二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

第100回全国高校野球選手権記念大会 トレーナー活動記 試合編 vs 済美(愛媛)

2020年02月12日 | 高校野球

 それでは、2回戦を振り返っていきます。この試合もまた高校野球の歴史に残る試合となりました

 第100回大会は初日の第1試合に勝利(大分県代表 藤蔭高校)して、そこから次の試合までは1週間という開きができます。

 気持ちも身体も調整していかなければならないので、監督はじめスタッフもいろいろと工夫をされていました。

 トレーナーサポート編で書かせていただきますが、私は試合後二日間選手をサポートして、一日だけ金沢へ帰らせていただき、再び大阪の宿舎に帰ってくるという、いつもながらの弾丸の予定でサポートをさせていただきました。

 今年の夏もさらに気温が暑かった 他校の選手がよく足の痙攣を発症し、試合が中断しているのをテレビで観ていて、身体とくに足の疲労だけはしっかり除去するように心がけていました・・・

 

 (左)試合前の甲子園   (右)甲子園へ入る前の練習風景

 8月12日 第3試合(大会第8日目)   済 美(愛媛)  星 稜 

  試合時間:2時間55分   観客数:約42000人

                一  二   三  四   五  六    七    八  九     十 十一 十二 十三    合 計

  星 稜  5 0 1 0 1 0 0 0 2 0 0 0 2    11

   済 美  0 0 1 0 0 0 0 8 0 0 0 0 4    13

2018/8/12 星稜 vs 済美 ダイジェスト

 

信じられない! 済美対星稜 サヨナラ逆転満塁ホームラン(史上初)12回裏からノーカット

 

 この日も茹だる様な暑さの日でした。試合も第3試合と一日の最高温度を記録する時間帯にあたります。

 そんな日、星稜高校野球部はまたしても高校野球史に残る試合を展開しました。できれば勝って名を残したいところではありましたが、今回も負けて名勝負として名を残しました。

 でもそれは、甲子園という場で、3700を超える全国の高校野球部の頂点を目指すためしのぎを削ってきた、両チームの努力の結晶であり、そこに様々な条件が加わり、集中し、熟成され、ドラマがつくられるのだと私は思っています。

 そこに関係した全ての人が次へのステップ、成長への糧として、このような体験が生まれるのではないかと・・・

 

 こんな球場が深く大きく広くどよめく雰囲気を味わったのは、規模こそ違いますが、2014年の夏(第96回大会)、石川県立野球場の決勝戦で感じて以来の空気だったと思います。9回表まで小松大谷高校に8-0で負けているところからの、まさかの9回裏9点をとっての逆転サヨナラゲーム・・・選手たちが作りだす無限の可能性・・・それに惹かれてここまでトレーナー活動ができるというのも一つの真実のように感じます。

 

 さて、どこうをどう切り取ったら良いか、いろんな要素が詰まった試合でした。初回の攻防を見た全ての人が、あの延長13回の光景を想像もしなかっただろうと思います。

 

 星稜は初回、相手のミスも絡め相手、好投手の山口君から5点を先制します。私はこの回の攻撃が素晴らしいと感じたことは、全ての打者が前夜に行ったミーティングしっかり実践していたということです。

 監督、コーチの話の内容を理解し、落とし込み、それを行動で実践する。それは昨日今日という世界ではなく、今までそのような姿勢で野球に取り組んできた成果が出たのだと思いました。私は連打がどうのこうの、大量点がどうのではなく、その点に驚嘆し、チーム星稜の素晴らしさを感じました。

 そして、このいい流れ、いい伝統は後輩がしっかり引き継いでいくわけです・・・

 星稜は5回までの7点を挙げますが、終盤は済美のペースになりました。その大きな要素は7点を取られながら、淡々とした表情で自分の投球ペースを乱さずにゲームを作り上げた済美の山口投手の力が大きいかなと思いました。ストレートも後半になっても球威は衰えずスタミナを感じましたし、スライダーとチェンジアップを絡めて、星稜打線を後半から延長にかけてタイミングをずらせ要所をおさえていました。

 打者としてデッドボールに当たりながらも表情を変えず、チームメイトを不安がらせないように熱のこもった投球をする山口君を大いに称えたいと思います

 あきらめない姿勢は両校ともに素晴らしいものがありました。
 星稜の9回の同点劇。鳥肌が立ちました1年生の内山君も足を痙攣しながら集中力でよくヒットを打ちました。南保君が繋いで、竹谷君と鯰田君の3年生トリオで同点に追いつきました。この頑張りを下級生が見ていないわけがな~いいい伝統を残してくれました。

