ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

コブクロ:STAY (=ドラマ「官僚たちの夏」主題歌)

2009-10-11 | CDの試聴記
『愛すべき人と出会い、全てを失って、砂漠のような心に咲く花を愛と呼ぶ。
信じあう、それだけで道が生まれてゆく。寄り添い合い、傷つけ合い、そんな日々ほど愛しい・・・』
コブクロの「STAY」は、こんな歌詞で始まる。
いつ聴いても、ほんとに素敵な曲だ。
私がblogを始めてからまる4年になるが、ポップスをとりあげたのは多分初めてだと思う。

このSTAYという曲を、私はテレビドラマ「官僚たちの夏」の主題歌として初めて知った。
このドラマの原作は、城山三郎の同名の傑作小説「官僚たちの夏」。
「ミスター通産省」と呼ばれた男・風越信吾を中心とした物語で、私は毎週心待ちにして観ていた。
風越は規格外のスケールの大きさをもった男だが、そんなタイプにありがちな話として、「尊大だ」「傲慢だ」というレッテルを貼られ、敵も多い。
しかし彼にとって、自らの保身や目先のことなどはなから眼中になかった。
「日本を産業の面において世界一流の国にする」ことしか彼の頭にはないのだ。
産業を育てるためには、技術開発に力を入れ、人を育て、価格競争力をつけなければいけない。
最初から自由競争という名のもとに外圧に蹂躙されてしまっては、育つものも育たなくなってしまう。
だから国内産業を育成するための時間を何としても稼ごうとした。
これが、自由貿易推進派のライバル玉木や池内首相(故池田勇人首相?)と、ときに激しく対立することになる。
小説でもそうだったが、このドラマでも上司・部下・ライバル・家族といったそれぞれの人間の生きざまが、ときの社会情勢・政治・外交という大きな流れの中で、きわめて生き生きと描かれていた。

私が印象深かったのは、必死で考えに考え抜いて最善と信じた道を、政治的解決の道具にされたり自己保身的な有象無象の輩の陥穽によって葬り去られそうになったときに、風越が自室に戻ってから、「どいつもこいつも、くだらねぇ!」と思い切り椅子を蹴飛ばすシーン。
決して、この蹴飛ばすしぐさを褒めるつもりはない。
しかし、「国民のため」という大義に基づいて、本気で血の滲むような努力を続けた結果の「どいつもこいつも、くだらねぇ」なら、私はこの風越の行動が理解できる。いや喝采すら贈りたくなる。
風越は、まず日本という国を、そして日本人のことを考えた。
そして大義の実現のためには、産業界の重鎮を始め政治家や外国人に対しても、まったく屈することはなかった。

いま民主党の提唱する「政治家主導」という考え方と一見正反対のようにみえるが、私に言わせれば、政治家主導であろうと官僚主導であろうとまったくかまわない。
どれだけ視野を広く持って、志高く行動できるか、これがすべてだ。
「どいつもこいつも、ほんとくだらねぇ!」と、心の底から言える政治家、官僚が一人でも多く登場してほしい。

コメント (2)
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