劇作家・文筆家│佐野語郎(さのごろう)

演劇・オペラ・文学活動に取り組む佐野語郎(さのごろう)の活動紹介

演劇ユニットまたはTDP②

2010年07月31日 | 創作活動
 上演活動も、いわば事業である。ただし営利の伴わない文化事業であって、とりわけ東京ドラマポケットの場合は、公的な資金援助を受けていない団体である。結果、経済的にも自立せざるを得ない。代表者をはじめ参加メンバーは、毎日アルバイトを終えるやいなや、稽古場にそして事務所に直行することになる。限られた時間での稽古や上演準備はキツキツのものとなる。
 さらに、東京ドラマポケットは、劇団ではなく「演劇ユニット」であるため、稽古日程などの調整が困難きわまる。参加メンバーは、所属事務所の仕事や自主企画公演、別の出演依頼公演の隙間を縫って、稽古場に駆けつけなければならないのだ。舞台監督や装置・照明・音楽・衣装などのスタッフも同様の状況にあるので、「打合せ」を持つのも容易ではない。
 しかし、TDP(東京ドラマポケット)には、そうした困難な状況を乗り越えるだけのパワーと参加メンバー同士の信頼感、作品世界を愛する心、「公演」という文化事業を生み出すのだという誇りがある。
 8月10日の「小屋入り」まで、あとわずか、参加メンバーは正念場を迎えている。


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演劇ユニットまたはTDP①

2010年07月04日 | 創作活動
 
「劇団」の場合は年間を通して活動し、その活動を数十年継続することも珍しくない。したがって、制作活動に欠かせない事務所や、芝居そのものを創造する稽古場は、劇団として所有する必要がある。公演のたびに、稽古場を探したり、事務所を借りたりするのは、経済的にも手間の面でも相当なロスになるからだ.
 では、公演ごとに組織する「演劇ユニット」の場合はどうだろう。劇団とちがって、その活動は散発的であり期間限定でもある。事務所や稽古場を長期間確保する必要がない。企画が持ち上がり上演体制が組まれてはじめて、集団としてスタートするからだ。東京ドラマポケット(TDP)の場合は、代表者のオフィスを兼ねることで事務所を持つことが出来たが、稽古場となると、宝くじ長者にでもならない限り無理である。そこで、稽古場は「渡り鳥」と相成る。昨日は中央区、今日は大田区、明日は豊島区…というように。
 東京ドラマポケットは、8月公演「Shadows」を目指して‘エンジンフル回転’となっている。装置プランに基づいた「実寸稽古」、音楽とムーヴメントとの打合せ、厳しい暑さの中で稽古場は燃えている。一方、事務所には、カラーレーザープリンターが届いた。パソコンに接続可能で、ファクシミリの転送も出来る優れものである。


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