二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

なぜ、日本のガン患者やガン死亡率が減らないのか? ②

2010年01月16日 | 癌(ガン)

≪ニクソン大統領はウォーターゲート事件の責任をとり1974年に辞任、代わってフォード政権となりました。このフォード大統領の業績でよく知られるのが、1975年のベトナム戦争終結に断を下したことですが、同じ年、大統領は別の決断を下していました。

当時のアメリカはがんや心臓病、糖尿病、肥満などの生活習慣病を患う人が急増し、国民医療費も急速に膨れ上がっていました。医学が進歩していると考えられていたアメリカで、医学の研究に莫大な研究費を注ぎこんでいるにも関わらず患者が増え続けている。何かが間違っているのではないか?―そう考えたフォード大統領はその疑問を究明すべく、アメリカ上院会議に「栄養問題特別委員会」という機関を設置したのです。

関係するあらゆる分野の有能な専門家を集結させ、国家的な大調査を指令しました。そしてその委員長に任命されたのが、1972年の大統領選挙でニクソン大統領に敗れた民主党の大統領候補ジョージ・マクガバン上院議員でした。…中略…

さて、フォード大統領に命じられたマクガバン氏ら栄養問題特別委員会は、さっそく19世紀以降におけるアメリカの病気の変化と、それに対応する食生活の変化を歴史的に追跡し始めました。すると150年前には腸チフスや結核など、細菌による伝染病で病死する人が多く、がん、心臓病、脳卒中などの病気が皆無に近いことがわかりました。
さらにヨーロッパなどの先進国を調査しても、150年前はがんや心臓病などはほとんど見当たりません。調査地域を広げて世界各国を見てみると、アフリカやアジア、中近東などの、いわゆる発展途上国では過去はもとより、現在もそうした病気が少ないと分かりました。

欧米諸国の150年前と、現在との違いは何か? 現在の欧米諸国と、発展途上国との違いは?―そこに共通するのは”食生活の違い”に他なりません。
栄養問題特別委員会は、アメリカだけではなく世界中から資料を集め、多くの国から学者を呼び寄せて証言を求めるなどして、人々の食生活と病気や健康状態との相関関係を分析しました。証人喚問に応じて資料レポートを提出した各国の医師、生物学者、栄養学者など専門家だけでも、実に3000人を超える大がかりな調査になりました。
そして、2年の歳月を費やし、1977年に完成したのが「マクガバン・レポート」だったのです。総ページ数、約5000ページ。正式には「アメリカ合衆国上院栄養問題特別委員会報告書」と言いますが、委員長だったマクガバン氏の名を取り、今では世界中でそう呼ばれています。≫


追求しはじめたことは、反省を踏まえ、観方を変えてアプローチする。それもとことんやり通す。ここがアメリカのすごいところでもあるのかもしれません。その結果、食生活や栄養問題がクローズアップされ、これが国民の本当の健康に繋がっていくのですから。

この「アメリカ上院栄養問題特別委員会がこれほど熱心に審議調査を続けた理由は、

≪「<ガン、心臓病をはじめ多くの病気が増えている。そして進歩したとされるアメリカの医学を活用し、しかも巨額の医療費が注ぎこまれているのに、アメリカ国民は病気ばかり増えてますます不健康になるばかりだ。この原因を解明し根本的な対策を立てないことには、アメリカは病気で滅んでしまう。われれわれは何か重大なことを見落としていたのではないか。また現代の医学が進歩していると考えていること自体も間違っているのではないか」≫

と委員長であるマクガバン氏の言葉が全てを語っているようです。

そして、この報告書では審議調査の結論として重要な結論がいくつか出されたました。その中のもっとも重要な結論は
≪(1)ガン。心臓病、脳卒中などアメリカの六大死因となっている病気は、現代の間違った食生活が原因になって起こる”食源病”である。この間違った食生活を改めることで、これらの病気を予防する以外に先進国民が健康になる方法はない。
(2)現代の医学は薬や手術といったことだけに偏り過ぎた、栄養に盲目な片目の医学であった。栄養に盲目でない医学につくり変える必要がある。≫

の二つでした。

このマクガバン・レポートは当時の世界各国、とくに先進国の学界にも、一般の国民にも大きなショックを与えました。それは当時、医学界や栄養学界なども気づかなかった大きな問題を、公式の立場から初めて指摘したからでした。

この報告書の中で、トロウエル博士(イギリス王立医学会議)が、イギリス政府から派遣されて、アフリカ(ウガンダなど当時の英国領)で顧問医師として勤務していた1930年~60年に3年間「先進国ではごく普通の病気になっているが、私の在勤中のアフリカ諸国にはほとんどこんな病気はなかった」と証言されています。

こんな病気とは、便秘、盲腸炎、大腸憩室炎、痔、潰瘍性大腸炎、大腸ガン、大腸ポリープなどの消化器疾患、肥満、糖尿病、虚血性心疾患、動脈硬化症、静脈血栓症、胆石、痛風、腎結石、脳卒中、高血圧などの代謝・血管病、橋本病、アジソン氏病、低血糖、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、変形性骨炎、悪性貧血、乳がん、などの内分泌疾患、などです。

残念ながら、それ以降、文明が入ってきたアフリカにはこのような病気が徐々に増えていったようです。

また、博士は「アフリカの黒人たちを徴用してイギリス軍に入れる。するとイギリス的な病気(つまり上記のような病気)にちゃんとなる」と言っており、病気は人種的な体質の違いで起こるのではないことを多くの事例から証明されています。

≪「現代病は、現代医学では治らない」と、マクガバン・レポートは明言しています。ガンは現代病の代表であり、マクガバン・レポートはニクソン前大統領のガン征服戦争に、別の視点から回答を出したとも言えるのです。アメリカ政府はレポートに基づいて矢継ぎ早に新政策を打ち出すことになります。

その辺の事情を、前出の『アメリカはなぜ「ガン」が減少したのか』の著者、森山氏はこう記しています。
〈マクガバン・レポートは「病気は菌によってだけ起こるものではなく、食事や栄養の摂り方の歪によっても起きる」ということを初めて公の場で明らかにした文章として大きな意義を持っています。アメリカ政府は1977年以降、マクガバン・レポートの結論に基ずいた政策を打ち出すようになりました。
例えば1979年には、アメリカ厚生省が健康政策の数値目標を定めた「ヘルシー・ピープル」を作成しました。これはアメリカ国民の健康レベルについて数値目標を設定し、その目標に到達するための疾病予防・健康増進対策を体系化したものです。ヘルシー・ピープルは1991年から始まった「ヘルシー・ピープル2000」へと続き、現在は「ヘルシー・ピープル2010」が実施されています。…中略…

1982年、アメリカ国立科学アカデミーが「食と栄養とガン」という研究報告書を作成。食習慣の改善がガン予防に繋がると明記されており、アメリカ国民はもとより、世界中の人々が食と栄養の重要さを認識するきっかけを与えました。報告書は、ガン予防に効果のある成分として食物繊維、抗酸化ビタミン、カルチノイド、グルタチオン、リン脂質、イオウ化合物、フェノール酸をあげ、またガン予防にマイナスに働くのはカロリー、脂肪、塩分の摂りすぎや、高温過熱を施した食品であると指摘しています。

1990年にスタートした「デザイナーフーズプロジェクト」は、植物性食品によるガン予防効果に焦点を当てた国立ガン研究所の試みです。ガン予防に有効と思われる食品の約40種をピックアップし、それぞれの重要度を示すピラミッド形の図を作成して、積極的な摂取を呼びかけました。〉

こうして見てくると、ガンに対するアメリカの取り組み方の真剣さ、徹底ぶりがよくわかると思います。マクガバン・レポートをきっかけにした諸政策は、ガンなどの予防に焦点を置いた食生活の見直しです。≫


さて、ここまではマクガバン・レポートの発表から、その後のアメリカの政策を見てきました。食生活の改善がガンを予防するということです。それはガンになってからでも同じであり、免疫力の強い身体をつくるためには、まず食事、栄養摂取が重要だと言うことです。

この部分が欠けていたのでは、ガンを治すこともできないし、ガンを予防することなど到底無理なことであると思います。

さて、パート③では、ガン治療に焦点を当ててみて行きましょう。

引用文献:『がんを治す「仕組み」は あなたの体の中にある』 真柄俊一 著
       『いまの食生活では早死にする 改訂最新版』 今村光一 著

二葉鍼灸療院 田中良和

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