二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

第7回 健康についてみんなで語ろう会 ①

2009年12月04日 | その他の活動
11月29日(日)、石川県医師会の主催で「第7回 健康についてみんなで語ろう会」が開催されましたので参加しました。

≪第7回 健康についてみんなで語ろう会≫
日 時:平成21年11月29日(日)  午後2時30分~4時55分
場 所:石川県地場産業振興センター 大ホール
主 催:石川県医師会
内 容:1.前座 ”ドクターかとう”のおふざけトーク
     2.講演 「意外と知らない?病気と健康のお話」
      講師 中原英臣 先生
     3.健康クイズ 「頭をひねって考えよう」
     4.寸劇 「交狂組曲 『ハトちゃんの膏薬』」
        劇団しし座


 石川県医師会 会長 小森先生の開会のごあいさつ


 今年の”ドクターかとう”…トークのキレは昨年の方がよかったな~


 健康クイズ 第1問


 講演中の 中原英臣 先生

講演の演題は「意外と知らない?病気と健康の話」。統計的数値を出して、分かりやすく説明されていました。この内容を要約すると…
・自分の健康は自分で守るものである。
・アメリカでは、心筋梗塞と大腸ガンの発症率が高く、国家レベルで、生活習慣の改善がなされた(LCPなどの取り組み)。運動、食事などを改善することにより心筋梗塞(35%減少)や大腸ガンが減少した。多くの人がタバコをやめ、運動をし、野菜中心の食事に変えた。アメリカ人の野菜摂取量は日本人より多い。
・日本は生活習慣の悪化で、心筋梗塞や大腸ガンは増加の一途をたどっている。
・一日350gの野菜を採らないといけないというが、現状は267gである。これを改善するには一皿、野菜メニューを増やすように心掛ける。
・日本でも2000年に厚生労働省が「健康日本21」という取り組みを開始した。これは10年計画で国民に健康になってもらおう!という計画。しかし、国民への浸透度は低い。
・「健康日本21」をメタボという観点からみると、1997年、BMI(25%以上を肥満)で男性が24%、女性が25%の人が肥満であったのが、2005年、中間報告では、女性は25%で変化はないが、男性は29%と増加している。これに限らず平均的な日本人の健康は着実に悪化している。
・健康への取り組みには実現可能な数値目標を定めて行うと効果的。
・1965年の長寿県は東京、神奈川など大都市が多かった(東京には11の医学部を持つ病院があり、医療環境が充実している)が、1995年には、熊本、島根、長野、富山などの地方に変化してきた。これは生活習慣や自然環境が関与している。
・21世紀の健康は、毎日の生活環境、生活習慣が重要な要因となる。
・人間が生きていくうえでは、水、空気、食物なくしては考えられない。
・平均寿命を延ばすのではなく、健康寿命(元気に生活できる期間)を伸ばすことが大切である(日本の平均寿命;男性 79歳、女性 86歳 日本の健康寿命;男性 72歳、女性 78歳〈ともに世界一〉)。
・今までテレビのバラエティー番組などで多くの健康番組をやっていたが、科学的根拠のないものがほとんどである。これまでの事件などでもわかること。その他にも健康情報が氾濫している。科学的根拠のあるものを信じて欲しい。メディアの流す情報を鵜呑みにしないでほしい。
・健康法というのは存在しないと思う。身体にいいことを一生続けてやる、いわゆる生活習慣にしてしまえば、健康は自分のものになる。

私の感想としては、だいたいよく聴く話だったのでとくに新しいことはなかったと感じました。アメリカの取り組みは、実際に効果が出ており、これの食事の面では、アメリカ議会においてマクガバンレポートが報告されました。これは世界の健康に優れていると言われる食文化を調査したもので数千ページにのぼる膨大な報告だそうです。アメリカはこれを実践したのでした。その中で、特に健康にいい食事は日本食であり、江戸時代末期の伝統食が健康に優れていると書かれているようです。それが世界で日本食がヘルシーフーズであると言われるようになった火付け役なのですよね。

これはアメリカの良い面ばかり言っているのです。現在、オバマ大統領が国民皆保険制度を導入しようと頑張っていますが、アメリカでは医療保険に加入していない人が5000万人ほどいます。この人たちは健康云々ではなく、医療を受けることができません。このように貧富の差があるのです。野菜中心のヘルシーフーズを食べることができるのは、医療も受けることができ、ある程度の収入がある人たちだけなのです。統計の数字ではこのようなことは分かりません。

話は「科学的根拠」のことに変わりますが、科学的根拠のある情報を取り入れて、正しい健康法を実践して欲しいという話がありましたが、この科学的根拠は確かに必要なことです。が、これで上手くいかないから苦しい人たちは、よからぬ健康食品や健康グッズ、あるいは、新興宗教まがいのところにだまされるわけです。科学的根拠の中にも、精神病薬(一部であろうと思いますが)のようにプラセーボ洗浄という方法で効果を強調することにより医薬品として許可をもらっているものもあります。製薬会社が絡んだ科学的根拠には注意する必要もあります。これは食品に関しても同じです。何が科学的根拠かを判断するのも難しくなってきています。商売が結びついている所の科学的根拠は注意して判断する必要がありますね。

人間は自然の一部としての本能を忘れているところが多いのです。本来人間にとって一番身体にいいこと、健康を維持する要因は”大自然の運行に身体をあずけること”です。自然に則した生き方が出来ていないから体に歪みが出るのです。運動をする…これは本来人間にとって当たり前のことなのです。自然のものを食する、野菜中心に食べる…これも人間の機能としては当たり前のことなのです。睡眠をよくとる…これも太陽とともに生活することは、生物として当たり前のことなのです。この当たり前のことができないから、不健康になり、病気になるのです。
この文明社会で、こんなことできないとあきらめるのではなく、大自然に耳を傾け、すこしでも自然に則した生活を心がけることこそ、人間が元気に生活するコツであり、本当の健康法なのだと思います。

