マラソン讃歌

ランニング日記を中心に様々な趣味活動を紹介します。

今夜の一冊

2018年06月07日 | トーストマスターズ
(今夜の一冊)

「不登校・ひきこもりを生きる」(高岡健著、青灯社刊)

世の中には学びたくても学校へ行けない人、働きたくても社会へ出れない人がたくさんいます。
先週土曜日に放送されたNHKスペシャルでも日本には現在110万人のmissing workerがいるとしてその原因を探る番組をやっていました。
実は私が今一番困っていることが自分の娘もそんなひきこもりのグループに入ってしまったということです。これは何とかしなければならないと思い、色々試みましたが未だに変化が見られません。
そんな中、ふとしたきっかけでひきこもり経験者から一冊の本を勧められました。それがこの「不登校・ひきこもりを生きる」という本です。著者は精神科の医者です。
その内容は大きく2つに別れていて、第1部に著者の講演録3編が収められ、その講演での話の中身を補完するような形で第2部に100の質問と回答が読者に話しかけるような文体でわかりやすく書かれています。
では、不登校もひきこもりも関係のない皆さんに、この本を勧める理由は何でしょうか。それは、この問題が当事者のみでなく皆さんにも深く関わっているからです。
例えば、著者は登校拒否とは子供が学校に適応していないのではなく学校が社会に適応していないことがその本質だと言っています。つまり、ベルトコンベアで大量生産する時代は終わり多様な製品を個別に生産する時代になったのに、学校は規律のとれた前へ習え式の一斉行動、集団行動を求める教育のままで、現実社会との矛盾が拡大しているということなのです。
そして、集団主義を拒否するのが不登校・ひきこもりなのです。だから、学校に行かないことは悪いこと、仕事をしないでひきこもっている人は生きている意味がないと思うこと自体が間違っていると言い切っています。一人でいること、一人ぼっちでいることが人生においていかに大切かということがわかりやすく書いてあります。本の帯にも書いてありますように「ひきこもりは人生に不可欠だ」という内容なのです。
そして、少年犯罪、いじめ、幼児虐待、ネット自殺などの具体的に起こった事件を取り上げ説得力のある議論を展開して、個人よりも集団の方が偉いとする考え方に疑問を投げかけています。
親や周囲が引きこもり状態を否定的に捉えて非難したり、外に無理やり引き出そうとしたりすると、ひきこもりをいっそうこじらせたり、家庭内暴力を産むと警告しているのです。
この本を読めば今日本が抱えている一番大切な問題が見えてきます。皆さんもぜひ手にとって著者と一緒にこの問題を考えてみましょう。

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