マラソン讃歌

ランニング日記を中心に様々な趣味活動を紹介します。

暗殺

2016年10月03日 | トーストマスターズ
第10回日韓・韓日トーストマスターズ合同例会の開催おめでとうございます。先ほどのすばらしい(日韓文化比較の)テーブルトピックに続いて、日本からの参加者のみなさんに韓国の歴史についてのクイズ出したいと思います。

この数字(516)から思い浮かぶ韓国の歴史的な事件は何でしょうか。正解は、1961年5月16日に当時の政権に不満を抱く韓国軍人が起こしたクーデターです。「516軍事革命」とも呼ばれています。韓国の皆さんには常識でしたね。

さて、このクーデターにより3人目の韓国大統領になったのが朴正煕将軍です。

彼には軍事独裁とか人権弾圧というような否定的なイメージもつきまといますが、一方で日本との国交を正常化し「漢江の奇跡」と呼ばれる経済発展を成し遂げた偉大な指導者という肯定的な評価もあります。
私はその朴政権下の1975年から4年間ソウルで暮らしていました。しかし、あの衝撃的なニュースに接したのは私が日本に帰国してからのことでした。

これがその時の新聞です。「朴大統領射殺される」との大きな見出しでこの暗殺事件の詳細が多くの紙面を割いて報道されました。

今日は皆さんを37年前の10月26日に起こったこの事件の現場にご案内したいと思います。
その日朴大統領は3人の親しい側近を夕食に招待しました。

その人たちは、都承旨大統領秘書長、金載圭中央情報部長、車智澈大統領警護室長の3人です。
夕食会は午後6時から厳重な警備が敷かれた特別の場所で始まりました。

食事をしながら朴大統領が国内治安情勢について尋ねます。
「金部長、最近南部の地方都市で反政府デモが活発化しているようだが見通しはどうだね。」
「はい、閣下。いささか危険な状況になりつつあります。」
ここで、車室長が口を挟みます。
「閣下、デモをしている奴らは私がブルドーザーで一気に押しつぶしてやりますからご心配は無用です。」
「よけいな口出しをするな」と金部長は心の中でつぶやきます。
「そうか、わかった。さあ、固い話はこれくらいにして歌を聞でも聞きながら楽しくやろう。」

ウイスキーで杯が交わされ宴たけなわとなったころ、1本の電話が金部長に入ります。
「閣下、緊急の電話が入ったそうなのでしばし失礼いたします」と言って金部長は別の部屋に移動し、そこで前もって隠しておいたドイツ製のピストルを懐に忍ばせ、宴会場に戻ります。
そこでは女性歌手が流行歌を歌っています。

“사랑해 당신을 정말로 사랑해 당신이 내곁을 떠나간뒤에…♪”

「閣下、こんな虫けら同然の奴と一緒にまともな政治ができますか…」―バン!
第一弾は車室長に向けて発射されます。
「なにをしておる!」歌を口ずさんでいた大統領が怒鳴ります。
今度は大統領の胸元に向けて第2弾が撃ち込まれます。―バン!
大統領はその場に倒れ、女性が驚いて寄り添います。
「閣下、大丈夫ですか」
「私は大丈夫、大丈夫だ」と言うや、とどめの第3弾が頭部に命中します。―バン!

こうして18年間にわたった朴大統領の独裁政治は終わりを告げました。
その後、暗殺犯金載圭は死刑となり、彼が望んでいた韓国の民主化は実現するどころか、それからさらに13年間の軍事業独裁政権が続くことになります。暴力で政治は変えられませんでした。
歴史はめぐり、今、凶弾に倒れた父の遺志を継ぎ次女の朴謹恵さんが韓国で初の女性大統領として国民に愛されています。トーストマスター。
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