厚労省の抗体検査結果に疑問符！？

時事通信 2020年 6/16(火) 9:18配信 によると、厚生労働省は16日、新型コロナウイルスへの感染歴を調べる抗体検査を行った結果、陽性率（保有率）が東京都で 0．10％、大阪府は 0．17％、宮城県は0．03％だったと発表しました。感染者が多い東京・大阪と、少ない宮城で今月1～7日に、東京1971人、大阪2970人、宮城3009人の計7950人を対象に検査した結果、東京で2人、大阪で5人、宮城で1人に抗体があった。

とのことです。検査実施は良いことですが、東京と大阪の大きな差異がちょっと不思議で、比較表を作ってみました。

　　　　　　　　　 　　　東京 　　　　  大阪
人口  (2020.04.01、人) 　　13,982,622 　　8,825,982
抗体保有率 (感染経験率) 　　 0.10% 　　　　0.17%
感染者数 (推計、人) 　　　　13,983 　　　 15,004
確認感染者数 (6/6時点) 　　　5,369 　　　　1,784
感染者倍率 (推計数/確認数)   　 2.6 　　　　　8.4
感染死亡者 (6/6時点) 　　　　 311 　　　　　 84

確認感染者死亡率 (致死率) 　 5.79 　　　　　4.71
推計感染者死亡率 (致死率) 　 2.22 　　　　   0.56

 

東京ではここ数日、ホストクラブなどで19人、20人という新規感染者が見つかり、しかもそのほとんどが無症状だそうです。感染者が見つかった店舗を積極的に集団検査したから感染者数が増えたというのですが、それなら 「感染者倍率  (推計数/確認数)  」 が20倍とは言わなくても、たった 2.6倍というのは不思議です。大阪で 8.4倍ですから、東京はあまりに低すぎます。東京の推計感染者数が少ないために、推計感染者死亡率 (致死率) では東京 2.22%、大阪 0.56%と4倍もの格差が出来ています。死亡者が数人とかなら誤差が大きくなる可能性がありますが、そうではありません。東京が大阪と同じ致死率なら、東京の死亡者はわずか 78人にとどまるはずで、実数は 233人も多くなっています。この差はあまりに大きすぎ、いくつか大きな集団感染があったとしても説明できません。

同じ日本でこんなことがありうるでしょうか。これは、まだ何か重要な要素が分っていない、ということでしょう。今回の抗体検査で把握できない感染経験があり、感染経験率がもっとかなり高い、ということも考えられます。

もっともっと、科学的に新型コロナの性質を明らかにしてほしいと思います。それによって初めて、全国民一律とかではない本当に的確な対策が取れるはずです。

 

(追伸　6/17  8:05)

毎日新聞 2020年6/17朝刊によると、この抗体検査の対象者は、東京は住民台帳からの抽出、大阪は独自運営の健康アプリで募集、宮城は対象市町村に依頼、とバラバラだとのこと。また陽性の判定は、使用したアボット社・ロシュ社・モコバイオ社の３社の機器のうち、米FDAの認可を得ているアボット社・ロシュ社２社の両方で陽性となったものだけを陽性と判定したとのことです。これでは各社単独の数字より、かなり数字が低く出てしまう可能性があるのではないでしょうか。陽性判定の閾値をどう設定したのか、甘くしたのか厳しくしたのかも分かりません。モコバイオ社の機器では10倍の 1.07%が陽性だったとのことですが、未承認のためオミットしたそうです。それならなんで検査に使用したのでしょう。無駄ガネではありませんか。実際は数字が高く出たから除外したのではありませんか？

どうも粗雑な調査で、抗体保持率 0.1%　といわれても信頼が置けません。国内はもちろん国際的な比較も困難です。厚労省はなぜこのような、調査対象のバラツキを放置し、陽性判定基準を厳しくしたのか。これではデータとして使いづらく、経費の無駄遣いになりかねません。準備する時間は十分あったはず。言いにくいですが、調査の仕方さえも分かっていないのでしょうか。

国費を使い、コロナの実態を把握し、感染予防に役立て、国民の健康保持を図るという目的を自覚していないのでしょうか。こんなでたらめな調査を麗々しく政府が発表する。手法も内容も怪しいのに誰も気が付かない。こんなことで大丈夫ですか、ニッポンは ？？？