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ロイス ジャズ タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

謎の古代獣

2012年11月04日 | 歴史の革袋
一関大橋から10キロの南に来て、ゾーリンゲンでサクッとリンゴを剝きながら、金流川の河川敷を眺めて風の音を聴く。
東北山脈の麓から湧いた水は有馬川と金流川に二筋、一関の南『花泉』を流れて北上川に注いでいる。
昭和のはじめ、川岸で古代獣の骨化石が大量に発見されたという花泉の金森遺跡がここにある。
金流川とは、文字どうり砂金が流れていた川で黄金の川エルドラドであったが、いまは枯渇したらしく、誰も採取している姿はない。
有壁本陣の傍を流れ下る有馬川と、さらに南を流れる開けた田畑の丘陵なだらかなところに、大きな標識と案内板が立ち、目の前に広がる風景が、2万年前の旧石器時代もそのままそこにあった。
付近で稲作用水の溜池を掘っているとき、穴の中からぞくぞくと現れた古代獣骨は、バイソンのような現代の牛の2倍サイズの動物骨で、それまで発見種がなく『ハナイズミモリウシ』と名がついた。
この大量の骨を分類していると、なかから見つかった、よく切れるように研磨された骨スクレイパーをみて、世界の狩猟場に見られると同じ石器人の遺跡ではないかと推察されている。
年代測定による2万年前の氷河期は、ベーリング海を歩いて渡ってきた古代獣がここにも暮らしていた風景を、ぜひ兵馬俑坑のような穴を覗いては周囲を眺めながら、桜の下の茶店でのんびりしたいものである。
そのあと、同じ花泉にある『牡丹園』という花の公園に立ち寄ると、入り口にさまざまの盆栽が売られて、色調の可憐なバラの鉢木が一個あったのが忘れられない。
それを聞いた花泉の人が、業務の帰りにトラックを店の前に停めて言った。
「庭園造作中の人が、これは要らないというので、バラではありませんが、よかったらどうぞ」
小ぶりな皐月や躑躅の株を、さっそくいくつか荷台から降ろし、庭のあちこち植えて楽しんだ。
古代人も狩の肉を、このように振舞っていたのだろうか。
先日、仏像の金箔修繕を職業にする客人が婦人と登場されて、タンノイを聴きながら、「むかしは、2トラックのデッキを担いで仙台までライブ録音に行ったものです」
というお話を聞いた。
この御仁は、マイクロ精機の糸ドライブにJBLでコレクションしたレコードを、いまではほとんど処分してしまったという。もったいない。
――何枚かレコードを残しましたか?
「ええ、100枚ほど、残してあるとおもいます」
ケニー・バレルを伴奏に、傍でご婦人が過ぎた日を思い出し、おだやかにほほえんでいる。





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