劇作家・文筆家│佐野語郎(さのごろう)

演劇・オペラ・文学活動に取り組む佐野語郎(さのごろう)の活動紹介

豪華客船南太平洋クルーズ体験①

2012年11月28日 | 随想
 「ぱしふぃっく びーなす号」17日間の船旅(横浜港~チューク<赤道>~ソロモン諸島沖~ニューカレドニア~ニュージーランド・オークランド)を体験した。高額の費用を支払う船客としてではなく、クルーズセミナーの講師として乗船したのである。寄港地の少ない洋上では、コンサートやマジックショーなど多彩なエンターテイメントやダンス・ゲーム・映画上映の他に、囲碁・パソコン・薬膳・パッチワークキルトなどの教室が用意されている。私は、「朗読を楽しむ」教室の講師を務めることになっていた。
 海外旅行用のキャリングケースを引き大型バッグを肩に掛けて、横浜大桟橋へ向かったのが10月31日だった。初めての長い船旅は全行程天候に恵まれ、あたかも大海原をゆったり進む洋上ホテルのようだった。私の部屋は606号室、ツインルームだが一人専用。授業の準備や持ち込んだ仕事を心置きなくこなせたし、毎朝ベッドメーキングがなされ清掃されるので快適だ。洗濯物は無料でランドリールームを利用できる。
 さて、大型船といっても陸(おか)に比べれば限定された変化の無い空間である。楽しみの中心はやはり7Fのメインダイニングルームでの食事であろう。朝・昼・夕の献立はもちろんのこと、一日たりとも同じメニューは無かった。しかも、胃にやさしい和食中心、これは船客の多くが年配者であることも考慮にいれているからにちがいない。総料理長やシェフがそれほど配慮を見せているにも関らず、私の心に残ったのは朝のオムレツだった。「食事」はボーイによってテーブルに運ばれてくるのに対し、これはセルフサービスであったが、目の前での作り立てが何よりのご馳走だった。
 「朗読を楽しむ」教室は6Fのシアターが会場となった。受講生は15名前後、中高年の生徒たちは温和な人柄の方が多かったので、運営がしやすかった。回を重ねるごとに、文字通り「楽しむ」雰囲気の中で進めることができた。事前に用意しておいたテキストによって、1作品の解釈、2三つの分野(朗読・語り・ドラマリーディング)、3表現の基本(発声・発音・発語)からスタートした。
 授業を終え、夕食のビールにありつく前に、11Fの展望浴室に向かう。この時間帯はなぜか<貸切>で利用できることが多かった。太平洋を眺めながらゆったりと湯につかる…クルーズ全体を通してこのひと時が一番だった。


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