 攻撃面では、中盤のあと一本、9回のあと一本、延長13回のあと一本、勝ち進んでいくチームと言うのは、この”あと一つ”ができるチームなのかなと私は感じました。

         

 

 先発はエースの奥川君(打者16人 41球)。
 立ち上がりは上々、ストレートはやや高いものの、スライダーのキレはありました。1回の大量点と打線の好調を考えると、ほぼ勝利は確実と思っていましたが、3回途中から奥川君がしきりに足を気にし始めたのが分かりました。ま・さ・か・・・

 5回まで何とか投げますが、やはり足の痙攣で5回でマウンドを降りました。トレーナーとしては反省しきりです。

 二番手は、佐藤君(打者7人 27球)。
 佐藤君は、途中からアンダースローに変わった投手。真面目によく練習していました。5回、6回をほぼ完璧に抑え、その仕事をやってのけました。大きな自信になったと思います。奥川君とはガラッと雰囲気も球速も変わった投手。うまく相手のタイミングを外し手玉にとっていました。

 三番手は、星稜の山口君(打者3人、11球)。
 彼もいろんな紆余曲折があり、投球について悩んだりした日も多かったと思います。しかし、投球数、投球回は少ないものの、これまでの自身の集大成のピッチングやってくれたと思います。そして、佐藤君とともに3年生の投手陣が後輩エースの後をきっちり繋げてくれました。

 四番手は、竹谷君(打者7人、20球)
 監督の談話にもあった通り、竹谷君を投げさせるのはプランにあったよう。前日の動きも悪くなかっただけに、マウンドに上がってからの力の抜けたような、軸が定まっていないようなすっぽ抜ける球が多く感じました。そんな球を相手打線が逃すはずもなく、4得点を奪われました。
 
後で聞くと彼も足が痙攣していたようで、トレーナーとしてはどんどん落ち込んでいくのでした。

 五番手は、寺西君(打者4人、15球)
 もう失点が許されない中、そして、相手がググーッと流れを引き寄せる中でのリリーフは相当プレッシャーがあったのではないでしょうか。だから余計にここので登板は彼にとって財産となるのだと思います。いい球を投げ三振もとりました。1失点はしましたが、いけるかなと思った矢先、相手打者で本日好調だった政吉君に投じた球・・・高めに浮き甘かった、そしてそのストレートを予測してのスイング。一塁ベンチ上から見てると、あの角度が素晴らしい弧を描くイヤな角度でレフト方向へ飛んでいきました。4失点。
 寺西君の心の揺れ、力み、その隙を政吉君が逃さなかった。彼は延長13回にもセーフティーバントを決めてドラマの下地を作りました。

 六番手は、寺沢君(打者18人、77球)
 星稜としては総力戦。最後の砦である寺沢君。春のセンバツ大会 準々決勝( 三重高校)で、終盤同点に追いついた9回、相手に得点され、もう勝つためには抑えなくてはいけない場面でマウンドを託されたのが彼。その場面は満塁。そこで加点されはしましたが投げ切りました。第90回の春から精神的に一番大きく成長したのは寺沢君ではないかと私は思っていました。
 9回からマウンドを任され、この試合では一番長く投球することになりました。そして、もっとも熱い展開となりました。特に延長12回、1アウト満塁からの2者連続三振のシーンは、今見ても涙が出てくるほど胸が熱くなり、興奮します。成長した姿を遺憾なく見せてくれました。
 そして、野球の神様は彼にもう一つ大きな試練を与えました。
 13回よりタイブレークに入り、星稜は表に2点を追加し盛り上がります。その裏、ノーアウト満塁。ここで済美の中でも要注意人物の筆頭である矢野君に回ってくるという巡り逢わせ。
 そして、逆転サヨナラ満塁ホームラン・・・ただただ・・・ただただ・・・ 
 この刺激がもしかして令和最初の夏の戦いに繋がったのかもしれません。寺沢君の鬼神に満ちた投球は忘れることはできません
  

 相手の済美の山口君は13回を完投し、打者58人に184球を投じました。今後の高校野球では、このような試合は見られなくなります。星稜高校の投手リレーは時代を読んだものだったのかもしれません。

      

 

 守備でも、ショートの内山君(1年生)、セカンド山本君(2年生)が難しい打球にも軽快に対応していました。ここも二人とも足に痙攣がある中でプレーしていたということを聞き、トレーナーとしては追い打ちをかけて落ち込む材料となりました

