コロナ後遺症? 2001年11月21日 東京論評TMC
1年以上続いた世界的なコロナ騒動も我が国では先月やっと収まりました。徐々に元の生活に戻っていくでしょう。トーストマスターズの世界では、オンラインから対面へと例会を以前のスタイルに戻すクラブが増えています。とはいってもMSKは、今でも続いています。つまり、マスクの着用、手指の消毒そして検温。この3つのことばは今でも耳にタコができるほど繰り返されています。これからはこの「タコ」を「タコ焼き」にして「わる海苔<悪乗り>」をふりかけて少しずつ食べ尽くしていきたい気分です。ただ、一概に喜んでばかりもいられません。どうやらコロナの後遺症ではないかという症状が私に現れたからです。ちょっと心配になったのでかかりつけのクリニックに相談に行きました。
「どうされましたか、杉山さん」
「先生、どうも最近耳と膝の調子がよくないんです。コロナ後遺症ですかね?」
「いつごろからですか?」
「ちょうど緊急事態宣言が明けたころからです。」
「では、耳はどんな症状ですか。」
「はい、例えば玄関チャイムの『ピンポーン』という音が『ヒンコ~ン(貧困)』と聞こえたり、駅前の焼鳥屋の呼び込みで『さあ焼き鳥いかがでしょうか』と言っているのが『シャーキントリいかがでしょうか』に聞こえてしまうんです。」
「うむ、お年のせいで耳の機能がかなりおとろえていますね。膝の方は?」
「時々膝がガクガクして震えが止まらなくなることがあるんです。」
「ああ、それは医学用語で『貧乏ゆすり』というやつですね。これはビタミンGとビタミンKが不足するとそんな症状がでます。膝の震えだけならトーストマスターズでたくさんスピーチをこなせば治るのですが…。まあ、いずれにしても、あなたの病気はコロナの後遺症なんかではありません。明らかに「金欠貧乏症候群」です。当クリニックでは治せません。でも、心配ご無用。私が特効薬をお教えします。それは薬局では売っていませんが、処方箋なしで街角やネットで簡単に買うことができます。これです、「宝くじ」。当たれば瞬時に今の病状が改善しあっという間に完治します。効果は抜群なんですが、問題が二つあります。一つ、これにあたる確率がコロナに感染する確率よりもはるかに低いということ、二つ、一枚わずか300円と安いのでついつい買いすぎて病状を悪化させることがあります。気をつけてくださいね。」
「ありがとうございます。早速特効薬を服用したいと思います。」
とはいったものの、彼は町内きっての藪医者なのでこれをそのまま信じていいかどうかわかりません。一説によると、この後遺症かどうかを見分けるには「PURSE検査」というのがあるそうです。その検査方法は、懐に手を入れて財布の厚みが1センチ以下なら陽性の可能性が高いというものです。また、予防のためにアメリカの「モテルナー」社と日本の「一時シノギ製薬」からワクチンも開発されているそうです。
以上、コロナ騒動のあとに起こりえる「なんちゃって 医療情報」でした。役に立ったら審査員にみえるよう、「いいね」をしてください。
そうでもない場合には審査員にわかるよう大きく笑って、無視してください。コンテストマスター! (改訂15版 1338文字)
1年以上続いた世界的なコロナ騒動も我が国では先月やっと収まりました。徐々に元の生活に戻っていくでしょう。トーストマスターズの世界では、オンラインから対面へと例会を以前のスタイルに戻すクラブが増えています。とはいってもMSKは、今でも続いています。つまり、マスクの着用、手指の消毒そして検温。この3つのことばは今でも耳にタコができるほど繰り返されています。これからはこの「タコ」を「タコ焼き」にして「わる海苔<悪乗り>」をふりかけて少しずつ食べ尽くしていきたい気分です。ただ、一概に喜んでばかりもいられません。どうやらコロナの後遺症ではないかという症状が私に現れたからです。ちょっと心配になったのでかかりつけのクリニックに相談に行きました。
「どうされましたか、杉山さん」
「先生、どうも最近耳と膝の調子がよくないんです。コロナ後遺症ですかね?」
「いつごろからですか?」
「ちょうど緊急事態宣言が明けたころからです。」
「では、耳はどんな症状ですか。」
「はい、例えば玄関チャイムの『ピンポーン』という音が『ヒンコ~ン(貧困)』と聞こえたり、駅前の焼鳥屋の呼び込みで『さあ焼き鳥いかがでしょうか』と言っているのが『シャーキントリいかがでしょうか』に聞こえてしまうんです。」
「うむ、お年のせいで耳の機能がかなりおとろえていますね。膝の方は?」
「時々膝がガクガクして震えが止まらなくなることがあるんです。」
「ああ、それは医学用語で『貧乏ゆすり』というやつですね。これはビタミンGとビタミンKが不足するとそんな症状がでます。膝の震えだけならトーストマスターズでたくさんスピーチをこなせば治るのですが…。まあ、いずれにしても、あなたの病気はコロナの後遺症なんかではありません。明らかに「金欠貧乏症候群」です。当クリニックでは治せません。でも、心配ご無用。私が特効薬をお教えします。それは薬局では売っていませんが、処方箋なしで街角やネットで簡単に買うことができます。これです、「宝くじ」。当たれば瞬時に今の病状が改善しあっという間に完治します。効果は抜群なんですが、問題が二つあります。一つ、これにあたる確率がコロナに感染する確率よりもはるかに低いということ、二つ、一枚わずか300円と安いのでついつい買いすぎて病状を悪化させることがあります。気をつけてくださいね。」
「ありがとうございます。早速特効薬を服用したいと思います。」
とはいったものの、彼は町内きっての藪医者なのでこれをそのまま信じていいかどうかわかりません。一説によると、この後遺症かどうかを見分けるには「PURSE検査」というのがあるそうです。その検査方法は、懐に手を入れて財布の厚みが1センチ以下なら陽性の可能性が高いというものです。また、予防のためにアメリカの「モテルナー」社と日本の「一時シノギ製薬」からワクチンも開発されているそうです。
以上、コロナ騒動のあとに起こりえる「なんちゃって 医療情報」でした。役に立ったら審査員にみえるよう、「いいね」をしてください。
そうでもない場合には審査員にわかるよう大きく笑って、無視してください。コンテストマスター! (改訂15版 1338文字)
論評者B:ギャグが満載のクスっと笑える楽しいスピーチでした。本当か嘘か分からないような微妙な感じも良かったです(すべで嘘だとは思いますが)。強いて言えば、紙をもう少し(1秒~2秒程度)画面に見せると、聴衆は書いてあることを理解しやすいと感じました。
論評者C:ビタミン、一時シノギ製薬、金欠貧乏症候群パース検査などなど、工夫の数々に脱帽しました。すっかり楽しませてもらいました。