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Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

シリア内戦取材・報道の現在/安田純平氏の拘束から2年

2017-04-16 | Weblog
「くじらの墓標」公演が終わり、新年度になってから、四月馬鹿を楽しむ気力もない大馬鹿加減だし、花見もしないでいるうちに、非戦リーディングもあり、岡山行き、会議等、慌ただしくいろいろなことが起き、もう今月も折り返してしまった。花見はしなかったが、異常気象のためか、咲いている時期は長かったのではないか。少しでも目を楽しませてくれてありがとうと思う。

昨日は、危険地報道報告会≪シリア内戦取材・報道の現在/安田純平氏の拘束から2年≫。

シリア内戦は今年で6年目だという。他にも、イラク北部モスルでの戦闘・攻防が激化。
南スーダンでは陸上自衛隊のPKO活動からの撤退が報じられたが、別段事態が沈静化したからということではない。安倍政権のビビリであり、日本のドメスティックな政治の都合からだけだ。

フリージャーナリストの安田純平さんがシリアで拘束されて、まもなく2年。
最初のうち関係者は安田さんの安全のために、あえてメディアに情報を出さないようにしていたが、事態があからさまになってから後、安田さんの消息や安否に関する報道は途絶え、人びとの意識の中から、ほとんど忘れ去られようとしているかのようだ。本当に、安否の最新情報に関しては、この数カ月ぐらいが特に何も無いのだという。

この会を主催した「危険地報道を考えるジャーナリストの会」の世話人は、土井敏邦、川上泰徳、石丸次郎、綿井健陽、五十嵐浩司、高橋弘司の各氏。
ホームページは以下から入れます。

http://www.kikenchisyuzai.org/page/2/

「シリア内戦で経験した危険地取材の教訓」は、桜木武史氏の報告。フリージャーナリストの桜木氏は、シリア内戦の始まりから5回にわたる現地取材をもとに『シリア 戦場からの声 内戦2012-2015』を著し、2016年度「山本美香記念国際ジャーナリスト賞」を受賞しているが、「人間を愛すること」を中心とすると公言する、その何とも優しい人柄にほだされる。現場で負傷したりしながら、運転手の仕事で資金を蓄えてはまた現地に向かう日々を繰り返しているという。
シリア反体制支配地域で戦争報道を担う市民ジャーナリストたちの活動も紹介される。本当に、現地に暮らし、自分たちも撃たれ、倒れながらの取材。
TBS外信部記者・秌場(あきば)聖治氏によるシリア・アサド政権下の取材現場の報告もあった。
みんな立場は違うが、紛争・戦争地域に身を置いて真実を伝えようとするジャーナリストたちだ。

そして、「危険地報道を考えるジャーナリストの会」から、安田純平氏救出のためのアピールが出された。読み上げる土井さんの真情にうたれる。
しかし、この日はアピールを出したものの、アピールを出すことはおろか今日の会の開催じたいにも賛否両論があって、と、会の最初に説明があった。それはもちろん内外の政治状況をにらんでのことである。誰もシリアに取材に行くなと公言して憚らない日本政府の機嫌を損ねないようにということなのかもしれない。
安田さんの安全のために何が最善なのかは、わからない。迷い、惑いながら、しかし皆、じっとしてはいられないのだ。

2004年4月14日、安田純平さんが、私たちの支援していた渡辺修孝さんとともに拘束されたときは、広河隆一さんたちとすぐに緊急集会を開くことにしたが、数日で解放され帰国したので、なんとその日時での集会が「帰国報告集会」になった。
いまはまったく事情が違うのだ。

本当に、安田さんには無事でいてほしい。
コメント
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