二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

第27回 (社)生体調整機構制御学会へ参加 ③‐2

2009年09月22日 | 鍼灸
(社)生体調整機構制御学会学術集会、シンポジウム報告の続きです

わが国の統合医療に関する取り組みについての紹介がありました。
文部科学省が行っている、世界最高水準の国際競争力ある大学づくりを目指す取り組みとして、国公立大学の優れた研究教育拠点に重点支援を行うという”21世紀COEプログラム”という私は恥ずかしながら初めて聞く言葉でした。その274拠点の中の統合医療に関するプログラムの情報を教えて頂き、数億、数千万単位で漢方を中心とした東洋医学の研究に資金が援助されているということを知りました。
また、厚生労働省でも、統合医療の安全性、がん治療と統合医療、循環器疾患に対する根拠に基ずく鍼治療、進行胃癌や頭頸部癌に対する漢方治療、高齢者に対する取り組みなどの大学での研究に対して数億単位で資金が拠出されていることを知りました。
そして、東北大学などが中心となり、西洋医学と同じ評価法では判定しづらい東洋医学に関する評価法の研究や、東洋医学的診断法である「証」についても研究されているということも知りました。

このことは、「へ~そんな取り組みがあるんだ~」で終わってしまえばそれまでの話ですが、国あるいは医師や科学者は鍼灸、漢方を統合医療の一つとして研究し評価しようとしているということです。そこには鍼灸医学は関係ありますが、鍼灸師は関係ないということです。私たちが仕事ができないということではなしに、チーム医療としての一員として鍼灸師が入っていけないということになる恐れが十分にあるということを感じました。いや、そのような大きな流れがあるということでしょう。私たちは自覚し、日々研鑽していかないと行政に対して鍼灸師に関する要求をするにしても、何を言っても相手にされなくなるんではないかなと思いました。鍼灸師全体が自覚し行動していないのですから…

このような緒言の後に各研究班からの報告があり、日々の臨床の変化や現象をつぶさに観察し記録し、自分のやれるところから法則性を見出していくことが大切であるということを感じました。


司会の黒野先生からは、結びとして以下のようなことでまとめがありました。

☆一般社団法人 生体調整機構制御学会
 ~鍼灸診療の定義~
 人の体を伝統的診断及び近代医学的診察をし、鍼及び灸を用いて行う医術により、人の健康維持と病める患者を治すことを鍼灸診療という。

☆臨床鍼灸の理念
 ・鍼灸診療の現場で得られる現象に気づくこと
 ・鍼灸診療の現場の現象を詳細に観察すること
 ・観察に際して科学の目で法則性を見つけること
 ・全ての現象を統計学により整理すること

☆鍼灸診療を行う心得(以下のスライド)



鍼灸師や鍼灸業界の医療の中でおかれている立場や状況は厳しいものだと把握できただけでも、明日からの診療や勉強に役立つお話でした。鍼灸業界や自分の仕事について広い視野でものごとを見つめることが必要だと思いました。

そういう自覚を持ち、自分が「今」何をしていかなければいけないか、それぞれ鍼灸師自身、環境や状況、立場が違いますので一概には言えませんが、視野と志だけは広く高く持って日々の臨床に、あるいは人生設計に励んでいきたいなと、さらに情熱が湧いてくるお話であったと思います。

暑い、暑い名古屋での一日でしたが、たいへん貴重な勉強になったと思いました。また、本学会代表理事であり、師匠である黒野先生が80歳を迎えこのような学会を設立された姿に感動し、”鍼灸医学(患者)に対し継続し探究し続ける情熱と信念”が道を貫く時には必要欠くべからざる条件だ ということも心から思いました。本当にいい学会だったと思います。

二葉鍼灸療院 田中良和

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