劇作家・文筆家│佐野語郎(さのごろう)

演劇・オペラ・文学活動に取り組む佐野語郎(さのごろう)の活動紹介

若き演劇仲間、わが横須賀へ

2009年10月13日 | 創作活動
 横須賀は、誕生から少年期、そして青春期までを過ごした「わが町」である。諏訪幼稚園、汐入小学校、坂本中学校、横須賀市立商業高等学校の卒業生だが、こと演劇に関しては、大学入学後に活動の最大の拠点となった町だ。劇場は、杮落とし間もない「横須賀市文化会館」。定員1600の大ホールでは、鑑賞団体主催による文学座や民藝の公演の他、いくつもの地域劇団が競い合うように公演を打っていた。今では想像も出来ないほどの熱気に包まれた時代であった。私と仲間が上演した主な作品だけでも次の通りである。
1965年『寒鴨』(真船豊)
1966年『貝殻のうた』(佐野)
1967年『小夜の鈴』(佐野)
1968年『ガラスの動物園』(T.ウィリアムズ)
1969年『対話(佐野)/桃太郎奮戦記(平正夫)』※中ホール
    『わが町』(T.ワイルダー)※横須賀劇団合同公演
1970年『セールスマンの死』(A.ミラー)
 …
 さて、先日、「演劇ユニット 東京ドラマポケット(TDP)」の若き仲間二人が横須賀まで足を運んでくれた。TDPの重鎮、羽賀義博氏が演出する舞台を観に来たのである。
 羽賀氏は私の小学校・中学校の後輩に当たり、40年前、合同公演『わが町』(演出・佐野)の際、音響スタッフの一人として出会った。当時彼は大学生で、横須賀の老舗劇団に所属していたのである。現在も羽賀氏は横須賀在住で、横須賀における演劇活動の活性化を願っており、今回、「横須賀市民劇場プロジェクト」なる組織をかつての仲間と立ち上げ、別役戯曲『はるなつあきふゆ』の上演に漕ぎつけたのであった。
 2時間ほどの舞台は上出来だった。特に、彼の専門である照明はさすがで、季節の移ろいと人生の一こま一こまが品のよい情感によって映し出されていた。
 小高い丘に建つ劇場を後にして、私と若き仲間H君とYさんは、平坂と呼ばれる坂を下って繁華街に出た。せっかく遠くからわが横須賀へやってきてくれたのだから、ここは一席設けなければならない。そこで、路地裏にある一軒の居酒屋へ案内した。40年前に‘佐野一派’が通い詰めた店である。さすがに主人は代替わりしていたが、「直八」という看板と店は昔のまま残っている。私たち三人は、その日の舞台をめぐって語り合い、楽しい時間を過ごした。

 ※写真上は、公演のチラシ。写真中は、横須賀市文化会館玄関前。写真下は、居酒屋にて。


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TDPワークショップ№1の実現

2009年10月04日 | 創作活動
 演劇ユニット 東京ドラマポケット(TDP)では第二期活動に入り、来夏の公演に向けて準備態勢を整えているところだが、その一環として、劇を動かす役割を担う「コロスたち」をテーマにワークショップを開催した。
 10月3日(土)11:00~16:00 演劇ユニット 東京ドラマポケット本公演vol.2「全体演劇 ジャンヌ・ダルクと八百屋お七」ワークショップ№1「コロスたち~合唱・語り・ムーヴメント・演技~①」
 本公演vol.2の舞台では、タイトルロールおよび主要人物の表現がいわゆる<演技>となるのに対し、コロスたちには<合唱・語り・ムーヴメント・演技>と多彩な表現が求められることになる。読譜に基づく合唱という音楽表現、語り・人物演技という言語・演劇表現、さらに、さまざまにフォルムが変容するムーヴメントという舞踊表現の全てを繰り出さなくてはならない。「参加型ユニット公演」への参加という条件の上に、このかなり欲張りな要求を受け止めようとする人材に集まっていただけるだろうか?
 この難題突破に手を差し伸べてくださったのは、神谷真士氏だった。神谷氏は、慶応義塾大学在籍当時、私の「映画演劇論」を聴講されたことがあり、それがご縁でお付き合いが続いているのだが、今回、かつて在籍されていた劇団やオペラのお仲間に呼びかけてくださった。結果、当日、(ご都合のつかなかった方を除く)13名の方たちが集合、このワークショップは始まった。
 午前中は、TDPおよび本公演の概要説明、続いて、用意された楽譜による合唱。昼食後、3つのムーヴメント・語り・演技・群読と進められた。参加した皆さんは積極的に課題に取り組み、アイディアもいろいろ出されて、極めて充実したワークショップとなった。このコロスたちの演技は、いわゆる<ワーク・イン・プログレス>を前提に創り出していくので、参加メンバーの稽古に対する姿勢が、個々の演技ならびにアンサンブルとしてのレベルを決める鍵となる。
 来春の稽古開始までに、このワークショップは何回か続けられる。それと平行して上演台本も一歩一歩完成していくことになる。
 第二期 演劇ユニット 東京ドラマポケットは、年明けに本格的なスタートを切る。それまでに全出演者が確定されるわけだが、現時点では、その候補者が徐々に浮かび上がってきたという段階だ。そうした意味でも、今回の「ワークショップ№1の実現」は、上演活動における大きな礎石となるに違いない。

 *写真は、「TDP・ワークショップ№1」風景。


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