劇作家・文筆家│佐野語郎(さのごろう)

演劇・オペラ・文学活動に取り組む佐野語郎(さのごろう)の活動紹介

続々々・活動模様日記風摘録

2008年11月23日 | 随想
10月31日(金) 夜/千代田区立内幸町ホール
「清水きよしパントマイム公演『幻の蝶』」観劇
11月5日(水) 午後/慶應義塾大学・三田校舎
「映画演劇論Ⅳ」授業(文学座企画事業部・I氏来訪)
11月7日(金) 夜/新宿・S店
「音楽演劇 オフィーリアのかけら」をめぐって旧友E氏と歓談。
11月10日(月) 午前/日本橋女学館高校・別館
「演劇研究系列クラス1年生」授業
11月11日(火) 午前・午後/日本橋女学館高校・別館
「演劇研究系列クラス2年生・3年生」授業
11月12日(水) 午後/慶應義塾大学・三田校舎
「映画演劇論Ⅳ」授業(文学座企画事業部・S氏来訪)
11月14日(金) 午後/日本橋女学館高校・別館
「演劇研究系列クラス2年生」授業
11月15日(土)~16日(日)高崎市・群馬県立女子大学
「2008年度日本演劇学会秋の研究集会(テーマ「ライヴとメディア」)参加
11月20日(木) 夜/有楽町・T店
「BOOKLET№1『音楽演劇 オフィーリアのかけら』」デザイン打合せ
デザイナー・編集アドヴァイザー
11月21日(金) 夜/両国・シアター・χ(カイ)
「座☆吉祥天女公演『五瓣の椿』(神奈川総合高校卒業生Kさん出演)」観劇
11月24日(祝) 午後/吉祥寺・前進座劇場
「パン・プランニング公演『歓喜の歌』(TDPメンバーMさん出演)」観劇
11月28日(金)夜/下北沢・ザ・スズナリ
「燐光群公演『戦争と市民』」観劇
11月29日(土)夜/新百合ヶ丘・川崎市アートセンター アルテリオ小劇場
「空間のデッサン番外編 パントマイム公演『そろそろ、ソロリ…』」観劇


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「60年代演劇再考」の一日

2008年11月16日 | 随想
 国際研究集会「60年代演劇再考」(主催:早稲田大学演劇博物館グローバルCOEプログラム「演劇・映像の国際的教育研究拠点」)が、10月17日・18日・19日の3日間、早稲田大学(小野記念講堂・井深大記念ホール・大隈講堂)で開催された。60年代を代表する劇作家・演出家、演劇評論家、若手の演劇人、さらにラ・ママ実験劇場の創立者エレン・スチュワートをはじめとする米国演劇人まで、豪華メンバー・多士済々である。
 私は第一日目に聴衆の一人として参加して、演劇、特に「運動としての演劇」研究の難しさを思った。劇作家や演出家が創造の状況を語り、時代の伴走者である評論家がそれを検証することは重要だし、後進の演劇人がその影響などについて意見を述べることも意味があるに違いない。しかし、対象とする「60年代演劇」からは50年も経っておらず、当事者の多くが存命でなお演劇人として活動しているわけで、その「歴史」になり切っていない演劇を学問の研究対象とすることには相当慎重でなければならない。
 演劇は美術・建築と違って瞬間芸術であり、音楽とも異なって記録性に欠ける。つまり、元来研究資料が乏しい芸術なのだ。もちろん、その限られた資料(映像記録も含めて)を蒐集し、多くの当事者にインタビューをした上で研究を重ね、発表者自身の言葉が醗酵するのを待つことは急がねばならない。しかし、限られた範囲の資料だけを整理し、氷山の一角を概観するごとき発表には違和感がある。近年の日本演劇学会でもその種の研究発表があったが、隔靴掻痒の思いは拭えなかった。
 さて、「発表者自身の言葉」といえば、この集会で胸のすくような例に出会えた。発表タイトル「アングラの『亡霊』」の佐伯隆幸氏である。演劇センター68/71の創立メンバーで、まさしく当事者の一人であり、私の書棚にも「異化する時間」「『20世紀演劇』の精神史 収容所のチェーホフ」(晶文社)、「現代演劇の起源 60年代演劇的精神史」(れんが書房新社)などの著書がある。佐伯さんは登壇するなり司会者からマイクを奪うように手にすると、演台を背にして、壇上先端から参会者に語りかけた。自らが依拠した「運動の演劇」、その現在性から放つ「新劇」批判に始まり、今の演劇人の生き様に対して『小商いをするな!』と痛撃するあたりでは、会場は沸きに沸いた。マイクを斜めに手にしたそのスタイル、自己をも客体化する批評性に富んだ語りは、講師のお話とそれを聴かせていただく参会者という関係を崩すに十分なダイナミズムがあった。
 発表終了後、佐伯さんは知人の方、黒テントの後輩、学習院大学で教えられた方に声を掛けられ(私も加えて下さり)「喉を潤す」ことになった。佐伯さんとは、あるご縁があって東京ドラマポケット公演「オフィーリアのかけら」を観に来てくださった、ただそれだけの関係ではあるが、私サイドからすると、間接的な接点として他に、30年以上前の黒テント横須賀公演と転形劇場主宰太田省吾氏がある。それらのこともその席の話題に上り、同席した皆さんとも共感に満ちた時間を過ごせたことが幸せで、この日の申し分のない締めくくりとなった。

*写真左上、会場入口。右上、ポスター。写真下、佐伯隆幸氏(中央)と「高田牧舎」前にて。


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