Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「危険地報道を考えるジャーナリストの会」による【安田純平さん解放のための日本政府へのアピール】

2017-04-28 | Weblog
シリア内戦が始まって6年。イラク北部モスルでも戦闘・攻防が激化、南スーダンでは陸上自衛隊のPKO活動からの撤退。
そうした紛争・戦争地域に、日本から足を運んで伝えるジャーナリストの一人、安田純平さんがシリアで拘束されてから、まもなく二年。
メディアから安田さんの消息や安否に関する報道は途絶えている。

そんな中、「危険地報道を考えるジャーナリストの会」が、【安田純平さん解放のための日本政府へのアピール】を出した。(2017年4月15日)
ゆえあって、あまり世間に拡散されていないようだが、備忘の意味も兼ねて掲載する。

以下、本文。
 
2015年6月にジャーナリストの安田純平さんがシリアの北部でヌスラ戦線(現・シリア征服戦線)と見られる武装組織に拘束されて2年が経とうとしています。16年5月に、「助けてください これが最後のチャンスです」と日本語の紙を掲げる安田さんの画像がネットで公開されて以来、新たな情報もありません。
 安田さんと同時期にヌスラ戦線に拘束されたスペイン人ジャーナリスト3人が16年5月に無事解放され、同年9月には約1年前から拘束されていたドイツ人女性ジャーナリストも解放されました。それぞれスペイン政府、ドイツ政府が解放のために動いたとも報じられています。
 安田さんの画像が出た日の会見で菅義偉官房長官は「邦人の安全確保は政府の最も重要な責務」と公言しました。しかし、安田さんの解放について、政府が積極的に動いている様子が見えません。
 15年1月にジャーナリストの後藤健二さんが「イスラム国」(IS)に拘束され、殺害された事件で、日本政府は「テロリストとは交渉しない」という姿勢を押し通し、解放につながる有効で実質的な交渉ができませんでした。当時はアメリカ政府も日本政府と同様の立場でしたが、15年6月に方針を変更し、「人質の安全と無事に帰還させることが最優先」とし、人質の家族が解放のために身代金を支払うことを認め、政府が家族を支援するためにテロ組織と連絡をとるという新たな対応策を打ち出しました。
 米国は方針を変更する前も、自国民の保護に積極的に動いていることが知られています。2014年8月、アメリカ人ジャーナリストがヌスラ戦線に2年間拘束された後、解放された時、カタール政府が仲介したことが分かりました。当時のケリー国務長官は「2年間、政府は解放を実現するために、力になってくれる者たち、その手段を持つ者たちに緊急の援助を求め、20ヵ国以上の国々と連絡をとった」と明らかにしました。
 安田さんを解放するためには、シリア征服戦線(ヌスラ戦線)と関係の深い「第三国」の協力が不可欠です。それには日本政府の働きかけによる政府レベルの交渉が求められます。
 4月4日にアサド政権軍によって化学兵器が使われ、多くの民間人の犠牲者が出たシリア北西部のイドリブ県は、安田さんが拘束されたとされる場所です。4月7日、アメリカによるシリア攻撃によって、シリアをめぐる情勢はさらに悪化することが予想されます。現地の住民の安全とともに、安田さんの安否も気遣われます。救出を急がなければなりません。
 情報が少ない中、安田さんのご家族には不安、焦り、疲労が募っていることは想像に難くありません。安田さんの一日も早い帰国が実現するよう日本政府が中東諸国や欧米と連携しつつ、最大限の努力をするよう求めます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする