A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1199 『【増補完訳】棒馬考』

2016-07-11 22:34:22 | 書物
タイトル:棒馬考―イメージの読解
タイトル別名:Meditations on a hobby horse and other essays on the theory of art
著者:E.H.ゴンブリッチ
訳者:二見史郎, 谷川渥, 横山勝彦
装丁:寺山祐策
発行:東京 : 勁草書房
発行日:1994.1
形態:393, viip ; 20cm
注記:原著 (London : Phaidon Press, 1963) の抄訳
内容:
棒馬、漫画、壷絵からエッシャーまで、視覚芸術の表現と意味に迫る。
3篇(中世美術、芸術の社会史、抽象芸術)を加えた増補完訳版!

目次

序文
棒馬 あるいは芸術形式の根源についての考察
芸術上の価値の視覚的隠喩
精神分析と美術史
相貌的知覚について
表現と伝達
アンドレ・マルローと表現主義の危機
西欧の静物画における伝統と表現
芸術と学問
ロマン主義時代における図像表現と芸術
風刺漫画家の兵器庫
イリュージョンと視覚の袋小路
中世美術における達成の問題
芸術の社会史
抽象芸術の流行
あとがき
増補完訳版のためのあとがき
索引

購入日:2016年7月11日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 ディドロの『絵画について』を読み終え、次は視覚芸術の視野を補強するため、本書を読んでみることにする。
今後控えるReproduction展、嶋春香展、明楽和記展の参考になるかもしれない。
本書もまた京都府・市の図書館に所蔵がなく、購入することになった。現在絶版で、古本だが定価より1.5倍ぐらい高かった。


memorandum 328 本当の気持ちがいちばん大事

2016-07-10 23:32:35 | ことば
「だれに何と言われても、しがらみは一切取り払って、自分の気持ちを大事にしなさい」
一語一会」エッセイスト・しまおまほさん 父からの言葉『朝日新聞』夕刊、2016年7月7日

エッセイスト・しまおまほが写真家・作家の父島尾伸三から言われた言葉。
最後に決めるのは他人ではなく、自分の気持ちなのだ。
また、島尾伸三は毎日のように、しまおまほに「日記をつけなさい」と言ったという。「本当の気持ちを書きなさい。いつか絶対に役に立つ」と。

私はこれまで日記はいつも三日坊主で続かなかったが、昨年ぐらいから毎日のようにスマートフォンのアプリに書いている。
島尾の言葉ではないが、「本当の気持ち」を書けばいいと思ったら、書くことが多くなった。
逡巡する気持ちをひたすら書いて(打って?押して?)いっているが、いつかスマホからノートに変えて書きたいところだ。
言葉が推測変換されるのは便利なのだが、その選択肢のなかで言葉を選んでいることがときどきあり、これはまずいと思うのだ。
「本当の気持ち」が自分でもわからなかったりするから、その日の「本当の気持ち」と思えるものを日記に書くことで、「本当の気持ち」を見つけようとしているのかもしれない。

そもそも、日記を始めた理由の一つは、以前に読んだ種田山頭火の日記がおもしろかったからかもしれない。山頭火の日記はネガティブな弱音を吐いたり、食べ物のことを書いたり、借金の金額を書いたり、たわいもないメモのようなものがあったりおもしろかった。これなら私でも書けるし、続けられると思って、始めたら今でも続いてる。もう一つは個人的な理由なので書かないけれど。
日記はおもしろいので、ほかの作家のも読んでみたい。
同時代の日記を時系列に編集したアンソロジーなんか作ったらおもしろいかもしれない。



memorandum 327 理想

2016-07-09 23:19:56 | ことば
「映画監督の仕事はありのままの自分を表現することじゃない。こうなってほしい、こうであったらいいな、そういう自分の夢や理想、願望を描くものなんだ」
アッバス・キアロスタミ、篠崎誠「キアロスタミ監督を悼む」『日本経済新聞』朝刊2016年7月7日から

この言葉は映画監督だけではなく、すべての仕事に言えるのではないだろうか。
そもそも「ありのままの自分」なんて、あるんだろうか。

キアロスタミの映画は好きでよく見に行った。キアロスタミと言えば、ユーロスペースだ。
当時は渋谷の桜丘町にあり、よく通った。
キアロスタミ映画のなかでは、『そして人生はつづく』、『クローズ・アップ』にはとくに感銘を受けた。
高校生の若造ではあったが、私のドキュメンタリー好みはキアロスタミの映画に由来するのかもしれない。
合掌。