ああーっと、長くなったので、しし座の寸劇は②で書きますね 

二葉鍼灸療院 田中良和
コメント
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「不定愁訴症候群について」 石川県鍼灸マッサージ師会 中央学術研修会 参加

2009年12月04日 | 鍼灸
11月29日(日)、(社)石川県鍼灸マッサージ師会の中央学術研修会が津幡で開催されましたので、参加してきました。

≪中央学術研修会≫
◎日 時:平成21年11月29日(日) 午前10時~午後12時
◎場 所:条南公民館(津幡町条南コミュニティ-プラザ) 大ホール
      河北郡津幡町字太田ろ3  Tel;076-288-3115
◎内 容:総合診療科における不定愁訴症候群について
◎講 師:金沢大学付属病院 救急部  尾山 治 先生



 講師の尾山先生(右)と座長の中田先生(左)

皆さん勉強熱心で、31名の会員が出席されていました。

不定愁訴症候群は、血液、画像や病理学的など病的異常を示すような検査に異常が出ないにも関わらず、本人は苦痛を感じる症状を多く訴えている状態を言います。これに関しては、私の師匠である東洋医学研究所 所長 黒野先生が、社会構造の変化と、臨床の場での患者様の症状の変化、あるいは鍼灸師が多く遭遇するでろうこの症候群に対して、いち早く着目され、現在も継続して研究されています。
その関係で私も修行時代はよく勉強させて頂きましたし、常に現代の疾病には心や精神というものが関与するという患者全体を捉える診方を教えて頂きました。



講師の尾山先生は、現在は救急部でご活躍されていますが、本来は総合診療科をご専門とされています。金沢大学付属病院ではこの総合診療科がなくなったため先生は救急部に在籍するのですが、常に総合診療の方に関心をもって診療に取り組んでおられます。以前、総合診療科で行っていたときの経験をもとに全体的な医療の中での不定愁訴症候群はどう考えられているかなど講義して頂きました。

不定愁訴症候群についてのお話があり、大まかに分類して、器質的疾患を伴ってそこに不定愁訴症状を多数発症している”心身症”、と、器質的疾患が存在せずに様々な症状を発症している神経症や自律神経失調症などがあるとのことでした。そして、現在は不定愁訴症候群を含め、精神疾患は米国精神医学会が発行している、DSMⅣ-TR(「精神障害と診断の統計マニュアル 第四版」)をもとに診断されており、大規模でうまくまとめられた分類であるが非常に複雑であるとのお話もありました。その中で不定愁訴症候群を訴える患者の多くをカバーするのは身体表現性障害(身体化障害)であろうということでした。


基本的な不定愁訴症候群の知識を示して頂いた後に、症例を交えながら分かりやすく説明して頂きました。①脱力感、筋肉の痛みを訴えて来院した20歳代の女性…インターネットでいろいろ調べて不安を募らせ総合診療科受診。最終的にマリッジブルーであることが分かり結婚式が終わると症状消失。②集中力と食欲の低下を訴えて来院した40代の男性…様々な検査をしたが異常なく総合診療科へ。症状と経過から大うつ病と診断。③倦怠感を訴え来院した30代の女性…患者の年齢や生活背景、症状などから統合失調症と診断される。④体力と気力の低下と首の腫脹を訴え来院した60代の男性…検査所見には特に異常はなかったが、よくよく話を聞くと甲状腺機能低下症の薬を医師の指示通り服用しておらず、甲状腺の機能低下による症状と判明。これらの例で分かるのは、鍼灸診療を行う時も、この症状はどこから来ているのか、患者の訴え、生活状況、環境、既往歴、生育歴など話をしっかり聞いて判断することが重要であることが言えると思います。これは多くの症状を訴える不定愁訴症候群の場合ははとくに考慮しておかないといけません。

最後のまとめで、不定愁訴症候群など訴えの難しい患者を理解するためには、①訴えをきく ②既往をきく ③不安をきく ④苦痛を認める(共感する) ⑤生活機能障害を理解する ⑥自分の理解を患者に確認する、などがありました。
また、難しい患者とつき合っていくためには、①その日の対応を一つのことにしぼる ②身体疾患の可能性を考える ③経過観察の方法を考える、などのまとめがありました。
そして、不定愁訴症候群を診るとはどういうことか ①通院する場所を提供、紹介する ②患者の奥に潜む稀な疾患を見つけ出す ③時間をかけて患者の自己理解の手助けをする、ということを言われていました。

社会構造の歪み、自然環境の破壊、不適切な生活習慣など多くの要因が重なり合い、現代の社会は生活習慣病のみならず、精神疾患も増加の一途をたどっています。また、ストレスというのは日々誰にでも与えられるものなのですが、その対処の仕方、いわゆる人生においての心の在り方や考え方のような心の処世術を教えるべき人が教えることをせず(教えられない)、ストレスに弱い、対処できない子どもたちが育ってきているのも事実です。これからもっと、心を病んで、ストレスを心にため込んで不定愁訴を訴える人々は多くなってくるでしょう。そのような意味でも鍼灸師はこのような症候群や精神疾患、あるいは宗教心などに一定の理解が必要だと感じます。
本日も勉強になりました。

この後、質疑応答が活発に行われ(私も質問させて頂きました~)、あっという間の2時間でしたね。



実は、これが終わった後は、石川県医師会主催の「健康についてみんなで語ろう会」が行われるということで、それにも出席するため、金沢へ向かったのでした。動ける時に動いておかないと~ね 

二葉鍼灸療院 田中良和
コメント (2)
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