2年前(2006年)の初秋、女優の甲斐田裕子と銀座のトリコロールで、コーヒーを飲んでいた。銅版画展のオープニング・イヴェントの打ち合わせだった。『声優の仕事が忙しいようだけど、舞台をやってみる気はない?』と問いかけると、彼女は『朗読ですか?』と聞き返した。『ううん、舞台。一人芝居。死後のオフィーリア。』と返事すると、『面白そう。やってみたい。』と応えた。全ては、そこから始まった。
その「オープニング・イヴェント」でお手伝いを依頼したのが、甲斐田さんの出身校の後輩、久保田佑だった。久保田さんは、音楽演劇「冥界の三人姉妹」(2005年11月)でオーリガ役を演じていた。「イヴェント」を終えて、佐野・甲斐田・久保田の三人は、小雨の中を小走りに近くのおでん屋へ飛び込んだ。大根やはんぺんを肴に一杯やっていると、久保田がぽつりとつぶやいた。『私も、やりたい…』正直驚いた。周囲のサポートがなければ、とても芝居などやれる状況でないことを知っていたからである。その「状況」をなんとか作り出そうとしている彼女の覚悟を感じて、『…そう、じゃぁ、やろうか』残っていた杯の酒をグッと呑み干した。「一人芝居」から、「本格芝居」へ企画が変わった瞬間だった。いつの日か、海に到達する川の源流。その一滴に、別のもう一滴が加わって、小さな流れを生み出したのである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/a4/ba6aa84611779cb6b1101e629a34dbaa.jpg)
*写真は、「オフィーリアのかけら」、うだるような暑さの稽古場。久保田佑さん(左)と甲斐田裕子さん(右)。
その「オープニング・イヴェント」でお手伝いを依頼したのが、甲斐田さんの出身校の後輩、久保田佑だった。久保田さんは、音楽演劇「冥界の三人姉妹」(2005年11月)でオーリガ役を演じていた。「イヴェント」を終えて、佐野・甲斐田・久保田の三人は、小雨の中を小走りに近くのおでん屋へ飛び込んだ。大根やはんぺんを肴に一杯やっていると、久保田がぽつりとつぶやいた。『私も、やりたい…』正直驚いた。周囲のサポートがなければ、とても芝居などやれる状況でないことを知っていたからである。その「状況」をなんとか作り出そうとしている彼女の覚悟を感じて、『…そう、じゃぁ、やろうか』残っていた杯の酒をグッと呑み干した。「一人芝居」から、「本格芝居」へ企画が変わった瞬間だった。いつの日か、海に到達する川の源流。その一滴に、別のもう一滴が加わって、小さな流れを生み出したのである。
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*写真は、「オフィーリアのかけら」、うだるような暑さの稽古場。久保田佑さん(左)と甲斐田裕子さん(右)。