Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

露出する悪意

2012-09-15 | Weblog
沖縄に住んでいながら高江のことに関心がない者、あるいはむしろ「運動」系の人達がやっているという偏見を持つ者、同じ沖縄の中でも差別意識があるとしか思えない反応がある。ヤマトの人間が言うことではないのかもしれないが、今回の県民大会でも露出したそのような状況について、残念に思わざるを得ないことが今日もあって、あらためてせつなく思う。……尖閣諸島(中国名・釣魚島)大正島北方から、中国の海洋監視船等が領海内に侵入。中国農業省漁業局は東シナ海での休漁期間が16日正午に終わり、大量の漁船が同海に出航する予定と明らかにした。「既成事実」を作ってしまおうということだろう。日本は「国境問題なし」としていながら気を遣って「実効支配」を遠慮していたわけだが、これでまたややこしくなってきた。地理的には尖閣諸島は沖縄だが、都と国の購入争いも含め、じっさいそこにいる人たちがないがしろにされている構図はそこにも。……イスラム教の預言者ムハンマドを冒とくしたとするその米映画はどういうものか私はまだ何も知らないのだが、イスラム側の抗議はインドネシアやインド、マレーシアなどなど東南アジアにも飛び火し、世界各地のイスラム諸国のほぼ全域に及び、抗議デモなどに伴う死者は既に12人という。スーダンでは独米英の大使館が包囲され、米大使館近くでは警官隊との衝突でデモ隊3人が死亡。一部が暴徒化して放火し、抗議デモの対象は欧州にも拡大する勢いを見せているという。レバノン・トリポリで は死亡者も出た上にアメリカの象徴としてケンタッキーフライド チキンの店舗も放火されたという。チュニジアの首都チュニスでは警官がデモ隊が衝突、アメリカンスクールも放火された。ヨルダン・アンマンでも米大使館前が包囲された。……中国では反日感情が顕在化し、日本人とわかるとラーメンをかけられたり、ペットボトルを投げつけられたりする事件があり、各種の日本関係のイベントも中止を余儀なくされているという。……世界がきな臭くなっている。差別、偏見、無関心の連鎖が、既に蓄積した矛盾を、堪えることができない段階に至らしめようとしている。抜本的な解決が簡単にできるとは思われないが、緊急には、あらためて、一時的にせよ、理性の広がりの波がその連鎖を覆うしかない。それを可能にするには何が必要か。
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「堪え性がなく」「好戦的」

2012-09-14 | Weblog
政府があんまりなメンバーの原子力規制委員会を19日に発足させるという今、福島第1原発事故で汚染された土壌の保管先について、自民党次期総裁最有力候補・石原伸晃曰く、「それ(放射能ゴミ)をどっかに運ぶかといえば、私は福島原発第1サティアンしかないと思いますよ」。彼は「安全が確認された原発はすぐに再稼働させるべきだ」とも言っているので、きっと「サティアン」を増やしたいのだろう。石原氏は後になって「福島第一原発と言うつもりだった。単なる勘違いだった」と釈明したが。「サティアン」というコトバを久しぶりに聞いた。失言というより潜在意識の何かなのか。そこで働いている人のことなどまったく考えたことがないということの証拠ではある。……山口情報芸術センター10周年記念祭総合芸術監督を務める坂本龍一氏が「脱原発」などの活動をしていることに対し、山口市会議員が「税金を使って活動するのだから、政治活動を慎むよう申し立ててほしい」と要請。答弁に立った市幹部は「記念祭が国内外から高い評価を得られるよう、本人に配慮いただくようお伝えしたい」と述べたという。「脱原発」のほうが高い評価を得られると思うが。県知事選のことを根に持っているのだろうか。しかし「配慮」って、なんだ? どうにもヘンな用途に使われる日本語。……リビア東部ベンガジの米国領事館が 「9月11日」にロケット弾などで襲撃され、スティーブンズ駐リビア米大使と館員3人の計4人が殺害された事件に対応し、米政府高官は海軍駆逐艦をリビア沖に派遣。目的は「米政府のリビアへの対応策に柔軟な選択肢を与えるため」だそうな。現職の大使が殺されたんじゃ冷静ではいられないのだろう。「リベンジ」が「アメリカの正当性」である。……以上、ぜんぜん関係のない件なのだが、共通項というか、そういうのを感じるのは、とにかく人間が「堪え性がなく」「好戦的」になっているということか。……稽古場は矢内原、太田、島、三氏の空気がまじりあい、いよいよ最終的にまとめる段階が来ている。ほぼ出ずっぱり、灼熱の砂浜で同じことをやることになる、男性チーム(写真)。上演時間は過去作のどれよりも短い。まだ暑い9月の太陽の下での野外劇だ。そう長くはやれない。東京はまだまだ日中最高気温34度。
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扇田昭彦著「井上ひさしの劇世界」

