ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ショパン:マズルカ第13番イ短調 Op.17-4 by キーシン(P)

2010-08-07 | CDの試聴記
帰省ラッシュが始まった。
そういえば、甲子園では高校球児たちの真夏の祭典も始まった。
暑い暑いというばかりでは能がない。
高校球児たちを見習って、自分自身を熱くするような時間の使い方をしたいものだ。
でも、これが実に難しいのですね(汗)。

今日は、トリノ歌劇場のオリジナルTシャツを着て、自宅で年金の問題集の改訂作業をやっている。
まだ締め切りまで2週間くらいあると思うと、あまりピッチがあがらない。
おまけに、好きな音楽をあれやこれやと聴きながらやっているので、はかどるはずがないか。
でも、この問題集を使って多くの受験生が勉強するのだと思うと、気合いを入れなきゃ。
さあ、明日は頑張るぞ。
えっ?「明日といわず、今日やらんかい」とおっしゃいましたか?
ハイ。まさに御意にございます。

さて問題集の改訂のことはいったん横に置いて、最近私がハマっている音楽といえば、ショパンのマズルカです。
中でも私が気に入っているのが、このイ短調で書かれたマズルカ13番。
本当に不思議な音楽だと思う。
決してひとつの場所に留まることなく、刻々と微妙に色あいを変えながら進んでいくメランコリックな響き。
ようやく安心感を感じたと思った瞬間、もう憂いを帯びた次の表情が忍び寄ってくる。
聴きながら、どんどん深みに引き込まれていきそうだ。
中間部は長調に転じるが、その明るさも全体からみれば蜃気楼のような儚さを感じる。
こんな音楽、ショパンが書いた作品の中でも異色のものではないだろうか。
あえて言えば、サティの音楽と共通の匂いがする。

私のお気に入りの演奏は、キーシンのカーネギホールのライブ録音。
メランコリックでありながら、常に瑞々しい感性を失わないところがいい。
他では、ルービンシュタイン盤が中間部が神業としかいいようのない素晴らしさだし、アシュケナージ盤は知情意のバランスのとれた完成度という点では一番かも知れない。
ホロヴィッツも名演だと思うけど、私には前奏部分がいささかそっけなさすぎる。
大好きなサンソン・フランソワも、このマズルカは私の感性に合わない。(他のマズルカがあれほど素晴らしいのに・・・)

ところで、いま、宮本輝さんの「月光の東」という小説を読んでいるが、この作品に登場する魔性のヒロイン塔屋米花のイメージが、このイ短調マズルカの雰囲気にぴったりなような気がしてきた。
今日は妻も娘も家にいないので、問題集の改訂作業が一区切り付いたら、お気に入りの珈琲を淹れて、この曲をエンドレスで流しながら、「月光の東」を最後まで読み切ってしまおう。
コメント (2)
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