横浜市中央区日本大通りに聳える「神奈川県庁本庁舎」は「キングの塔」の愛称で親しまれている。昭和3年(1928)に建造、関東大震災で焼けた「県庁本庁舎」に代わる4代目の庁舎で知事が執務する現役の庁舎としては「大阪府庁本館」に次いで全国で2番目に古い建物である。軒高22.6m、塔高48.6m、5階建て地下1階。日本趣を味取り入れた洋風建築で1920年代から1930年代頃に流行した「アール・デコ様式」の装飾が各所に施されている。文字通り横浜のシンボル的存在であり横浜三塔の一つ「キングの塔」と呼ばれ、平成8年には国の有形文化財に登録された。「知事室」、「旧貴賓室」と「旧議場(大会議場)」、5階の「本庁舎歴史展示室」、そして「屋上」には「キングの塔」を間近に見ることができる。外観は表面に溝を刻んだスクラッチタイルと独自の幾何学的な装飾模様が特色のライト様式が醸し出す風格のある建物は日本様式と洋風建築が融合した荘厳さと重厚の中にモダンさを持ち合わせている建造物である。(2304)
横浜市中区大桟橋通と日本大通に挟まれた場所に昭和6年(1931)英国工務省の設計&建築の「英国総領事館」であった「横浜開港資料館旧館」はある。この建物は鉄筋コンクリート造3階建で一部地下造り、銅版屋根をもつ邸館風健築で古典主義建築である。「英国総領事館」は1階は執務室、2階は事務官2世帯の住宅、3階は使用人の住居という設計で建てられた。しかし昭和47年(1981)に横浜における業務が終了昭和56年(1990)に「横浜開港資料館」として開館した。海岸通りに面した部分には商館倉庫風デザインの新館が建っており、中庭を挟んだ奥に壮麗で優雅な旧館がある。旧館東側(通用口)の壁面にはツタの葉が一面を覆っている。横浜開港資料館旧館は横浜の歴史に関する資料を収集し閲覧・展示・出版など公開する施設として横浜の歩んできた歴史を資料を通して次世代に伝えていく「近代横浜の記憶装置」の役割を担っているようである。(2304)
横浜市中区日本大通り「開港資料館」を東側より出た、開港広場の一各に明治5年(1872)に設立された日本で最初の「プロテスタント教会」、正統的な「キリスト教信仰」にもとづく「横浜海岸教会」はある。明治8年(1875)に献堂された最初の建物は関東大震災で倒壊・焼失した為、1924年に木造の仮会堂、昭和8年(1933)献堂されたものである。白壁に上部にローソクの炎を模る縦長の窓が整然と並びゴシック様式の尖った三角屋根の鐘塔が印象的である。2014年大改修工事実施後、再びゴシック・モダンが蘇り優美な教会となった。会堂の内部は礼拝堂正面講壇と両サイドの扉のテューダーアーチ、縦長窓の三葉形アーチ、吹き抜け窓の反り曲線アーチ、ロビーステンドグラスの半円アーチなど、様々なアーチが組み合わされただけの殆ど装飾のない簡素な空間となっている。(2304)