2012-09-13 | Weblog
扇田昭彦著「井上ひさしの劇世界」(国書刊行会)。ここしばらく、時折り頁を捲り、何日かかかってようやく読破。多くの井上作品が出てくる。既に観たり読んだりしているものとそうでないものがある。扇田さんの井上作品への愛着、同時代人としてのエールとそれゆえの厳しさ、ある意味で、まさに同志といえるつきあいだったのだろう。「笑い」についての言及は、井上作品を離れた扇田氏自身の主張とも重なるのではないだろうか。今、このタイミングで読ませていただき、とてもためになった。読み終えるのが惜しいほど楽しくもあった。ありがとうございます。……そして、井上ひさしさんが幻の遺作で向き合おうとした「沖縄」とは何だったのか。ここ数日考えている。……そんなこともあってか、夜、渡辺美佐子さんと打合せしているときも、つい井上さんの話をしてしまう。……沖縄県民大会の記録映像を観る。最後の、旧知の加藤弁護士の挨拶、「高江の空にもオスプレイは飛ばせません」に、あらためて胸打たれる。高江ヘリパッドの国が住民を訴える不条理裁判の控訴審で、福岡高裁那覇支部は、国がヘリパット反対運動の高江住民を提訴した法的根拠などに疑問を呈した。そもそも「住民弾圧」が目的だから論理なんかなかったのだ。裁判所が国に求めた釈明事項では、「提訴したのは人間ではない〈国〉という抽象的な存在」「その〈国〉が〈 通行〉するのを〈物理的な方法〉で妨害するのは不可能で はないか」ということ。まるでトンチだが、前進といえる。とはいえ、長引く「国家との裁判」で消耗させられるのは市民の側だ。……慌ただしく、やることがいっぱい。いろいろなことの判断をつける時期。
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高江におくる横断幕、第二弾

2012-09-12 | Weblog
私は行けなかったが、深夜まで梅ヶ丘BOXで、「非戦を選ぶ演劇人の会 」の女傑たちが、高江に張るメッセージ付き横断幕第二弾の文字を書く作業。写真は、いつもリーディングでも美術担当の加藤ちかさん。文面を考えたのは瀬戸山美咲さん。おつかれさまでした。空間一杯にひろげられている幕、梅ヶ丘BOXが狭いのか、横断幕が超特大なのか。……稽古。後半は矢内原さん振付。いつもよりもダンス的ではないので、なかなかたいへんである。出演者は今回は厳選メンバーだが、新人もいるので叱咤することもある。いろんなアプローチがあっていいが、とにかく俳優の仕事は、ある基準まで主体的にならないとどうにもならない。最低限の水準でいえば、求める手応えを得られているかどうかは自分でもわかるはずだ。がんばれ。
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仲井真県知事「全基地閉鎖」発言のまぼろし

2012-09-11 | Weblog
国民新党の松下忠洋金融・郵政民営化担当相が自宅マンションで首を吊り自殺という。73歳が週刊誌による女性問題暴露で死ぬとは思えないとしたり顔で言う気もないし謀略説もどうかと思うが、与党が一枚岩でないことはわかっているとはいえ、誰も事情を把握できていないということのようだ。……沖縄県民大会であらためて浮き彫りになったのは、沖縄では高江のことどころかメインに掲げたはずのオスプレイ配備阻止に向けて県内での話し合いができていないということのようだ。一時は「全基地閉鎖」などとぶちあげた知事のみならず那覇市長らも腰砕け。「革新系議員」は何をしているのか。宮城康博さんが何度か言っていたように、全県を挙げてとことんやるしかないはずなのだが。……写真は反オスプレイ国会包囲の、ヤンバルクイナ人形くんと私。床屋談義はしたくないがそろそろ散髪はしたい。
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ヤンバルクイナVS国会議事堂

