ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ブラームス ピアノ協奏曲第2番

2005-09-21 | CDの試聴記
9月も残すところ9日。あっという間に期末です。
ほんと早いなあ。
そういえば、最近少し涼しくなってきたような気がします。
秋が近いということですね。
秋に最もふさわしい作曲家といえば、私の中ではなんと言ってもブラームスとシューマン。
ブラームスのヴァイオリンソナタやチェロソナタ、クラリネット五重奏曲なんかは、しみじみと聴く秋の名曲だと思います。
一方、同じブラームスでも交響曲第2番やピアノ協奏曲第2番あたりは、むしろ春から夏の名曲ではないでしょうか。

このピアノ協奏曲第2番は、ブラームスが憧れの地であるイタリアへ旅行したときの想い出をもとに作曲されました。
第1楽章や第3楽章の冒頭は、まさに太陽の国イタリアのもつ明るさを感じさせてくれます。大変シンフォニックで重量感たっぷりのピアノ協奏曲中の名品ですが、私はこの明るさにこだわりたい。
そう考えると、やっぱりこのポリーニ、アバド&ウィーンフィル盤です。

<曲目>
■ブラームス ピアノ協奏曲第2番
<演奏>
ポリーニ(ピアノ)
アバド指揮
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
(1976年録音)

ポリーニとアバドは、その後オケをベルリンフィルに替えて再録音しており、そちらも素晴らしい名演ですが、私はこのウィーンフィル盤により惹かれます。
冒頭のホルンを聴いてください。なんという伸びやかさ。澄み切ったイタリアの青空がかいま見えてくるようです。ピアノの合いの手も見事。その後テーマに向かっていくピアノの毅然とした美しさ。凄い気迫ですが決して構えたところはありません。さすがポリーニ。
ウィーンフィルの柔らかで官能的な音色と、少し硬質でクリスタルのようなポリーニの音色が、予想以上に上手く溶け合っています。
第2楽章もテンポが絶妙で、ポリーニの透明感の強い音が印象に残ります。ともすればごつごつしがちのこの楽章を、爽快に弾ききっています。
第3楽章は、うっとりするような素晴らしいソロ・チェロで始まります。バックハウス盤以来じゃないでしょうか。この楽章では、ウィーンフィルのすばらしさと、絶妙としかいいようのないアバドの天才的なカンタービレが満喫できます。
フィナーレでは、これまた素晴らしいテンポ。色彩豊かで理想的なロンドを聴かせてくれます。

全曲を通して感じられるのは、テンポの良さ、色彩感、絶妙のカンタービレ。
それが相乗効果として、イタリアの明るさを十全に描き出しているような気がします。
それにしても、ここで聴かせてくれるポリーニのピアノの凄さはなんと形容したらいいんだろう。好き嫌いを越えて次元が違う感じがします。
またポリーニとアバドの相性の良さも随処に感じることができました。
(このコンビの最高の名演はバルトークのピアノ協奏曲だと思います。この感想記はまた別の機会に・・・)
コメント (6)
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