劇作家・文筆家│佐野語郎(さのごろう)

演劇・オペラ・文学活動に取り組む佐野語郎(さのごろう)の活動紹介

演劇、ライフワークの秘密

2007年07月29日 | 随想
 なぜ、芝居をやっているのだろう?どうして、45年もの間、続けてこられたのだろう?このブログでも、青春を振り返ってみたり、若い人たちとの関係を考えてみたりもした(「あの日から始まった」/「『お仕事』でない『仕事』」)。しかし、今、分かったような気がする、自分の人生にとって、なぜ演劇が必要だったのかが…。
 鑑賞者として、また、創造者として、「芸術としての演劇そのものの魅力」が自分を惹きつけて止まないことは言うまでもない。しかし、今、分かったことはそれではなく、「人と会える」ということだった。創造サイドの仲間たちはもちろんのこと、公演期間には、友人や知己、友人の友人、そして、初めて出会う人たちが観客として集まってくる。同じ芝居を共有し共感できる相手と交歓の時間が持てるのだ。演劇という芸術の特徴および要素として、「集会性」がある。私が長い間携わり、今なお、演劇の創造・制作に取り組めるのには、「公演日には、人と会える!」そのことに歓びを実感出来るからにちがいない。
 一般的に、人々が一同に集う場としては、成人式・結婚式・葬式などがある。その特別な日に、人生の節目節目に、私たちは集い、酒を酌み交わし、談笑する。私は還暦を越えたので、「冠婚葬祭」の場といえば、葬儀ばかりだ。たまに、教え子の結婚式にお呼ばれするくらいである。親戚で集まる場も、葬儀でなければ「〇〇回忌」「××年祭」と、法事ばかりとなった。『こんな時にしか、会えなくなったねぇ』というつぶやきが交わされる昨今である。
 人の一生のうちで、「集まる場」が、こんな状況ばかりでよいのだろうか?「冠婚葬祭」以外の場は無いのだろうか。地域社会(特に都会では)から「お祭り」が消えて久しい。三面記事をにぎわす出来事ばかりが町や村で頻発している。人と人との結びつきが断たれ、家庭でさえも団欒が消え、個人は孤立し、心がささくれ立っている。私は穏やかな心で友達と会いたい、葬式でない場で語り合いたい、と思っている。それも少人数でなく、にぎやかな方がいい。久しぶりの出会いも欲しい。出来れば、友達の友達とも友達になりたい。それも「或る共通意識と或る華やぎの場での時間」を過ごしたい。そう考えると、それは、「芝居」ということにならないだろうか。
 来月下旬、久しぶりの公演が、横浜・創造界隈の拠点施設「ZAIM」で幕を開ける。今、チケット申込みのFAXや近況を知らせるハガキ(写真)が連日舞い込んできている。芝居見物の「ハレの日」に三々五々集まってくる顔、顔が、眼前につぎつぎと浮かんでくる。出来うるならば、芝居が終わった後、ロビーでたくさんの笑顔が溢れるような芝居でありたい。劇場を出た後、観客の皆さんには、街の酒場に繰り出して「余熱」を語り合うような時間を持って頂けるような芝居でありたい!


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1 コメント

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Unknown (みんなのプロフィール)
2007-08-03 03:03:18
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