2012-09-10 | Weblog
米軍新型輸送機MV22オスプレイの沖縄への配備に反対する「9.9沖縄県民大会と同時アクション『国会包囲』~オスプレイ配備を中止に追い込もう!~」に、参加。国会議事堂前、「ゆんたく高江」の一朗さんが作成・持参した高江の象徴・ヤンバルクイナ人形を持ってアピールしたりして、一時間余。それから、国会をぐるりと囲む。集まったのは一万人超とは思うが数はわからず、とにかくきちんと国会包囲は完成した。……同時刻に沖縄・宜野湾海浜公園でも「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」が行われた。参加人数は主催者発表で10万1000人。復帰後に開かれた米軍関係の県民大会としては過去最大規模という。惜しむらくは、オスプレイの「普天間配備」に反対することに主眼が置かれ、高江についての言及が乏しく、最後の加藤弁護士のアピールまで、高江のことがあまり語られなかったらしいこと。そして、不参加だった隠れ容認派である仲井真知事への大ブーイングは、当然。……オスプレイは6日に米ノースカロライナ州ジャクソンビル市街地に緊急着陸。原因はエンジンからの出火。住宅街に隣接する普天間飛行場周辺で同様のケースが起きた場合、どこに緊急着陸できるというのだ。事故は必至。こんなに故障しまくっているモノを持ってくるのはおかしい。が、忘れないでほしい。たとえ万が一オスプレイが安全だったとしても、導入は認めてはならない。無条件に基地は撤去、返還されるべきなのである。……それにしても、この国は、「平和」の価値を、もっとリアルなこととして考えられないのか。高江を見捨てることは許してはならない。沖縄で、ヤマトで、自分の問題と考えてもらいたい。写真は、ヤンバルクイナに国会議事堂を、噛みつかせてみた。
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「やんばるを飛んでいいのは、鳥と虫と、自由だけ」

2012-09-09 | Weblog
「非戦を選ぶ演劇人の会」で、高江で、住民の皆さんが防衛施設局と戦う、反ヘリ(オスプレイ)パッド・座り込み現場に張ってもらう横断幕を作った。メッセージ文を書かせていただいた。「やんばるを飛んでいいのは、鳥と虫と、自由だけ」。運動的な幕は他にいっぱいあるはずなので、演劇人らしいフレーズにしようと考えた。完成後に「鳥と虫だけでなく、コーモリも飛ばせてほしい」、という声もあったのだが(高江・アキノ隊員は「コーモリも書き加えたい」と言っている)、コーモリくん、今回はなんとか鳥の仲間だと思ってご容赦いただけないか。バックの細かい字は今年のピースリーディング台本「私の村から戦争が始まる」から抜粋したセリフ。いい色のデザイン・レイアウトを担当したのは、石原燃さん。横断幕提供の言い出しっぺは、円城寺あやさんである。忙しすぎて高江に行けないでいるが、ほんとうに、こういう形でも参加したいものである。高江の空をバックに幕が張られた写真が届いた。……昨日のブログは『仲井真沖縄県知事の裏切り』という題だったが、別段仲井真知事に「期待」していて裏切られたというわけではない。彼のやっていることが県民に対する「裏切り」だというそもそもの事実を反映しているだけだ。……『内海のクジラ』について、山陽放送ラジオのトーク番組に携帯電話で出演・収録。灼熱の(?)東小金井あたりのノイジーな道を歩きながら、である。最近のメカの性能はすごいな。……午後から夜までびっちり稽古。いつもよりも短い作品のはずなのにこの「大作感」はなんだろうと思ったら、今回は、全員がほぼ出ずっぱりの劇なのである。野外オープン、周囲が丸見えの砂浜が舞台なので、一度出たらちょこちょこひっこめられないのである。考えてみれば、執筆に意外と時間がかかったのは、その辺りの登退場の事情を全部考慮していたからである。斎藤憐さんは、戯曲の要は「登退場」にあり、という人だった。そういう意味では通常の「登退場テク」は、今回はまったく使えない。作品との出会いは、巡り合わせ。いかなる条件であろうと、よろしい、どんとこい、と引き受ける次第である。
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仲井真沖縄県知事の「裏切り」