【ご案内】Reproduction

2016-07-08 07:46:33 | お知らせ
成安造形大学【キャンバスが美術館】にて開催される展覧会「Reproduction」のアーティストトークに参加いたします。
企画は私ではありませんが、とても興味深いテーマとアーティストで楽しみです。
暑さ厳しき7月末、ぜひ涼みにいらしてください。
フライヤーは各作家をオモテ面に使った3種類あります。紙も異なるので、ぜひお見かけしたらお手に取ってみてください。


Reproduction
大八木夏生/澤田 華福田真知
http://www.seian.ac.jp/gallery/?p=13148
会期:7月18日[月]–8月6日[土]
時間:12:00–18:00 入場無料
休館:7月31日[日]
会場:成安造形大学【キャンパスが美術館】ギャラリーアートサイト

アーティストトーク (参加無料、予約不要)
日時:7月30日[土] 15:00 –16:30
モデレーター:平田剛志(美術批評)
出演:大八木夏生/澤田 華/福田真知
会場:成安造形大学【キャンパスが美術館】ギャラリーアートサイト


大八木夏生


澤田 華



未読日記1198 『Kokufubook : 國府理作品集』

2016-07-07 22:37:07 | 書物
タイトル:國府理作品集 KOKUFUBOOK
著者:國府理
企画・編集:國府理作品集出版委員会
協力:國府克治
デザイン:豊永政史
発行:京都 : 青幻舎
発行日:2016.6
形態:166p(おもに図版) ; 27cm
内容:
初期作から集大成《相対温室》までの約100点、独自の設計思想で「未来」を切り開いた國府理の全軌跡。

外がうちに、内がそとに移るとき、自然と人工の境界が反転し、國府理の作品=機関がどこでもない場所へと走り出す。—椹木野衣

國府理(こくふ・おさむ 1970‐2014)は、乗り物の形態をモチーフに、実際に稼働させる動力と機能を備えた大型の立体作品を制作、発表。移動手段の実用枠を超えたユニークな乗り物を独自の設計思想と自らの手でつくり出し、機械・自然・人とが融合・対立・循環するメカニズムを考察し、それらを「もう一つの世界」として現実世界と相対させながら、人間と自然が共生していく「未来」を模索し続けた。本書は、代表作約100点に、彼自身による「言葉」を添え、國府理の世界を一望する決定版作品集である。

目次
エッセー|國府理
KOKUFUBOOK
循環する水、反転する世界—相対温室の一考察|近藤由紀
國府理の彫刻|金井直
《Typical Biosphere》への道—國府理の未完の物語|松下和美
作品リスト、ドローイングリスト
年譜
略歴・展覧会記録
主要文献目録

頂いた日:2016年7月6日
 アートスペース虹にお伺いした際にご恵贈いただきました。どうもありがとうございます。
 以前にも書いたことだが、東京・ギャラリーエークワッドで行われた國府理の展覧会は私にとって國府作品を再考する貴重な機会となった。今回の作品集を見ると、始発点こそ自動車・機械に重点、関心があることがわかるが、徐々に國府の作品に「植物」が占める率が増えていくのである。もし、國府が生き続けていたら、後には植物だけを素材とした作品を制作したかもしれない。メカニズムというのは機械だけでなく、自然や人間にもあるものだからだ。そもそも、機械のメカニズムは、人間や植物の機構を参照し生み出されたものではなかったのか。そして、機械も植物も人のメンテナンスがあってこそと考えると、國府の死は機械/植物への介護・介助だったのか、はたまた生と死という自然の一つのサイクルだったかと空恐ろしい考えが頭をもたげる。

 だが、作家や作品を伝説・神話化することは気をつけたい。まして、生にならともかくも死に意味を与えるなど、無意味なことである。いま、AI(人工知能)やICT、IOTの普及によって、機械が人間や植物をメンテナンス、管理する時代が来るかもしれない。この先の未来、私たちが共生するのは、もはや人間ではなく、機械や人のかたちをした「何か」かもしれないのだ。國府の作品は、そんな共生の視覚化だとも言えるだろう。

