車を止めると、向かいアパートの部屋の網戸越しに小さな女の子が立っていた。
仕事を終え、車に乗り、Uターンするためにゆっくり車を出すと、その小さな女の子の小さな手がバイバイをしていた。
笑顔で会釈した。
その子が生まれる前から、その場所には行っているが、そんなことは初めてだった。
少し照れて、もう一度会釈して車を進めた。
笑顔になった自分は想像した。
小さなあの子の瞳に映る世界はあたたかなものなのだろう。自分の心にそれを移した。
多摩川沿いを走ると、夕焼けの雲が美しく見えた。夕日に照らされた雲が刻々と色を変えていくその姿は、時の儚さを美しく描き出していた。
壮大なスクリーンに見惚れた。
この世界は美しいと感じた。ゆっくりと呼吸しながら、それを贅沢に味わった。
穏やかな一日が暮れて行く。この命が嬉しいと夕焼けに答えた。
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