風は肌寒いですが、一気に気温があがりピンク色の桜の花が勢いよく咲き始めています
皆さま、お身体や心の調子はいかがでしょうか。
昨年の2021年、(公社)日本助産師会が、厚生労働省委託事業として開催されました、不妊症・不育症ピアサポーター等の養成研修の医療従事者プログラムに参加しました。
事業の目的は次の通りです(抜粋)。
不妊症・不育症支援の課題と本事業の目的
様々な悩みや不安を抱え、複雑な精神心理状態にある不妊症・不育症患者が、気軽に相談できるピアサポーターを育成するため、相談・支援に当たって必要となる基礎知識やスキルを習得するための研修を開催します。併せて、看護師などの医療従事者に対しても、心理面でのサポートを含む、より医学的・専門的な知識による支援を実施できるよう研修を実施します。
さらに、この事業を広く社会に周知することで、国民への不妊症や不育症に関する正しい知識の広報啓発と理解をはかります。
当院では、妊娠しやすい心身をつくるための鍼灸に力を入れております。
では不妊に関わる多くの皆様との連絡や連携をもっているかというと、その点は全くと言っていいほどありませんでした。
不妊症や不育症でクリニックで治療されている方は、誰に聞いたら良いのか迷うような悩みもたくさん持っています。私も知ってはいましたが、助産師さんが詰めている石川県不妊相談センターという場所があるのですが、その機能さえ把握していませんでした。
私たちは鍼灸治療を追究してより効果的な治療を目指すことは当然ではあるのですが、すべてのご夫婦にお子さまが授かることは難しいです。
一組のご夫婦で様々な悩みや状況があります。
その時々に応じて、どこへ相談したら良いのか、一番適した、よりベターな問題や状況を解決できる場所へ導いてあげるのも大切なことだと思っています。そんな時、重要なのは横の繋がりや連携をどれだけ構築しているかということなのだと思うのです。
鍼灸も不妊や不育をサポートする一つの手段ではあるけれど全てではありません。
これはスポーツ選手を扱うスポーツトレーナーやスポーツ医療の現場でも言えることです。
そんな時、この情報を助産師さんよりお聞きし、すぐに申し込みました。
研修は、講義、シンポジウム、グループワークを併せて495分という内容です。
コロナ渦だからオンラインで上手く開催され、多くの皆さまが学ぶことができた研修だと思います。
不妊症・不育症に関する医学的知識および一般的な治療の流れと生殖医療分野における最新の知見(45分)
- 不妊症・不育症の病態、診断(検査)、治療の原則について
- 最新の生殖医療について
- 生殖補助医療の変遷と社会のニーズ、リスクマネジメントについて
不妊症・不育症に関する関連法規や支援体制について(15分)
- 不妊治療等に関する関連法規や政策方針
- 不妊治療等に関する国の施策と今後の方針
不妊症・不育症患者特有の心理・社会的支援(45分)
- 患者が抱える特有の心理的・社会的問題カウンセリング(カウンセリング)
- 支援に活用できる社会資源と多職種連携、ピアサポート
親になることへの支援、グリーフケア(45分)
- 不妊治療後の妊娠育児支援
- 不妊治療後の妊娠における周産期喪失の特徴と支援
- 不妊治療を終結し、子を持たない選択をしたカップルへの支援
里親・養子縁組制度(45分)
- 里親・養子縁組制度の概要
- 日本における里親・養子縁組の現状について
不妊症・不育症患者に対する支援の実際(前1・2;90分、後1・2;120分)
- 支援のあり方について
- 様々な現場での取り組みの紹介
- 不妊相談場面のロールプレイングと意見交換
- 不妊治療後の妊娠において周産期喪失を体験する当事者との関わりのロールプレイングと意見交換
具体的な支援プログラムの検討
- 現在の課題の共有と支援プログラム作成テーマの抽出
- 支援プログラム案の作成
多くの学ぶべき点がありました。
私たちは鍼灸治療で、お子さまとの出逢いまでを全力でサポートしますが、様々な観点から治療を終了しなければならない場合があります。
また、流産や死産、あるいは、胎児が障害を持っている可能性が高いことが判明する場合もあります。
あらゆるケースがあるわけです。
講義の中でのグリーフケアはその対応に関して知っておくべき知識でもありますし、特別養子縁組や里親制度の考え方やその違いなども、恥ずかしながら初めて深く知った部分が多くありました。
実は、当院に通院されていた患者さんでも3組ほど特別養子縁組でお子さまと出逢った方もおいででした。
自分の不妊症に対する鍼灸臨床を患者さんの視点で、幅広くできたことは有り難い研修でした。
修了証いただきました~
絵は画像に自分で付けたしました
もう1点、この研修終了後、医療従事者だけでなく一般参加の皆様との交流を実施するためのZOOM交流会がありました。それにも参加させていただきましたが、多くの皆さまの立場での声が聴けて、この繋がりがうまく機能してピアサポーターとして不妊症、不育症で悩む方が少しでも少なくなれば嬉しいなと思いました。
この研修に参加したこともあり、7月には石川県の助産師さんが主催する集まりで、鍼灸師の立場で「不妊症のご夫婦への対応」についてお話させていただくことになりました。
地域で上手く繋がっていければいいなと願います。
主催いただいた日本助産師会の皆さまに感謝でございます
最後までお読みいただき、ありがとうございます
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