 友人たちがライトアルプススタンドやポール際のスタンドで応援してくれてました。

 そう、史上初の満塁弾は甲子園の浜風の影響もあり、大きく押し戻され、ライトポールに当たったのです。その周辺にいた友人や後輩や先輩は、あの音が頭から離れないと話しておりました。
 この音をかき消すためには、後輩たちが頑張るしかありませ~ん

 この試合は本当に、いろんな示唆を与えてくれるものでした。

 試合後、宿舎に帰ってからの最後のミーティングでも2年生をはじめ下級生が本当に悔しがっている姿がありました。3年生はこれで最後なので、そりゃ~悔しいでしょうが、後輩たちがこれだけ悔しがる姿は、やはりいいチームだったんだな~としみじみ思うところでした。

 その日の夜、太陽の下、試合を観ていて疲れてはいるのですが、久しぶりに寝ることができない自分がいました。翌日は、車で金沢へ帰らないといけないのに・・・と思うのですが、やはりトレーナーとして足の痙攣を防げなかった思いが悔しくて悔しく、たまりませんでした

 そんな思いも込めまして、次回はトレーナ活動 サポート編、さらに練習編&番外編を書いて、第100回大会の回想は終わる予定です。

8月12日 大会第8日目の他の試合結果

 第1試合 : 二松学舎 5-2 広 陵

 第2試合 : 浦和学院 9-0 仙台育英

 第4試合 : 慶   応 6-12 高知商業  

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございます 

 

二葉鍼灸療院(金沢) 


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶりです (ラッキーボーイ)
2020-03-02 21:19:55
あさって、3月4日に決まりますね。
無観客試合か?中止かの2択だと思います。
どうなるかわかりませんが、高野連が決めることなので受け入れます。

個人的には無観客試合で、応援、ブラバンなし。

スタンドは控え野球部員とネット裏の報道関係者のみで開催と願っています。


ドキドキしています。
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お久しぶりです! (二葉院長)
2020-03-04 09:50:19
ラッキーボーイさん

コメントありがとうございます。

さて、本日が日本高野連の臨時理事会ですね。
どちらにしても、選手の身体を一番に考えて判断をしていただきたいと思います。

無観客で実施するににしても、中止にするにしても、世の中からは批判を受けると思います。
教育の一環であることは、常に言い続けていることなので、世の中の情勢や感染拡大防止という大きな観点から、選手・生徒の大切な身体というところに重きを置いてけ決断していただきたいと思います。

私の思いは、選手の立場で無観客でもやってほしいということと、未だ感染は広がっているので今大会に限り中止したほうがいいかなという思いが混ざって嵐を起こしています。笑
返信する
残念な結果に。。。 (ラッキーボーイ)
2020-03-18 21:39:00
夏に向けて切り替えて欲しいですね。
現在、チームでの練習していないとのことです。

せっかく冬に鍛錬してきたのに、逆戻りになるのでは?
と心配です。
自主練なんか、やること限られますから。

春大楽しみにしていますが、できるかわかりません。夏もどうなるか?

どうなることやら。

選抜なくなって、ぽっかり時間ができたので本を借りて読んでいます。

元ヤクルトの古田さんの本ですが、面白いのですよ。

野村さんの野球を受け継いでいるのがよくわかります。
空いた時間を有効に使おうと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

新1年生のことも気になりますが、
生徒達が早くグランドでチーム練習できることを願います。
返信する
第92回センバツ大会・・・ (二葉院長)
2020-03-19 11:25:13
ラッキーボーイさん

コメントありがとうございます。

んん~本当に空しく、悔しいですね。
星稜に限らず、甲子園出場を待っていた選手の気持ちは、何とも形容しがたいと感じます。

春の大会も怪しいですが、北信越地区は感染者も拡大しておりませんので、今後の状況次第では開催の可能性も高いかなと考えています。

人口密集地の感染拡大が広がってきています。アウトブレイクということもあり、そのあたりがおさまらなければ夏の甲子園も心配されます。
オリンピック・パラリンピックは日本だけの問題ではないので、そちら開催が心配です。

古田さんは一番、野村さんの近くでチーム再生や監督の心理を体感してきた方ですので、非常に面白く、彼自身も広く野球を見ていますので面白そうですね。

選手たちが一日でも早く、心配するこなくプレーできるように祈っていおります!
返信する
今朝の新聞 (ラッキーボーイ)
2020-03-20 13:26:23
今日の朝刊に金沢市内の中高は、25日より部活解禁と書いてありました。

