によって多い時と少ない時がありますが、これは大陸での通過地点の食糧の量に

関係があると言われています。

地面を歩きながらミミズや昆虫を食べますが、昆虫の少ない冬期には、草の実や木の実も

好んで食べます。

 日本での越冬中は単独、または群れで行動し、体色の個体差はあるものの雌雄は同色。

求愛行動も見せないことから雌雄の判別は困難です。

ツグミ <スズメ目 ツグミ科> 冬鳥

ツグミ















ツグミ















ツグミ

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ヌルデ五倍子

2012-11-23 10:08:38 | 被子植物離弁花

今日は11月23日勤労感謝の日、今日から3連休の人も多いと思いますが、昔、私が勤めていた

会社ではこの日を含めて連休になると、お客様に迷惑がかかるということで、休日出勤をしていた

記憶があります。冗談で「勤労に感謝して働く日なんだ」などと言っていました。

しかし今、改めて考えてみると、いったい誰が誰に感謝する日なんだろうという気がしないでもありません。

まあ、1年に一度位は、健康に働ける自分自身に感謝し、自分で自分を褒めてあげることも

必要なことではないでしょうか。

 

さて、画像は紅葉したウルシの仲間、ヌルデです。

中央に不規則な形をした果実のようなものが見えていますが、これはヌルデミミフシアブラムシ

の幹母1令幼虫の寄生によってできた五倍子と呼ばれる虫嬰(虫こぶ)です。

五倍子と書いて「フシ」と読みますが、漢字が三文字なのに読みが二音とはいかにも不可解ですが、

元々は「ゴバイシ」であったものが時代と共に何らかの理由で転訛したものだと思います。

この幹母1令幼虫は全てが♀で、この五倍子の中で単為生殖によって増殖します。

この時期には翅のある成虫となって飛び立ち、チョウチンゴケへと寄主を変え、単為生殖で

♂と♀を産みます。

その後ここで生まれた♂と♀は成虫で越冬した後、新たな幹母1令幼虫を産むという、やや複雑な

世代交代を行っている昆虫です。

五倍子には50%以上のタンニンが含まれているため、古くから黒の染料として利用されて

きました。

 媒染液としては、酢に鉄を浸したものが使われていたようですが、正月のおせちに使われる

黒豆の色だしにも錆びた鉄釘が使われるのもこのような触媒としての効果によるものでしょう。 

ヌルデ五倍子

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ヘクソカズラ(屁糞葛)の果実

2012-11-11 10:10:48 | 双子葉合弁花

ヘクソカズラ(屁糞葛)とはなんとも強烈な名前を頂いたものですが、標準和名はヤイトバナのようです。

別名があまりにも強烈なので、今日では標準和名よりもこの名が普及してしまっています。

しかし、この別名も源流を辿ると、万葉時代には既に「くそかずら」と呼ばれていたようで、

万葉集に高宮王の「さう莢に 延ひおほとれるくそかずら 絶ゆることなく宮仕えせむ」の一首が

みられます。

「さう莢」は刺のあるノイバラのような灌木のことですが、その刺をも厭わず絡みついていく

ヘクソカズラのように絶えることなく宮仕えしましょう・・・という意味の一首だそうです。

宮仕えの厳しさ・・・今も昔も変わりませんね

追い打ちをかけるように「屁」が追加されたのは江戸時代のようですが、これはどうも悪ノリ?

 のような気がします。

ヘクソカズラ <アカネ科 ヘクソカズラ属> 蔓性多年草

ヘクソカズラ(果実)















さて、ところでヘクソカズラの名は悪臭がすることに由来するものですが、花などに鼻を近付けて

嗅いでみても悪臭がするわけではありません。

しかし、実際にやってみたことはありませんが、揉んだりすると不快な悪臭があるようです。

この臭いの元は、細胞に含まれるペデロシドという物質で、昆虫などの食害を受けた場合、

メルカブタンメルカプタンという揮発性のガスに分解されて悪臭を発します。

これは、この植物の天敵に対する防御機構の一種ですが、これを逆手にとって利用する

昆虫がいるというから、自然は面白いものです。

カタカナで書くと15文字と、少し長い名前ですが「ヘクソカズラヒゲナガアブラムシ」という

アブラムシの一種はヘクソカズラの汁を吸うことによってペデロシドを体内に取り込み、天敵の

テントウムシに捕食されるのを防いでいます。

また、スズメガの一種ホシホウジャクは他の蛾類との競合のないヘクソカズラを食草に

することによって食草の独占を計っていると考えられます。

何れも植物と昆虫の生きるための知恵・・・知れば知るほど不思議という他ありませんね。

 

 

 

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サザンカ(山茶花)