未読日記1197 『Wolfgang Tillmans Neue Welt』

2016-07-06 22:37:01 | 書物
タイトル:Wolfgang Tillmans Neue Welt
Editing, design and typography by Wolfgang Tillmans
Editing and design assistant: Karl Kolbitz
Editing and production assistant: Carmen Brunner
Studio coordination: Frauke Nelißen
Production assistant: Simon Menges
Front cover design: Karl Kolbitz and Wolfgang Tillmans
Text editing: Michael Kerkmann
Studio assistants: Tara Khan, Annett Kottek, Maria Anna Bierwirth, Tess Hurrell Alcuin Stevenson, Rommelo Yu, Eric Freier
Editorial coordination: Simone Philippi, Cologne
Production coordination: Stefan Klatte, Cologne
English translation: Karl Edward Johnson, Berlin
French translation: Wolf Fruhtrunk, Villeneuve-Georges
Color separation: Johann Hausstaetter, Karen Schütze, Hausstaetter Herstellung, Berlin
発行:Köln ; London : Taschen
発行日:c2012
形態:1 v. : ill. (some col.) ; 31 cm
注記:Exhibition catalogue
   Catalog of an exhibition held at Kunsthalle Zürich, Sep. 1-Nov. 4, 2012
内容:
"New World / Life is astronomical" Wolfgang Tillmans in conversation with Beatrix Ruf
Neue Welt

購入日:2016年7月6日
購入店:古本トロニカ
購入理由:
 とある同人誌に寄稿するティルマンス論のための参考文献として購入。春から手をつけているのに、迷惑をかけ続けてまだ終わらない。この場に及んであるアイデアが閃き、本書を購入。


memorandum 326 バランス

2016-07-05 23:57:01 | ことば
 いや、おれは冷静でもなければ、常にクールに自分のペースを守っているわけでもない。それはただバランスの問題に過ぎない。自分の抱える重みを支点の左右に、習慣的にうまく振り分けているだけだ。他人の目には涼しげに映るかもしれない。でもそれは決して簡単な作業ではない。見た目よりは手間がかかる。そして均衡がうまくとれているからといって、支点にかかる総重量が僅かでも軽くなるわけではないのだ。
村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』文藝春秋、2013、365頁.

毎日、バランスをとることに四苦八苦している。

memorandum 325 容器

2016-07-04 22:55:07 | ことば
「たとえ君が空っぽの容器だったとしても、それでいいじゃない」とエリは言った。「もしそうだとしても、君はとても素敵な、心を惹かれる容器だよ。自分自身が何であるかなんて、そんなことは本当には誰にもわかりはしない。そう思わない? それなら君は、どこまでも美しいかたちの入れ物になればいいんだ。誰かが思わず中に何かを入れたくなるような、しっかり好感の持てる容器に」
村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』文藝春秋、2013、323頁.

自分のことはわからない。私は空っぽでいいと思って生きてきた。だが、「美しいかたちの入れ物」「誰かが思わず中に何かを入れたくなるような、しっかり好感の持てる容器」にはなれていない。むしろ人から忌避、嫌悪されてばかりだ。


memorandum 324 責務

2016-07-03 23:58:27 | ことば
「私たちはこうして生き残ったんだよ。私も君も。そして生き残った人間には、生き残った人間が果たさなくちゃならない責務がある。それはね、できるだけこのまましっかりここに生き残り続けることだよ。たとえいろんなことが不完全にしかできないとしても」
村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』文藝春秋、2013、321頁.

私も幸か不幸か生き残っている。何ごとも不完全だらけで、ここにいることを望まれていない気もするが、このまま生き残るべきだろうか。

未読日記1196 『39/40 築山有城』

2016-07-02 23:29:03 | 書物
タイトル:39/40 築山有城
別タイトル:39/40: Yuuki Tsukiyama
編集:藤田千彩
写真:守屋友樹
ブックデザイン:塩谷啓悟
発行:[大阪] : Tezukayama Gallery
発行日:2016.6
形態:20p ; 21×21cm
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 2016年7月1日-7月30日: Tezukayama Gallery
内容:
Introduction 伊藤まゆみ
図版
作家略歴

頂いた日:2016年7月2日
 ホテルグランヴィア大阪にて開催されたアートフェア「ART OSAKA 2016」のTezukayama Galleryのブースにていただきました。どうもありがとうございます。
こうして冊子を見ると、伊藤まゆみ氏がテキストで指摘したように「遊び」の要素があることがよく分かるが、少々「遊び」すぎではある。素材を絞って遊べばいいのにと思うが、まずは展覧会に足を運んでみよう。