ロイス ジャズ タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

東北ニュージーランド村

2008年06月06日 | 歴史の革袋
前沢町を名乗った人々がいる。
黄色いキャブリオレで夕刻現れた、ご夫妻。
北欧からリュックでレコードを買ってこられた多才な御仁。
アルテックを鳴らし、管球アンプを組み立てる沈黙の研究者。
「ここにタンノイがあると気仙沼できいて」と登場された円満な御仁。奥方は、やや迷惑であらせられたような気がしないでもないが。
その人から伝え聞いて登場された、〃わたしはまだ忙しい身であるが、もちろんオーディオを楽しむことにやぶさかではありません〃という感じの、やるときはやる、ハートがバランス配線の長身の御仁。
このような人々の住んでいる、平泉と水沢のあいだにさりげなく在る町で、隣接地が世界遺産になろうというこのごろ『ステーキ肉の超絶、前沢牛』に露払いをさせている賢人の町なのかもしれない。
或る時、前沢の手前を左に折れて、山を分け入り丘を越え舗装された道をどこまでも分け入ってちょっと不安になった頃、ついにあらわれたのが、連休日に異常な混雑を見せる『東北ニュージーランド村』である。
空と稜線が360度連なって見渡せる広大な自然公園のここかしこに、日本庭園や遊戯施設の在るのんびりした景色が気に入って、ボートや洋弓を楽しみ、へっぽこゴルフを馬や羊に笑われていたような気がする。
ところが、広い空間のどこに移動しても、空中の柱のスピーカーからあのジャズが降って来たのが奇妙だ。
ディキシーランド・ジャズが、四六時中聞こえている。
タンノイで聴いたノーマン・グランツの『Jazz at the Phiharmonic』が思い出され、これはいったいどういう人物の趣味なのか、帰りぎは管理事務所を訪れてみた。
事務員は部屋の一角のアンプをゆっくり指さした。
「有線放送」であった。








コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« パラゴンの客 | トップ | 豊川稲荷の客 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

歴史の革袋」カテゴリの最新記事