Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

逃げも隠れもできない立ち位置

2012-09-26 | Weblog
岩国基地に「一時駐機」中の新型輸送機MV22オスプレイは「試験飛行」を3日連続で実施。住宅地上空を飛行、低空で周回、離着陸を何回も繰り返した。明らかに「日米合同委員会の合意」に反する飛行があったと推察される。日米合意の安全確保策では、移動の際は可能な限り水上を飛行することになっているが、岩国市由宇町と同県周防大島町の住民から「住宅地の上空をオスプレイが通過した」との目撃があった。安全確保策では他に、垂直離着陸を行う「ヘリコプターモード」での飛行を原則として米軍の施設・区域内に限っているが、二十三日には区域外の広島湾などでオスプレイがヘリモードで飛行する様子が目撃されている。基地北側の堤防から30回近い「違反」を確認した報告もある。なのに米軍に何も言えない日本政府。「違反」はすぐに「常態化」する。沖縄はずっとその試練に耐えてきたのだ。……台湾の漁船団と巡視船、計約50隻が尖閣諸島魚釣島沖に領海侵入、退去を求め30隻を超える巡視船艇を出動させた海上保安庁と台湾の巡視船が放水で応酬、一時緊迫した状況となったという。「日米安保」があることは、こうした事態に何も関係がないし、関係があってもいけないのだが、この国では「オスプレイが来れば、尖閣を守ってくれる」という論調がまことしやかに横行している。無知にも程がある。……宮城康博氏が指摘するように、沖縄県知事のみならず、県議会及び全市町村首長と議会がオスプレイ配備に反対している現状で、日本政府が勝手に「安全宣言」して普天間へオスプレイが飛来し配備されるのは「強行」以外の何ものでもない。こうして岩国で先んじて「強行」の実例が示されたことの重みを、日本政府は沖縄の人たちほどに重く受け取っていない。いまや沖縄県下全自治体がオスプレイ配備反対決議をしている。保守系の仲井真知事でさえ「(安全宣言の)中身は『人間が失敗しやすい飛行機である』と言っているだけで、何でこれが安全か、論理の飛躍がいろいろある」と言い、そもそも7月1日に「強行なら全基地閉鎖しかない」と言っている。それを無視した形でほんとうに強行配備されてしまえば、沖縄から「自治」はなくなる。宮城氏が言うように「主権者の一人一人の一票で選ばれた議会議員は、その存在をかけ、最前線に立ち、逮捕されなければならない」というところまで、切迫した事態なのである。「全基地閉鎖」、この知事の言葉を、額面通りに受け止めたい。「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里鈴代さんは「逮捕されても生活に影響のない65歳から75歳」を中心に、行動に打って出る準備をしはじめているという。オスプレイ配備阻止行動の普天間基地ゲート前連続座りこみが、9月26日(水)から 無期限で始まる。ほんとうに正念場になってしまった。このたたかいが成就することを祈る。そして、反オスプレイの人達に、普天間を封じ込めることも大事だが、オスプレイパッド工事が強行され、夜明け前から工事強行をくい止めるため少人数の人たちが身体を張っている高江についても、同様に抗議してほしい。……などと言っても、自分が仕事に首を絞められて東京を離れられないことが、苦しくてたまらない。……こうして米軍の軍事戦略下にあるこの国で、自民党は「徴兵制導入」の検討を明確に打ち出した。参院選を視野に、離反した保守層を呼び戻す狙いというが、陸上自衛隊と米軍のキャンプ・ハンセン共同使用訓練急増に見られるように、昨今のアメリカの日本軽視に堪えきれず、憲法改悪なども含めて軍事的な繋がりを打ち出し、「なんとか見捨てないでほしい」と擦り寄ろうとしているのである。……大阪市の橋下市長は、従軍慰安婦に関する橋下氏の発言の撤回や謝罪を求めている元慰安婦の女性と「お会いしたい」と言ったらしい。「慰安婦が軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられた証拠はない」「証拠があるなら韓国の皆さんに出してもらいたい」などと発言している者が、どの面下げて会うつもりか知らないが、「慰安婦の方の意見にもしっかり耳を傾けないといけない」と言いつつ、「証拠がなかったら事実を認めることはできない」という主張を変えていないという。元慰安婦の女性は「謝罪したいというならともかく、話を聞こうというだけなら面会する必要はない」と話したというが、「維新の党」の支持率急低下に見られるように、こうした、人の心を踏みにじるごまかしのパフォーマンスも、もう通用しなくなっている。二年前の大阪府知事時代、当時の鳩山首相が招集した知事会で「普天間の米軍ヘリ部隊を関西に呼んでもいい」と発言していたはずが、最近は「普天間の移設先の基地は辺野古に置かなければならない、自分が沖縄に行って話したい。防衛のためには必要」とまったく無責任に意見を変えている。海兵隊の機能と現状さえ理解できていないこの男が沖縄に行って、どういう反応が返ってくると思っているのか。あまりにも愚かだ。……帰京して、思いの外、疲れていることを痛感。自宅に戻っても、南谷朝子の主題歌と太田惠資ヴァイオリンの旋律が頭の中をぐるぐる巡っている。『内海のクジラ』の余韻はなかなか消えることがない。……写真の、コンクリに貼ってある黒いビニールテープは、犬島西ノ谷湾岸に於ける『内海のクジラ』の「舞台」の、センター場ミリ。この後に私自身が立って、場当たりとリハーサルの間、俳優たちにセンター位置を示していたのである。劇場でもたまにそういうことはあるが、中央に立つ演出家は、出演者たちにとって、咄嗟の目印に、最適なのである。作品に責任を取る立場としては、逃げも隠れもできない立ち位置であるともいえる。もちろん本番には私はそこにはいないのだが。
コメント (1)
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