2012-09-08 | Weblog
9月9日、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ配備に反対する 県民大会への参加について、仲井真弘多知事は、欠席した上で「メッセージ参加」することを正式に発表。不参加とした理由について「大会の趣旨は大賛成だ が、同様なことは既に首相や外相、防衛相に伝え、安全性を確認し県民の不安が払拭するまではノーだと申し上げ、行動してきている」などと語った。それでも確たる反応がないから集会するのではないのか。過去にも出席している県民大会を今回なぜ欠席するのか。まったく理由になっていない。政府に金を要求している以上、日米安保を否定する立場には立てないということであろう。“県民総ぐるみ”の集会に参加しない知事への不信感は募る一方である。……夜、「アジアの骨」による「A Lone ロン」を観る。梅ヶ丘BOXを、その空間の魅力をシンプル方向に最大限に、使ってくれている。作者グループも香港からも大勢観に来てくれていた。
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犬島公演に向けて

2012-09-07 | Weblog
いよいよ稽古も佳境である。9/22・23、二日のみの公演。いろいろな人に来てほしいと思っている。犬島には、岡山市宝伝(ほうでん)から連絡船で行く。沖合2.5キロ。定期船で8分。周囲4キロほどの岡山市で唯一、人が住む小島だ。今は人口60人足らずだが、古くから御影石の産地として知られ、大阪城や江戸城の石垣にも使われてきた。一時は銅の精錬所もあり、化学工場もある。犬島の名前の由来は、菅原道真公が九州・大宰府に左遷される時、この付近で船が嵐に遭い、遭難しかかったが犬の鳴き声に導かれて難を逃れたという言い伝えから、とされている。今も、本島北西にある犬の島には、犬の形をした巨大な石をご神体とする「犬石明神」(通称・犬石様)が祭られている。私たちの劇には、犬は出て来ないのだが。「犬島丼」という食べ物があるが、もちろん犬は入っていません。写真は会場の浜。
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9月9日、沖縄県民大会と同時アクション『国会包囲』

2012-09-06 | Weblog
オスプレイが一時駐機する米軍岩国基地について福田良彦岩国市長は、オスプレイが4月にモロッコで墜落した事故の日本側調査結果について「防衛相指揮下の分析評価チームが行った結果に基づくものであり、信頼のおけるものとして受け止めている」と、受け入れを表明。「モロッコの事故について人為的ミスが原因と認識したが、フロリダの事故に関する状況を聞かなければ安全性の判断ができない」とも言っているが、岩国から沖縄に押しつけるという罪の意識を軽減するために「信頼のおけるもの」としたいようにしか聞こえない。もしも本気でオスプレイを「信頼のおけるもの」と思うなら、沖縄に持って行かずに岩国で面倒を見ればいい。しかし、岩国市民が許すはずがない。だとすると、つまりは、この問題にあたかも真摯に向き合ったということにするための、アリバイというか、予定調和の発言でしかないのだ。市長も岩国の人達も、そしてヤマトの人間も、最終的には「沖縄」に、という決着を自明としているということが、図らずも露呈している。何とも恥ずかしい。……その沖縄は、アルフレッド・マグルビー在沖米国総領事の「普天間基地は安全」に、怒り沸騰。更迭要求も当然だ。同時に、9月9日の県民大会で知事がいかに存在するかの問題、そして、高江のことを先送りにしたオスプレイ反対などあり得ないという現実にどう向き合うかという、避けられない課題もある。言うまでもなく、当然のことながら、沖縄問題はヤマト問題である。そうであるべきだ。ヤマトも動かねばならない。9.9沖縄県民大会と同時アクション『国会包囲』~オスプレイ配備を中止に追い込もう!~。9月9日(日)11:00~12:30。国会周辺、国会正門向かいの通りから集まり、国会包囲を目指します。
http://noosprey.xxxxxxxx.jp/index.html
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渦中の一日

2012-09-05 | Weblog
矢内原美邦マスター、なんと「歯をぬいて、顔がはれて、うまくしゃべることができないので、稽古に行けない」とのこと。仕方ない。しかし、知らないぞ-、いない間に勝手に振付変えちゃうぞ-。……午後、重要な会議。……終えて、とにかく稽古。なんにせよ、この野外劇は、いつもと違うし、いつもと同じだ。みんなが楽しんでやらなければならない。そこがまさに「高度」さが要求されるところなのだ。……ふだんから同時並行していることが多いことを愚痴ったりはしないが、そこを理解してくれていないとあんまりだな、と思う時もある。……ある種の夢を続けて見る。何かの象徴か。……なぜか息子が『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』DVDを借りてくる。さいきん勉強していないから少しはためになるものをと思ったか?! しかし邦題は「涙」がついてくるんだな。
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保険の利く整骨院

