大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

REオフステージ(惣堀高校演劇部)032・ミリー 啓介に抗議する!

2024-05-16 06:55:26 | 小説7
REオフステージ (惣堀高校演劇部)
032・ミリー 啓介に抗議する!                      
※ 本作は旧作『オフステージ・空堀高校演劇部』を改題改稿したものです




 ネットの時代、情報が拡散する早さは劇的だ。


――マシュー・オーエンの初期作品が日本にあった!―― 

 キャプションの下にミリーを真ん中に伯父さんと伯母さん、その後ろに空堀高校の部室棟。

 その写真とコメントがSNSを通じて世界中に拡散。今朝は新聞やテレビまでが取り上げて、評判が確定してしまった。


「なんでうちが演劇部やのん( `°罒°) !?」


 ミリーに詰め寄られ、のけ反りながらも――こんなに可愛らしかったか?――と思ってしまう啓介だ。

「ちょっと、なんとか言いなさいよ!」

「いや、そんなこと知らんがなー!」

「そやかて、新聞もSNSでも、うちが演劇部員で『部室棟の復活を熱望してます!』になってんのんよさヽ(`Д´#)ノ !」

 ミリーは新聞やらSNSやらからコピーしてきたのを啓介の机に叩きつけ、勢い余ったコピーの半分が宙を舞った。

「あー、そやけど、この写真さまになってるやんけ!」

「いやあ、ほんまや、ミリー、メッチャいけてるやないの!」

「ハリウッド映画のチラシみたいやんか!」

「あたしにも見せて!」

「俺にも!」「あたしにも!」「こっちにも!」

 始業前のクラスは、ミリーがまき散らしたチラシで、いや、コピーで持ちきりになってしまった。


 な、なんでやのん……(;'∀')。


 今やプロモーション用チラシになってしまったコピーにサインをするハメになってしまったミリー。

「ちょっと多すぎひん、うち、こんなぎょうさん持ってきてへんよ!」

 サイン会の列は教室を出て廊下にまで続いている。

「自分でダウンロードしてプリントアウトしてるのよ」

「職員室でやってくれないから、向かいのコンビニ!」

「俺も、行って来よう!」

「ちょ、ちょっと!」

「もう時間ないからあ!」

「じゃ、写真だ!」

「写真いっしょに撮ってえ!」

 サイン会は撮影会になってしまった。


 あら、ずいぶんご盛況(≖ᴗ≖ ) ……


 廊下でほくそ笑む女生徒が居た。

「あ、松井先輩!?」

「がんばってね、ぶ・ちょ・う・さん」

 ニヤリと笑って須磨は行ってしまった。


 この騒動の原因は松井先輩だろうと疑い始める啓介だった。



☆彡 主な登場人物とあれこれ
  • 小山内啓介       演劇部部長
  • 沢村千歳        車いすの一年生  留美という姉がいる
  • ミリー         交換留学生
  • 松井須磨        停学6年目の留年生
  • 瀬戸内美春       生徒会副会長
  • 生徒たち        セーヤン(情報部) トラヤン 生徒会長
  • 先生たち        姫ちゃん 八重桜 松平(生徒会顧問)
  • 惣堀商店街       ハイス薬局     

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