Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

保険の利く整骨院

2012-09-04 | Weblog
矢内原美邦マスターによる振付が六時間。この人の集中力と粘りはすごい。前回に組んだ『荷』のときほどあからさまな「ムーブメント」ではないので、また違う考え方で試している。ニブロールの代表、振付家として、今年岸田戯曲賞を受賞した劇作家・演出家として、まさに大車輪の活躍の彼女との共同作業は、とても贅沢なことである。それにしてもやはり、広い稽古場は、いい。……保険の利く整骨院に行ってみて、いろいろと思う。「社会保障制度改革推進法案」はかなり問題がある代物だ。社会保障の給付を「受益」とみなし、それに見合う「負担」をさせようという。給付の「重点化」により、運営を「効率化」「適正化」するという。これは国保や被用者保険の保険料を高い方にあわせる平準化が懸念される上、全体の給付削減を正当化しようとするもので、費用の高い医療や医薬品は健保を適用しない。健保適用のジェネリック医薬品を拒否して先発薬を使う場合の差額は自己負担になる。金持ちはより高度な医療が受けられる一方で、医療費をまともに払えない層が見捨てられる。半世紀余にわたって、「誰でも、いつでも、どこの医療機関でも」国民が等しく医療を受けられた日本の「国民皆健康保険制度」が、改悪されようとしている。これは「TPP参加」によって、日本の医療現場・市場を外資(アメリカ)に売り渡す動きである。既に厚生労働省は2013年度から、70~74歳の高齢者の1割負担を2割負担へ引き上げようとしている。本人や家族が望んでも、健保を使った終末医療は行われない。高齢者医療制度も生活保護医療も自己負担の導入が検討されているのだ。……公的年金制度の改革において、「社会保障番号制度の早期導入を実施する」ことが明記されており、すでに、国民一人ひとりに個人番号を付けて、年金、医療、介護、納税、金融口座、住民基本情報などを一括管理する共通番号制=マイナンバー関連3法案が、今国会に提出されている。「社会保障番号制度」とは、アメリカでの「ソーシャル・セキュリティー・ナンバー」のことで、アメリカではこれを持っているかどうかが国民としての権利を得られるかどうかの基準だったりするもので、一種の身分証明の意味を持つこともあり、当然のように存在するものだ。だが、そのことが種々の問題を孕んでいる。日本の「国民皆健康保険制度」は、オバマ大統領でさえ「見習うべきもの」としているが、じっさい、二十世紀末のアメリカが日本を羨んでいた部分である。私は何人かのアメリカの友人からその実感を聞いている。この十数年、日本はどんどん自らの良いところを自分から失おうとしている。そのほとんどがアメリカからの要請に盲目的に従うことがきっかけとなり、小泉政権時代に始まったことだ。現在の悪い動きを封じるには、どこからどう間違ったかを正確に振り返る必要もある。
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