廻れば大門の見返り柳いと長けれど、
お歯ぐろ溝に燈火(ともしび)うつる三階の騒ぎも手に取る如く、
…「たけくらべ」樋口一葉

一葉が、兄、父を相次いで失い、一家を背負わなければ
ならなくなって、18歳の時に移り住んだ本郷菊坂の家。
細く急な石段は今も変わっていない。
石段の向かって右の家に一葉が暮らしていた。

共同の井戸も当時のままに、今も使われている。

赤貧の一葉がたびたび通った伊勢屋質店。
商売はしていないが、建物は昔のままの姿。
一葉終焉の地は菊坂に近い円山福山町の鰻屋の離れ。
ここで「大つごもり」「たけくらべ」などを次々に発表、奇跡の2年と
言われている。明治29年11月23日、母と妹に看取られながら、
24歳の生涯を閉じた。
「たけくらべ」に登場する吉原大門あたりの背景には、一葉が菊坂に
移る前に暮らしていた竜泉での経験がちりばめられている。
樋口一葉の跡を辿ってみると、勁(つよ)く、聡明な一葉を感じて、
その夭折がしみじみ惜しまれる。

下町に老いて雛師や一葉忌 中村金鈴
……龍華寺の真如が我が宗の修行の庭に立出づる風説(うわさ)
をも美登利は絶えて聞かざりき、……或る霜の朝水仙の作り花
を格子門の外より差入れ置きし者のありけり、……真如が何が
しの学林に袖の色かへぬべき當日なりしとぞ。
高校生の時に買った文庫本、¥50となっています。
真如さんをえらくいい男と思い描いていた幼い日でした。
お歯ぐろ溝に燈火(ともしび)うつる三階の騒ぎも手に取る如く、
…「たけくらべ」樋口一葉

一葉が、兄、父を相次いで失い、一家を背負わなければ
ならなくなって、18歳の時に移り住んだ本郷菊坂の家。
細く急な石段は今も変わっていない。
石段の向かって右の家に一葉が暮らしていた。

共同の井戸も当時のままに、今も使われている。

赤貧の一葉がたびたび通った伊勢屋質店。
商売はしていないが、建物は昔のままの姿。

ここで「大つごもり」「たけくらべ」などを次々に発表、奇跡の2年と
言われている。明治29年11月23日、母と妹に看取られながら、
24歳の生涯を閉じた。
「たけくらべ」に登場する吉原大門あたりの背景には、一葉が菊坂に
移る前に暮らしていた竜泉での経験がちりばめられている。
樋口一葉の跡を辿ってみると、勁(つよ)く、聡明な一葉を感じて、
その夭折がしみじみ惜しまれる。

下町に老いて雛師や一葉忌 中村金鈴
……龍華寺の真如が我が宗の修行の庭に立出づる風説(うわさ)
をも美登利は絶えて聞かざりき、……或る霜の朝水仙の作り花
を格子門の外より差入れ置きし者のありけり、……真如が何が
しの学林に袖の色かへぬべき當日なりしとぞ。
高校生の時に買った文庫本、¥50となっています。
真如さんをえらくいい男と思い描いていた幼い日でした。