なので私学もそうなるでしょう。

新チームスタートですか。
楽しみですね。

返信する
金沢市より (二葉院長)
2020-03-20 14:12:28
ラッキーボーイさん

コメントありがとうございます。

そのように発表がありましたね。

皆さんケガせずに各スポーツを楽しんで欲しいと思います。
返信する
沖縄大会無観客開催 (ラッキーボーイ)
2020-03-25 21:37:40
田中先生、こんばんは。

春の沖縄の大会が無観客で始まりましたね。


石川も無観客だと、つまらんです。

早く星稜の野球観戦したいです。



まだ、石川高野連は未発表です。
どうなるでしょうね。


星稜グランドへ練習とか見学行きたいですが、躊躇してしまいます。
返信する
無観客試合 (二葉院長)
2020-03-27 09:56:43
ラッキーボーイさん

コメントありがとうございます。

当面、この状況であれば、春の各県大会は無観客試合となると予測しますね。
春の四国大会に続き、東海大会も中止になりました。日本だけでなく世界がこのような状況では、まず子どもたちの身体のことが優先されますよね。

阪神の藤波選手と数名も感染が確認されましたので、スポーツ選手も気をつけなければいけません。

星稜の練習に関しては、遠くからなら問題はないと思います。球場周囲では難しいかなと思います。もうしばらく我慢してください。

石川県高野連も北信越各高野連と協議しながら、現在、様々な方向から検討しているのだろうと思います。
返信する
球場の坂道 (ラッキーボーイ)
2020-03-28 20:15:33
こんばんは。
私は星稜グランドの坂道のレフト側から、のんびり見るのが好きですね。
近所の人が椅子に座って観戦しています。

ですが、しばらくは行かないことにします。

以前紹介した、
古田さんの本ですがこういう記事がありました。ヤクルトに山本樹(たつき)という中継ぎ左腕がいてフォークボールで松井を打ち取っていたとのこと。

ある日、その球をレフトスタンドへ流し打ちして
攻略されたと。

古田氏は一流の人は同じ失敗を繰り返さず、変化して攻略してくると。
と思ったそうです。

数年前の野球のテレビで、キャッチャーしていて一番嫌なバッター誰か?
とのコーナーで松井の名前が。
最悪はシングルヒットで良しと思ったようです。

当たり前のことですが、こういう面白い本なので
星稜の選手には本をどんどん読んでほしいですね。

3回ぐらい同じ球で打ち取っても、4回目は攻略してくるかもしれないという危機感もってプレーしてほしいですね。

特に今のチームは航空さんには、秋県大会と秋北信越大会決勝で大差で勝ちましたが、つぎは攻略するかもしれないので要注意です。

実際には、1年の奥川君が秋の県大会決勝と秋の北信越決勝戦は航空に滅多打ちにされました。
秋の決勝は星稜0-10航空の大差。

3度目は2年春の大会で、決勝戦で
4-0で航空を完封しましたね。

勝負はやってみないとわかりませんね。

今の時期は時間があるので、いろいろと見聞を広げていこうと思います。

図書館で面白い本見つけてこようと思います。




返信する
充電時期・・・読書 (二葉院長)
2020-04-01 09:39:10
ラッキーボーイさん

いつもコメントありがとうございます。

野球観戦に関しましてお気遣いいただきありがとうございます。
社会情勢がこのような状況だけに、一人ひとりが感染源にならないように細心の注意が必要ですね!

星稜高校野球部の生徒は読書する方だと思いますよ。
野球選手の本に限らず、様々な本を読んでいるのではないでしょうか。
ちなみに私は高校時代は捕手をしておりましたので、野村克也さんの本が多かったと思います。

星稜に限らず、全ての高校、野球に限らず全ての学生スポーツが公式試合等が中止、延期状態にあります。この時期というのは全ての選手に平等に与えられた時間ですので、ここをどう過ごすかで、次へのステップとなるのでしょう。
各高校、各部活動、指導者の皆様は工夫されていると思います。

日本航空高校との大差で勝利については、やはり高校生ですので自信過剰ということについてはどこかで出てくるのではないかとも思いますが、これも日々の練習でどう思考しているかということでしょう。
油断大敵ということは、よく理解していることと思います。

日本航空高校もそうですが、遊学館高校も夏には侮れない存在になると私は思っております。

私もこの時期、自分の出来ることを楽しくやりたいと思ってます。
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