ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

河村尚子&ルイージ/ウィーン響 ベートーヴェン:「皇帝」ほか(6/1)@サントリーホール

2010-06-06 | コンサートの感想
総理大臣が変わるという激動の一週間だったが、私が望むのは、管さんが民主党のトップとしてではなく、どんな場合でも日本のリーダーとして志を高く持ってくれることだけだ。
まずはイニング限定の登板。
クローザーの役割は期待しないが、少なくともセットアッパーとしてゲームを立て直してほしい。
この半年間、あまりに大局感のない政策・対応が多すぎた。
アンチ民主党の私だが、日本が沈没しないように、ここは新首相に期待したいと思う。
大変だと思うけど、頑張ってください。

さて、そんな中、6月1日にウィーン交響楽団の来日公演を聴いたので、その感想を。
追加公演と銘打たれたこのコンサート、当初行く予定ではなかった。
しかし、ソリストが河村尚子さんと知って、あわててチケットを購入した次第。
クラシカジャパンの紹介番組やBSで見た河村さんのシューマンの演奏がとても素晴らしかったので、是非一度生で聴いてみたいと思っていた。

この日の「皇帝」を聴いて、まず感じたのは音色の美しさ。
単音でもアルペッジョでも、とにかく音の粒が揃っていて、聴いていて心地よい。
その音色の美しさが、彼女の瑞々しい感性と相まって鮮烈な印象を与えてくれる。
その意味でも、第2楽章がとくに素晴らしかった。
それから、河村さんのもうひとつの大きな特徴は、知的なコントロール能力。
感情の趣くままに弾いて、音楽のバランスが崩れたりするようなことは皆無だ。
また、オケのアンサンブルが乱れたり表情が少しでも変化すると、瞬時にそれを感じ取ってピタリと合わせてくる。
思わず「お見事!」と言いたくなる場面が何度もあった。
昨年共演したフェドセーエフが激賞していただけのことはある。
終演後、購入したCDにサインをしてもらったが、素顔の彼女もこれまたチャーミングだった。
また、追っかけてみたいピアニストである。
それにしても贔屓のアーティストがどんどん増えてきた・・・。あ~どうしよう(泣)

というわけで、河村さんのピアノには大きな感銘を受けたのだけど、「皇帝」のバックをつとめたウィーン響には少なからず不満が残っていた。
今回の来日公演の中で「皇帝」が唯一のプログラムであったことも原因かもしれないが、とにかく粗い。
とくに第1楽章にそれが顕著で、どこか気乗りがしないような印象すら感じられた。
第2楽章以降は、それでもかなり良くなってきたが・・・。
もしこれでコンサートが終わっていたら、きっと「ルイージもウィーン響も、大したことかった」という結論だっただろう。
しかし、後半の「運命」で、このオケは一変する。
素晴らしいテンポで第一楽章が始まった。
そこには、何の気負いも強引さもない。
にもかかわらず、緊張感や力強さが自然に音となって滲み出てくる。
響きも、前半の「皇帝」の時とはまるで違う。
ウィーンのオケらしく、豊かで弾力性を持ったサウンドになっていたのである。
気がつくと、圧倒的な高揚感の中でフィナーレを迎えていた。
ブラーヴォ!ブラーヴォ!

これだけ格調高い「運命」を生で聴いたのは、ジュリーニ&ロスフィルの来日公演以来かもしれない。
この日の名演は、もちろんオーケストラの美質あってのことだが、何よりもルイージの功績が大きい。
マエストロ、さすがです。脱帽でした。
アンコールの3曲も、ホール全体がノリノリになるような快演。
最後まで聴けて本当によかった。

<日時>2010年6月1日(火) 19時開演
<会場> サントリーホール
<曲目>
■ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 「皇帝」
■ベートーヴェン:交響曲第5番 「運命」
(アンコール)
■R・シュトラウス:孤独な泉のそばで(河村尚子)
■J.シュトラウス:ウィーン気質
■J.シュトラウス:雷鳴と稲妻
■J.シュトラウス:ピッツィカート・ポルカ
(演奏)
■河村尚子(ピアノ)
■ファビオ・ルイジ(指揮)
■ウィーン交響楽団
コメント (1)
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