ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ダンディ:「フランス山人の歌による交響曲」

2005-07-30 | CDの試聴記
今日は久々にゆったりした休日を過ごしています。
午前中テレビをつけたら世界水泳をやっていて、思わず最後まで観てしまいました。日本選手の皆さん、本当に頑張ってますねぇ。体格で劣る日本人選手が技術を磨き必死に泳いでいる姿、かつベストを尽くしてしっかり結果を出していることに大変感動しました。

その後は、年金関係の本(実はこれが私の本職なんです)を読みながら、久々にシゲティの無伴奏や大好きなシンディングのシンフォニーを聴きました。
そんな折、いつもお世話になっているmozart1889さんのブログで紹介されているダンディの記事を読んで、私も無性に聴きたくなりました。
そこで、私が今日聴いたのはミュンシュ盤です。

<曲目>
①フランク:交響曲ニ短調
②ダンディ:「フランス山人の歌による交響曲」
③ベルリオーズ:「ベアトリーチェとベネディクト」序曲

<演奏>
①モントゥー指揮 シカゴ交響楽団
②ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団、シュヴァイツァー(ピアノ)
③ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団

このCDのカップリングは、一体何なんだろう。
曲のことではなく、なんでフランクだけがモントゥーなんだ。
ミュンシュにも素晴らしい演奏があるのに・・・。
しかし、そんな些細なこととは関係なく、このモントゥーのフランクは圧倒的な名演です。
色彩感、充実した響き、構成の確かさ等見事としか言いようのない演奏で、聴いた後に深い感動を与えてくれます。きっとベストチョイスにあげる人も多いことでしょう。正直なところ、この曲に関しては、さすがにモントゥー盤のほうが一枚上手だと思います。

さて、聴きたかったお目当てのダンディ。
学生時代にこの曲のタイトルに惹かれて買ったLPが、このミュンシュ盤でした。
「フランス山人の歌による・・・」、何て素晴らしいネーミング。
もちろん、タイトルだけがいいのではなく、冒頭を聴いただけですっかりこの曲の魅力にはまってしまいます。
イングリッシュホルンで奏でられるメロディ(この部分がフランスのセヴェンヌの山に伝わる牧歌=山人の歌だそうです)の、なんと人なつっこくて美しいこと!また、その後ピアノを伴って湧き上がってくるような表情の素晴らしさ。しかも、フランクと同じように循環形式を採用していることから、素敵な「山人の歌」が何度も聴けます。また、第二楽章後半に登場するチェロの美しいメロディも泣かせてくれます。
こんなに瑞々しく、人を幸福にしてくれる曲も珍しいでしょう。
演奏しているミュンシュの豪快にして瑞々しい表現も、この素敵な曲にまさにぴったりです。
すっかり、この曲を初めて聴いた学生時代にタイムスリップした気持ちになりました。

yurikamomeさまも、mozart1889さまと同じデュトア盤をエントリーされています。


コメント (6)
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セル&ベルリンフィルのシューマン:交響曲第2番他

2005-07-30 | CDの試聴記
地震の後は台風、台風のあとは猛暑です。今週も水曜から木曜にかけて一泊で大阪出張でしたが、故郷大阪もさすがに暑かった!
でも、今回の出張では往復の新幹線の車中以外にホテルでも時間がとれたので、セル&ベルリンフィルのライブ盤等気になっていたアルバムを集中的に聴くことができました。
特にシューマンの交響曲第2番については、今回のベルリンフィルとのライブ盤とあわせて、セルが残してくれた他の2組の演奏と聴き比べができたことが大きな収穫でした。

セルが得意としたシューマンの交響曲第2番といえば、手兵クリーブランドオーケストラとの2種類の録音が有名で、いずれも名演の誉れ高いものです。版の問題は別にして、安定感・緻密さで一頭地を抜く60年のスタジオ録音盤も見事ですが、57年のルガーノライブは私にとってのベストチョイスです。
ライブならではの即興性とフレージングの透徹した美しさ、第二楽章あるいはフィナーレに見られる信じがたいほどのスピード感、それを支える一糸乱れることのない奇跡的なアンサンブル。オーケストラ演奏のひとつの極致といっても過言ではありません。

さて、今回のベルリンフィルとのライブ盤。
乱暴に言ってしまうと、スタジオ録音盤とルガーノライブ盤の中間に位置付けられる演奏です。
ルガーノライブほどの白熱感はありませんが、ベルリンフィルとの他流試合(ライブ)であることを思い知らされる緊張感、ベルリンフィルの合奏能力の高さ、手兵でなくともしっかりそのフレージングに記されたセルの刻印によって、新たな魅力を持った素晴らしい演奏が誕生しました。

<曲目>
・ブラームス:悲劇的序曲 作品81
・R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』作品20
・シューマン:交響曲第2番ハ長調 作品61

<演奏>
ジョージ・セル(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ミシェル・シュヴァルベ(Vn)

<録音>
1969年6月26日、ベルリン、フィルハーモニーザールでのライヴ

シューマンの交響曲第2番を聴くときいつも思い出すのは、1990年にバーンスタインがPMFで若き音楽家たちに教えた「ザ・リハーサル」というビデオです。それは本当に素晴らしいリハーサル(=レッスン)でした。

第一楽章、バーンスタインが教えていた主題の表現、「ダッパパーン」という感じがいとも簡単に完璧に再現されています。また、ベルリンフィルの音について、クリーブランドオーケストラと比べて力強さと色調の強さを感じました。
第二楽章は、素晴らしいテンポでかつ水際立ったアンサンブル。その上力強さも十分です。ハイドンのロンドンシンフォニーの面影をかすかに聴きながら最後まで疾走するさまは見事としか言いようがありません。さすがにベルリンフィルです。しかし、それでもルガーノライブ盤における鬼気迫る奇跡的な演奏には、ちょっと及ばないかなぁ・・・。(何と贅沢な感想!)
第三楽章、これは本当に美しい演奏です。この楽章のテーマは、シューマンの書いた最も美しい旋律のひとつだと思いますが、バーンスタインがメンバーの目を見つめながら語りかけていた「ブラームスがシューマンから学んだ、素晴らしいウィーンの伝統・・・」という言葉が、現実感をもって迫ってきます。モーツァルトのオペラ「魔笛」の「試練の場の音楽」によく似た中間部のフーガに続く、オーボエとクラリネットの表情の見事なこと。言葉もありません。
フィナーレは、陽気に力強くエンディングめがけて突っ走ります。この輝かしさはやはりベルリンフィルの持ち味でしょう。
細かなフレージング・アーティキュレーションの徹底という点(つまり室内楽的な美しさ)では、さすがにクリーブランドオーケストラに及びませんが、輝かしさという点でベルリンフィルは勝っていると思いました。

今回の演奏をきいて強く思ったことは、オケの個性がこれだけ違うにもかかわらず、その演奏にはセルという音楽家の共通の刻印がしっかり押されていることです。おそらく長くはとれなかったであろうリハーサル時間を想像すると、セルの指揮者としての力量はやはり驚異的なレベルに達していたんですね。
このライブ録音の1年後に初来日を果たして多くの聴衆に感動を与えながら、帰国してまもなく他界してしまったセル。
真に偉大なマエストロでした。





コメント (4)
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