2012-11-10 17:17:28 | 被子植物離弁花

まだ暗い水主神社の森に朝の陽が差し込み、白い花を輝かせていました。

サザンカ <ツバキ科 ツバキ属> 常緑小高木 

ツバキ科の樹木では、ヤブツバキなどに先駆けて一番早く咲くのがこのサザンカです。

サザンカは日本特産種のツバキで、画像のものは花弁が二重(ふたえ)であるところを見ると

園芸種として改良されたものでしょう。園芸種ではこの他に、シシガシラなどの八重咲き

や斑入りのものなどが多数が作られていますが、どちらかと言うと赤色系が主流。

原種のサザンカは基本的に一重咲きで、花弁は5個です。

多数ある雄蕊はツバキの様に筒状に合着せず、また花弁も基部で合着していないなどが

共通の特徴としてあげられます。

































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ヒヨドリジョウゴ(鵯上戸)

2012-11-06 22:11:23 | 双子葉合弁花

草藪の中にヒヨドリジョウゴの可愛い実を見つけました。

この実は液果で、指先で強く摘まむとプチッと潰れます。

そんな儚く弱々しい質感を表現したかったのですが・・・

ヒヨドリジョウゴ <ナス科 ナス属> 蔓性多年草

ヒヨドリが好んで食べると言われていますが、実際に食べている姿を見たことがありません。

はたして本当?

ヒヨドリジョウゴ

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柿紅葉

2012-11-05 22:30:47 | 被子植物合弁花

朝日をバックに逆光で撮ってみました。

真っ赤に紅葉した柿の葉が実に鮮やかです。古くは「柿もみじ」と呼ばれ、室町時代には

恋の想いを葉にしたためて水に浮かべ、恋の成就を祈って流したといいます。





































































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楓紅葉

2012-11-03 15:06:03 | 被子植物離弁花

11月に入って今日が3日目・・・

月日の流れというか、時の過ぎていく速さが月替わりという一つの壁を越えてトントントンと

俄かに慌ただしくなってくるように感じているのは私だけでしょうか?

 

ここ2~3日の朝の気温は10℃を少し下回っていたようです。

秋を感じる体内の温度センサーが10℃に設定されていたのか、9℃にまで下がるとさすがに

寒さを感じない訳にはいきません。

朝の通勤時、背を丸めて歩く人達を車窓から眺めながら「ああ、やっぱり外は寒いだろうな~」

などと想像しながら車を走らせています。

 

よく、「男と女は似て非なるもの・・・」とか申します。

この薄寒い季節に薄いタイツとショートパンツという出で立ちで街を闊歩する若い女性・・・

あれは寒くないのでしょうかね。

一説によると、極限でのサバイバル能力は男性より女性のほうが優れているとか?

そうなると当然ながら耐寒能力も男性よりは・・・

それともファッションのためなら多少のことは辛抱ということでしょうか。

 

大正池グリーンパーク(京都府綴喜郡井手町)のイロハカエデの一部が美しく紅葉し始めました。

里山全体としては、梢が少し色づいた程度ですが、この樹は見事に紅葉しています。

言わずと知れた日本の紅葉を象徴する樹木で、古来より日本画にも多く描かれていますが、

日本画の場合、花や葉の色の美しさ以上に重視されているのが樹形や枝振りという要素で

自然との優しい関係の中で暮らしてきた日本人特有の観察力と美的センスが活かされて

いるように思えます。

今日の画像は文章も写真も、そんなセンスを持ち合わせていない私の撮ったイロハモミジです。

尚、京都の主な観光地の本格的な紅葉は今月の中旬以降 となりますので、タイミングよく

お出かけください。

イロハカエデ














イロハカエデ















イロハカエデ















イロハカエデ















イロハカエデ

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青空に映えるセンダンの実

2012-11-01 17:07:25 | 被子植物離弁花

気が付けば早くも今日からは霜月・・・今年も後60日なんですね~

今年やり残したことは? (そんなもんある訳ないか)

 

日が過ぎるのを早いなぁ~と感じるのは老化現象の始まりとか誰かが言っていたようですが

「うーん、なるほどな~そうなんだ」と妙に納得してしまったりして・・・

 

月日の経つのを早いと感じるのとは裏腹に、京都の紅葉はややスローペースに

進んでいるようです。一部を除けば未だ早く、葉先が少し赤くなってきた程度です。

見頃は11月20日ぐらいでしょうか。今は中秋とも晩秋とも言えない妙な状態が続いています。

それとも、その間の呼び方が他にあるんでしょうかね。

京都情報をもう一つ、昨日から京都御所の秋季一般公開が行われています。期間は11月4日(日)まで

時間は午前9時~午後3時30分、入場料や申し込みは不要です。

 

夏の間は葉っぱと同色のオリーブ色であったセンダンの実が熟しはじめ、徐々に白い色になってきました。

真っ青の空に映える白いセンダンの実・・・

晩秋から冬にかけての一つの風物詩でもあります。

この実から水分が抜けて皮が皺々になる頃にはヒヨドリが群がって食べる姿がよく見られます。

ヒヨドリが食べているから食べられるんじゃ・・・と思われるかもしれませんが、これはとんでもない話で

哺乳動物にとっては猛毒のアルカロイドを含み、人の場合7~8個で致死量に達するそうです。

くれぐれもご注意のほどを 

<センダン科 センダン属 落葉高木>

センダン

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