大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

RE・かの世界この世界:202『鬼ノ城・4』

2023-08-28 05:48:51 | 時かける少女

RE・

202『鬼ノ城・4』テル 

 


「与一殿、父上はご存命なのか?」

「いえ、父はわたしが生まれる前に他界いたしました」

「そうだろうなあ……」

 瞬間、イザナギさんと目を合わせて話を続けるヒルデ。

「実は、我々はイザナギ殿に付き従って黄泉の国に行くところなのだ」

「よ、黄泉の国!?」

「いやいや、死んで黄泉の国に行くわけではない。イザナギ殿の奥方が亡くなってなぁ」

「はい、まだまだ国造りの途中なので、迎えに行くところなんです」

「亡くなった奥方様を……?」

「我がままと思われるかもしれませんが、国生みや国造りを蔑ろにしては、この先、どんな災いが起こるかしれません。それで、ヒルデさんをはじめ、皆さん方にご一緒頂いて、黄泉の国に妻のイザナミを迎えに行くところなのです」

「そうだったんですか……いやはや、この世界そのものを背負っておられたんですねえ……那須の家ひとつに汲々しているのが申し訳ないようです」

「それでな、実は、岡山に着いた時に因幡の白ウサギに出会ってな。手紙を託されたんだ」

「白ウサギの手紙ですか?」

「いや、現世から黄泉の国に旅立った者に向けた手紙だ。妻や子や、血の繋がりは無くとも大切な者たちに。黄泉比良坂の前で手紙を焼くと、そういう大切な者たちに届くと言うんだ」

「そんなことができるんですか?」

「ああ、無き父君に、今の想いを届けてみてはどうか? たとえ答えが返ってこなくても、伝えさえすれば、少しは気も晴れるだろう」

「……そうですね」

「紙と筆を出してあげましょう、国生みの仕上げもできない神で、これくらいの手伝いしかできませんが……」

「拝借します。では、あちらで書いてまいります」

「ああ、ゆっくり書くがいい」

「ええと……車の中にお茶の道具があります、ちょっと休憩にしませんか」

 雪舟ねずみが気の利いたことを言う。

「ああ、それはいい。お前たちも手伝ってやれ」

「合点だ」「ラジャー('◇')ゞ」


 ポクポクとお茶の道具をとりに行く三人を見送ると、タングリスはベテランの下士官らしく枯れ枝などを集めて焚火の用意を始める。


 見上げた空は、楼門の向こうに日が傾き始めていた。

 

 ☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎

 


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