ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

モーツァルト 歌劇「にせの花作り女」K196

2006-08-27 | BS、CS、DVDの視聴記
昨夜、NHKハイビジョンで「にせの花作り女」を観ました。
私が初めてこのオペラを知ったのは、LP時代に聴いたイッセルシュテットのドイツ語版。
たしかそのLPでは、「恋の花作り」というタイトルだったと思います。
なかなか魅力的な曲だとは思ったのですが、その後ほとんど聴く機会がありませんでした。

このオペラは、やはり音だけではなく映像付がいいですね。
非常に楽しめました。
アーノンクールを迎えたときのチューリヒオペラは、本当に水準が高いです。
実力をもつ歌手がそれぞれのアリアを素晴らしく歌うだけではなく、常に理想的なアンサンブルを披露してくれることが、何より素晴らしい。
そして、オケの響きも古楽器風の響きを感じさせつつ、決して「颯爽と速いテンポで・・・」という印象に終わらないところが、さすがにアーノンクール。
音楽が強く訴えかける箇所は、ことごとく見事にえぐってみせてくれます。
絶対単調な表現にはなりません。
一見シンプルにみえる箇所でも、「あー、こんな表現があったんだ」と感じさせてくれるのは、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートでもお馴染みですよね。

今回の「にせの花作り女」は、私があまり好まない所謂現代的な演出でしたが、あまり違和感はありませんでした。
歌手たちがみんな自分の役柄を活き活きと演じていたことが最も大きいとは思いますが、このオペラは、比較的そういったタイプの演出も受け入れてくれる作品なのかもしれません。
また第2幕で、セルペッタが歌っている最中、サンドリーナが誘拐されるシーンを映像を使って見せるあたりは、非常に効果的な演出だと思いました。

歌手で目立っていたのは、エヴァ・メイとイザベル・レイ。
ともに美人で舞台栄えすることに加え歌唱が立派で、演技もとても上手です。
ほとんど同じメンバーで演奏した「フィガロの結婚」の躍動感に溢れた名演を彷彿させます。
とくにエヴァ・メイは、私のお気に入りのソプラノのひとりなんですが、ヴィブラートの少ない美しくコントロールされた声は、いつ聴いても魅力的です。
彼女の歌を聴いていると、どこか器楽を聴いているような気持ちになります。
それも弦楽器ではなく管楽器のイメージ。
そういえば、エヴァ・メイは来月ローマ歌劇場の来日公演でジルダを歌うんですよね。
きっと繊細で心やさしい素敵なジルダなんだろうな・・・。


<配役>
■市長 ドン・アンキーゼ   : ルドルフ・シャシング
■サンドリーナ (花作り女) : エヴァ・メイ
■ベルフィオーレ伯爵 : クリストフ・シュトレール
■アルミンダ (市長のめい) : イザベル・レイ
■騎士ラミーロ : リリアーナ・ニキテアヌ
■セルペッタ : ユリア・クライター
■ナルド : ガブリエル・ベルムデス
<演奏>
■管弦楽 : チューリヒ歌劇場・シンティルラ管弦楽団
■指 揮 : ニコラウス・アーノンクール
■美 術 : ロルフ・グリッテンベルク
■演 出 : トビアス・モレッティ
<録音>
■ 2006年2月23/25日, チューリヒ歌劇場 (スイス)

《あらすじ》
伯爵令嬢ヴィオランテは、かつて恋人だったベルフィオーレ伯爵と仲違いし、彼に刺されてしまった。
伯爵からは死んだものと思われているが、実は生きていて、今はラゴネーロの市長の家に雇われ、 サンドリーナと名乗って女庭師の仕事をしている。
そこにベルフィオーレ伯爵が許婚者としてアルミンダを伴ってやってくる。 再会した二人はやがて再び愛し合うようになるが、サンドリーナを恋する市長や ベルフィオーレ伯爵をあきらめきれないアルミンダたちとの間で混乱と争いが起きる。
しかし最後には二人は結ばれ大団円を迎える。
(「NHKハイビジョン クラシック館」の解説記事より)

コメント (4)
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