横浜市神奈川区青木町に江戸時代の開港当時「フランス公使館」に充てられていた真宗高田派寺院「甚行寺真色山」は鎮座している。創建は明暦2年(1656)。本尊は阿弥陀如来。江戸幕府は安政元年(1854)~安政5年(1858)にアメリカ、オランダ、イギリス、フランスと通商条約、和親条約を締結する。安政6年(1859)7名の随行員と初代駐日公使「ドゥシェーヌ・ド・ベルクール」が来日。条約上、各国公使には江戸駐在が認められ最初に仏公使館が品川(三田4丁目)の「済海寺」に設置された。ベルクールの随行員の一人「イタリア人警備員」が攘夷派の武士に襲撃さる事件やイギリス他の公使館にも同様の事件が為、品川宿から神奈川宿(甚行寺)へ公使館を移転させた。京急「神奈川」駅を降り立った商店街の一画に開港当時、土蔵造りの本堂を改造し「フランス公使館」に充てられた公使館跡の石碑=掲示がある。「山門」より入山すると境内正面に昭和46年に再建された鉄筋コンクリート造の「本堂」、左手に「客殿」と手水舎がある。(2304)
神奈川区青木町に源頼朝が安房国一宮の安房神社の霊を移して創建した「洲崎大神」がある。創建は建久2年(1191)。明治維新までは洲崎山普門寺が別当を務めたが、明治元年神仏混合禁止の布令によって神職が奉祀することになった。御祭神は天太玉命、天比理刀売命。太平洋戦争終戦までは郷社に列格されていた。江戸名所図では神社前から第一京浜に突き当たるあたりより海に向かって参道が延びていたという。ここはかつて横浜開港時、神奈川宿を結ぶ船着場であったというから中々歴史深いところでもある。京急「神奈川駅」より甚行寺方向の奥にある「神明鳥居」を抜けると境内正面に1間半四方神明造銅板葺の「本殿」、4間半に2間「拝殿」、拝殿前には「神楽殿」がある。こんもりと樹木茂る境内の背後には権現山と呼ばれた「幸ヶ谷公園」があり左手に「稲荷社」が祀られている。鎌倉幕府の直轄であったといわれ当地の鎮守として崇敬されている。(2304)