2012-09-04 | Weblog
矢内原美邦マスターによる振付が六時間。この人の集中力と粘りはすごい。前回に組んだ『荷』のときほどあからさまな「ムーブメント」ではないので、また違う考え方で試している。ニブロールの代表、振付家として、今年岸田戯曲賞を受賞した劇作家・演出家として、まさに大車輪の活躍の彼女との共同作業は、とても贅沢なことである。それにしてもやはり、広い稽古場は、いい。……保険の利く整骨院に行ってみて、いろいろと思う。「社会保障制度改革推進法案」はかなり問題がある代物だ。社会保障の給付を「受益」とみなし、それに見合う「負担」をさせようという。給付の「重点化」により、運営を「効率化」「適正化」するという。これは国保や被用者保険の保険料を高い方にあわせる平準化が懸念される上、全体の給付削減を正当化しようとするもので、費用の高い医療や医薬品は健保を適用しない。健保適用のジェネリック医薬品を拒否して先発薬を使う場合の差額は自己負担になる。金持ちはより高度な医療が受けられる一方で、医療費をまともに払えない層が見捨てられる。半世紀余にわたって、「誰でも、いつでも、どこの医療機関でも」国民が等しく医療を受けられた日本の「国民皆健康保険制度」が、改悪されようとしている。これは「TPP参加」によって、日本の医療現場・市場を外資(アメリカ)に売り渡す動きである。既に厚生労働省は2013年度から、70~74歳の高齢者の1割負担を2割負担へ引き上げようとしている。本人や家族が望んでも、健保を使った終末医療は行われない。高齢者医療制度も生活保護医療も自己負担の導入が検討されているのだ。……公的年金制度の改革において、「社会保障番号制度の早期導入を実施する」ことが明記されており、すでに、国民一人ひとりに個人番号を付けて、年金、医療、介護、納税、金融口座、住民基本情報などを一括管理する共通番号制=マイナンバー関連3法案が、今国会に提出されている。「社会保障番号制度」とは、アメリカでの「ソーシャル・セキュリティー・ナンバー」のことで、アメリカではこれを持っているかどうかが国民としての権利を得られるかどうかの基準だったりするもので、一種の身分証明の意味を持つこともあり、当然のように存在するものだ。だが、そのことが種々の問題を孕んでいる。日本の「国民皆健康保険制度」は、オバマ大統領でさえ「見習うべきもの」としているが、じっさい、二十世紀末のアメリカが日本を羨んでいた部分である。私は何人かのアメリカの友人からその実感を聞いている。この十数年、日本はどんどん自らの良いところを自分から失おうとしている。そのほとんどがアメリカからの要請に盲目的に従うことがきっかけとなり、小泉政権時代に始まったことだ。現在の悪い動きを封じるには、どこからどう間違ったかを正確に振り返る必要もある。
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『標的の村 国に訴えられた沖縄・高江の住人たち』

2012-09-03 | Weblog
名古屋から帰る。……でも午前中、大須観音から近い伏見でフランス映画『最強のふたり』を観る。大作でないのに満席の映画館は気持ちがいい。映画は「着想」を越えたドラマとしては膨らまないのか、このくらいに距離を置くのがリアルという時代になってきたのか、にわかには判然としない。決して悪くはないのだが、なんというか、自分はこれと同じものを作らないだろうということだけが、現実として認識される。これからこういうことが増えるのはいやだな。いや、増えているのだろう。……あたふた帰京。粛々と仕事を進める。……深夜、琉球朝日放送のドキュメンタリー『標的の村 国に訴えられた沖縄・高江の住人たち』を観る。本放送は、東京などは、これから(テレビ朝日は09/03 27:18より)。高江の状況が短い時間の中に凝縮されている。知識として知っていてもベトナム村と高江の繋がりを、こうして見せられると、たまらない。番組の作り手が現場の気持ちに入ってきている。必見。
http://www.qab.co.jp/village-of-target/index.html
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フィクションではなくなった原発異常

