聞いたことがある。食券を先に買わせて牛丼を提供するのは冷たすぎると吉野家は考えている。対面で注文を取り対面で会計してこそ、ぬくもりと感謝の気持ちを伝えることができる。そう吉野家は考えているので食券システムを導入することは未来永劫ありえない。そんな話をテレビの番組か何かで聞いたことが確かにある。
ところが最近、タブレット型のタッチパネルが続々と導入されて、対面で注文する機会がなくなってきた。ぬくもりと感謝の気持ちはどこへ? 視覚に障害があるお客さんや、タッチパネルの使い方がわからないお客さんには、店員さんが手助けをするんだろう。けれども、タブレット型のタッチパネルに設備投資した分、これまで吉野家に非正規雇用されていた従業員(とくに外国人)が姿を消し、人手が減って手助けに手が回らないか、手助けしてるあいだ接客(料理の提供やお会計や食器の片づけなど)がストップする。
いまのところ、お会計は対面で行う。その部分で、ぬくもりと感謝の気持ちを伝えることが従来の半分できるかもしれない。しかし実際のところ人手が減った分、手が回らなくてお会計をなかなかしてくれない。対面でお会計してるあいだも、他の客が注文を伝えたくてイライラしていたり、新規に来店した客が放置されてイライラしていたり、席が空いていても食器を下げるのが追いつかなくて案内できなかったりすると、そっちのことが気になってお会計の作業しながら気もそぞろな様子……あんまり、ぬくもりも感謝の気持ちも伝わってこないことが珍しくない。
それでも食券システム(=食い逃げ防止マシン=売り上げ持ち逃げ予防ツール)を導入しないことに誇りを持っているのだろうか。タッチパネルにするぐらいなら、食券システムのほうが操作しやすくて気が楽だという話もあるし、タッチパネル導入と同時にいなくなった非正規雇用の労働者(とくに移民の人たち)がどうなったか想像すると、ぬくもりどころではない。科学や技術が進歩すると人間は幸福になるはずが、あべこべに不幸になってるんじゃないかと思うと口に運ぶ飯も味しなくなり、またブログに書き留めた次第です。
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