ノアスとシスタールークの話しをした。
シスタールークはカーリーガートで長い間委員長をしたナースのシスターで、マザーが亡くなる前、マザーの車椅子をいつも押していたシスターである。彼女はマザーが亡くなったあと、母国シンガポールに移動した。
「シンガポールでシスタールークに会ったでしょ。どうだった?」
「怖かった。」彼は苦笑いをした。
「どうかしたの?」
「彼女にしなさいと言われた仕事をしないで、違う仕事をしていたら、あなたは今、何が大切で、何をしなければならないのか、分かっていない!って怒られたよ。」
「そうなんだ。やっぱり彼女は怖いね。でも、凄いシスターだよね。その時はもう70代なのにね。」
「うん、凄いシスターだよ。」
ルークは厳しくて有名だった。しかし、患者のことを何よりも大切にしていたシスターだった。
以前、日曜に患者をカーリーガートに運んだことがあった。日曜の午前中にはカーリーガートではミサがある。当時は二階の御堂でミサを行っていた。その時間に患者を運ぶと大抵のシスターは良い顔をしない。祈りを大切にしようとする。
しかし、ルークは違った。運んだ患者に自らが点滴をし、大切に扱い、こう言った。
「今日は彼のために祈りましょう。」そう言ってミサに遅れて参加した。患者を運んだ自分たちはその姿に感動した。
{つづく}
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