2012-09-02 | Weblog
稽古は続く。合理的に進める。俳優の主体性を伸ばすことが重要。その上で演劇は、一人ではできないことをやるのだ。音楽要素がこれからいろいろ決まってゆくのが、楽しみ。……七ツ寺共同スタジオ40周年記念公演・七ツ寺プロデュース第18弾『東京アパッチ族』、初日に駆け込む。テントでやった劇を小劇場でやる荒技、劇場の天井にどんどん穴を開けている、つまり「上からの登場」が多いのである。劇場の壁や舞台をじかに色塗りしたのも含め、この大胆さは劇場プロデュースならでは。いろいろ思うことはあるが、あえて感想は記さず。あと十一ステージ、とにかくアングラ劇なのだから、身体も言葉も非日常を獲得できるまで開き、暴れてほしい。老若男女、総勢三十四人が出るプロデュース公演、稽古は毎日夜七時から十時まで、通しも一度だけの制約。それでもやりたいと集まった人たち。名古屋演劇の歴史を支えてきた民間劇場を支え、演劇人が手弁当で集まった公演、もっと準備等の環境を整えるには、見合った支援が必要だ。公立劇場ばかりが公共性を持っているわけではない。……十三年前既に、震災、原発、貧困について、ここまで書いていたのだなあと思う。後半、人々は西に逃げる。原発から白煙が上がる件の台詞には、ぞっとした。在名の批評家M女史は観ている間はかなりの部分を新たに書き足したと思い込んだらしい。まったく書き加えていないのだ。ちなみに、人々に警告する「ヒロセ」というキャラクターは、1988年の『危険な話』という劇からしばらく、私の持ち役であった。その後も何度か登場しているのである。……福島第一原発、冷却用の注水量が低下。しかも原因がいまだに特定できずにいる。報道もきちんとされていない、こんな状態が「日常」化している。なぜみんな平気なのか。「ヒロセ」が訴えるのは「危機の状況」だけではない、「人々への不信」もである。
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『東京アパッチ族』開幕寸前

2012-09-01 | Weblog
七ツ寺共同スタジオ40周年記念公演・七ツ寺プロデュース第18弾『東京アパッチ族』、いよいよ初日。写真は、劇の内容に即して宣伝のため発行されている「月刊アパッチ新聞」(http://tokyoapache2012.web.fc2.com/top/)。……熊本では、老朽化した県営荒瀬ダム(八代市)の撤去工事に、ついに着手。ダムを完全に壊し自然の状態に戻すのは国内初。既に開門状態は続いており、ダム撤去による自然再生は証明されている。この動きが全国で続くといいが。……東日本大震災の大津波に耐えた岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」が来月12日に切り倒され、保存に向けた防腐処理に入るという。当日はセレモニーも開く予定で、震災2年を迎える来年3月11日までに元の場所に立て直すとしている。市によると、高さ約27メートルの一本松を根元から切断して、幹を5分割。芯をくりぬき、防腐処理を施す。その後、金属の心棒を通して立ち姿のまま保存する。保存費用は約1億5千万円。市はホームページや交流サイト「フェイスブック」で募金を呼び掛けているという。うーん。これ、明らかに間違っている。「奇跡の一本松」に何を象徴させようとしているか。彼らは「現実の出来事」を「ニセモノ」にしようとしているわけだ。本物もどきのニセモノ。サイボーグ松だから、純粋な象徴ではない。しかもわざわざ自然の状態を壊そうとしているのだ。これからの社会をごまかしてやっていこう、と言われているようなものだ。……石原慎太郎東京都知事は、橋下徹大阪市長が大阪府の名称を「大阪都」に変えるため、住民投票を行う意向を示したことについて「それは間違いで迷惑千万。国家のキャピタルは一つしかない。世界中が迷惑する」と批判。珍しく正しいことを言っている。ただ、橋下は大阪に「遷都」したいと考えているわけだから、そんなこと言っても馬耳東風であろう。……稽古。やれることから、少しずつ進めているわけだが、いつもと違う。どう違うか、あまり考えても仕方がない。やれば、見える。手に入れれば、わかる。はずだ。稽古後、森下紀彦舞監・制作古元とあれこれ話しながら、あらためて今回が「野外劇」であることを、思う。演助清水がブログを書いている。(http://yomogi-yomoyama.at.webry.info/201208/article_4.html)……「朝まで生テレビ」を途中まで見るが、やめる。「結論は出ない」と簡単に言うが、他の国はそう思っていないかもしれないよ。
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