Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

彼らの敵

2013-07-31 | Weblog
城崎まで一泊で仕事に行って帰京した。詳細はまた。
一つだけ余計な話。
かの地で乗せてもらったクルマのカーナビが行く先々でそのエリアのことを「レーザー式ネズミ取りがあります」と喋って警告してくれるのだが、これがけっこう頻繁で、不思議な感じだ。スピード違反取締りを「ネズミ取り」と言うのは日本だけなのだろうか。そう呼ぶことを知らない人が、例えば外国人などが聞いたら、なぜこのカーナビは人間様にネズミの危機について教えるのか、相当不可解なはずである。と、半ば冗談で話していたら、同乗の女性が「あー、スピード違反取締りのことなんですかー」と言う。では彼女は何を「ネズミ取り」と思っていたのかとおそるおそる尋ねてみると、「なんか行き止まりとかそういうものがあるって言ってるのかなーって」と言うのであった。うん。それはきっと「袋小路」のことであって、「ネズミ取り」ではないのですよ。

帰京し、ミナモザ『彼らの敵』を観る。時に高江に行く仲間であり、『私の村から戦争が始まる』の作者の一人でもある、瀬戸山美咲の、自身のユニットによる最新作。
作品解説にある「1991年3月、パキスタンのインダス川で川下りをしていた日本人大学生3人が 強盗団に誘拐される事件が起きました。3人のうち1人は伝達係として解放されましたが、残りの2人は44日間、監禁されました。2人のうちのひとりである服部貴康さんは、帰国後、週刊誌のカメラマンに追われ、 激しいバッシングにさらされ、苦悩する日々を送ることとなります。しかし、大学卒業後に彼が選んだ道はまさにその「週刊誌カメラマン」でした。 これは、「私」と「彼ら」の中にある「敵」をめぐる物語です。」という解説通りの芝居であった。
前半はシーン転換が多すぎるというか演劇的手法を使いすぎているように感じられたが、主人公が彼をバッシングした週刊文春の編集者・ライターと対決するシーンがたいへん優れていて、それから後半を一気に見せる。このシーンがいいのは、無駄なところが少しもないという一点に尽きる。俳優が「自分のため」に演じていないことがよくわかる。当事者としてそこにいる、という演劇の基本がある。こないだ「チョコレートケーキ」でヒトラーだった西尾君が等身大の青年を演じている。まわりの男優たちもきっちり締めてくれる。ユニット型公演のいいところばかりが出ている。
詳細は以下のHPを御覧ください。
http://www.minamoza.com/

その後、主人公のモデルである服部貴康さんご本人と、彼が誘拐された頃に同じアパートに住んでいた現在は週刊文春(!)に勤務している彼の友人Nさんとお話しする機会があって、これも貴重な情報をあれこれ聞くことができた。観劇も含めて、とても元気をもらった夜だった。
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