「テツさん、ケツ汗が止まりませんよ!」
「なに!?ケツ汗が止まらないって!もしかして、漏らしたんじゃないのか!」
「ワタシ、女性ですよ!」
「そっか、それで・・・。んじゃ、隣のシスターにもケツ汗かきますかって聞いてみたら?」
「そんなこと、聞いたら、ワタシ、聞いた途端に走って逃げますよ!」
真っ赤顔をして汗を顔一面にかき、目を細めて笑いながら、シャモジもまた勢いよく容器に入ったご飯にさして、それをパックにサオリちゃんは入れ続けた。
私も二日酔いの身体から汗をダラダラと流し、同じようにご飯をパックの中に入れ続けた。
ふと思えば、クーラーもない場所で汗を一杯かきながら、休みの日にこうして無償で働くことなど、やはり多くの人は望むことではないだろうと。
そう思うと、カルカッタでは日本人のボランティアがたくさんがいたが、日本の山谷ではカルカッタと比べ、どうしても少ないのは仕方がないことのようにも思える。
それにやはりマザーが言うように忙しすぎる日常を生きるしかない現状が何かを貧しくしていくのかも知れない。
また逆を言えば、カルカッタで会った子がこうして山谷に来てくれることが私にはほんとうに嬉しいことである。
約束をちゃんと守ってくれることが嬉しいのである。
サオリちゃんとは、今回のカルカッタで一番話をした日本人のボランティアだと思う。
私は東北出身の彼女の話すなまりを聞くといつもからかっていた。
それは小学生の男の子が好きな女の子をからかうそれとまったく同じで、ついつい面白がってからかってしまうのだった。
それを彼女に言っても、私の度が超えているのだろう、いっこうに信じてもらえず、私は笑いに逃げ走った。
しかし、これはほんとうに申し訳ないことである、それに年甲斐もなく恥ずかしい次第だ。
これに懲りず、また遊びに来てほしいと思うばかりである。
楽しい時は何故だろう、いつもあっという間に過ぎてしまう。
今は祭りの後のような寂しさをセミの声を聞きながら思うのであった。
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