雪月花 季節を感じて

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梅雨の花

2008年06月27日 | 筆すさび ‥俳画
 
 梅雨の花、というタイトルで記事を書いているところに、福岡の boa!さま から郵便が届きました。分厚い封筒に同封されていた墨彩画に目がとまり、これはとおもってさっそく掲載させていただいた次第です。

 最近、こうした偶然がつづいていて、不思議におもうと同時に、いよいよわたしにもある種の能力がそなわったのかもしれないと、こわいような、うれしいような、妙なこころもちです。いえ、単なるおもいすごしでしょう。

 ともあれ、boa!さまご本人の許可なく掲載させていただいたことをお詫びします。一期一会のこととて、どうかご容赦ください。


 さて、梅雨の花です。

 退院してまもないころ、気のいい大家さんが、庭に自生する蛍袋とユキノシタをひと抱えも分けてくださいました。水上げがよく、つぼみだったものもぽつぽつ開いて、家の中はしばらくうす紫色をした釣鐘状の花でいっぱいでした。


 耳をすませば、チリリン‥と鈴の音が聞こえてきそうでした ^^


 蛍袋とユキノシタ。水を好む花が、なぜこのような住宅街の片隅にあるのかしらと不思議におもい、聞くと「このあたりはむかしは山で、ここには池があったから。毎年、刈っても刈っても出てくるのよ」と、芝刈りに精を出すご主人をよそ目にうれしそうに話してくださった大家さん。そのお話は、住宅砂漠のようなこの町にひどく渇きを感じていたわたしのこころに、とつぜんうるおいをもたらしてくれました。と同時に、わたしたちの暮らしが、多大な犠牲の上に成り立っていることを、あらためて実感することにもなったのでした。


 お礼のつもりで、はがきに蛍袋を描いたものを差し上げたところ、「これも絵にするんだったら」と、こんどはねぢ花を鉢植えにしてもってきてくださいました。
 ねじれて螺旋状に花をつけるねぢ花。別名、もぢずり、文字摺草。面白いことに、左巻きと右巻きの両方があります。花をよく見ますと、まるで蘭とそっくり。ねぢ花は、ラン科の多年草なんですね。


 梅雨空に向かってねじれながらぐんぐん伸びています。まだ俳画にはできていません。

 絵にならぬまま日はすぎぬねぢり花 (雪月花)


 花の先に雨上がりの空が広がっています。
 

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