私魚人(あいうおんちゅ)~定年親父の魚三昧:タナゴ仕掛けとガサで出会った魚たち~

50年続けた魚遊び。胴長ガサガサもしんどい。ならば釣りだ!野遊びだ!タナゴから珍魚・駄魚釣りへ!地元の生き物探しへ!

ミゾカクシとサワギキョウ:Lobelia属の2種

2022-12-20 10:38:34 | 植物
2022年12月20日(火)

ミゾカクシ Lobelia chinensis

20221009  15mmほど

薄桃色の小さな花。
完全無農薬・有機肥料の田んぼ調査を手伝ったとき、畔から日寄せにかけてびっしり咲いていた。
風変わりな可憐な花だ。
ただ、見た覚えがない花だったから、とりあえず記録して・・・


帰宅後、調べた。
キキョウ科ミゾカクシ属の植物で、和名は、溝を隠すほど茂ることから「溝隠」。
また、田んぼの畦に筵を敷いたように生えるからアゼムシロ(畦筵)という別名があるそうだ。


ミゾカクシでもアゼムシロでも
名の由来からは、水田の雑草として「やっかいな植物」「価値のない植物」であったことがうかがえる。
だからだろうか?
私の近辺の田んぼや湿地では、まったく見たことがなくて、やたらと外来種ばかりがはびこっている。

ただ、利尿作用のある漢方薬として今でも使われているそうだから、人への価値はあるみたいだ。

サワギキョウ Lobelia sessilifolia

20220920 40mmほど

濃い紫色のよく目立つ花。
しっかり管理されたビオトープの湿地帯のあちこちに咲いていて

標識板も立ててあるから、名前は調べることもなく・・・

キキョウ科ミゾカクシ属の美しい山野草として、大切にされているみたい。
栽培して楽しんでいることも多いみたい。
ただし、強毒性のアルカロイドを含む有毒植物らしいから、鑑賞する以外人の役には立たないかも?

で、ミゾカクシを調べた後、気づいた。
「どちらもミゾカクシ(Lobelia)属じゃないか」
「たしかに花のつくりはよく似ている」
「それなのに、扱われ方のこの大きな違いは何だ?」

つくづく人間という生き物の得手勝手な都合、利己的な側面・価値観をあらためて思い知らされる。
こうして、魚も虫も鳥も花も・・・
「無価値」「やっかい」「よく知らない」という一般論のもと、絶滅の坂道をどんどん転び落ちている。
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クルメサヨリ Hyporhamphus intermedius :釣査267種目

2022-12-18 09:40:06 | 周縁魚
2022年12月18日(日)

クルメサヨリ Hyporhamphus intermedius

20221128  体長15cmほど

「クルメサヨリ、今来ていますよ」と、会合で親しい研究者さんから情報をいただいた。
そこで、潮を確かめ、この日いつものタナゴ竿・仕掛けで出かけた。

汽水域の水面に、確かに小さなサヨリたちが見えた。
基本、まき餌はしない。
海を汚すし、大量に釣る気もないから。
エサもスーパーのバナエイエビ1尾(単価20円ほど)を小さく小さく切って、タナゴ針につける。

2尾釣り落とした後(のませたくないので早合わせ)
1時間ほどかかって、ようやく釣り上げた。


環境省レッドリストの準絶滅危惧種なのである。
もともと本州・九州・朝鮮半島・台湾・ベトナムなどの内湾や河川河口と下流域に広く分布する。


けれども生息域の干拓、河口堰、護岸などなどですっかり数を減らしているようだ。

川を遡ることはあっても人為的影響を受けやすい汽水域で一生を過ごすからである。

タナゴ竿・仕掛けとバナエイエビの欠片で釣るのには、ちょっとしたコツがいる。
そのコツは小さなサヨリの群れで慣れていたから割と簡単だったけれど
初めて釣るわけだから、群れが散らないでくれと祈りながら・・・


観察ケースでようやく落ち着いてくれたけれど
水の汚れと、やはり平常心じゃなかったんだろう、撮影がうまくできていない。
悔しい。

何せタナゴ竿・仕掛けで釣った267種目なのだから。

1尾釣って撮影を済ませ、そっと海へと放ったら、少し気楽になって
180cmタナゴ竿で、私が3尾・かみさんが2尾。


まとめて撮影

撮影ケースが20cmだから、成長しても20cmほどと、サヨリよりも小さいことが伝わるかな?

さて、サヨリと区別をつけてみる。
体の太さとか大きさとかは、栄養状態や成長度合いで変わるから、ポイントは長くのびた下吻。


はっきりした画像でみてみると


下吻の先端はのようにどの個体も黒い。

(上吻先端経~鰓蓋端)の長さが
b(下吻)よりも明確に短い。

サヨリだと

下吻先端付近は赤く、下吻も短いでしょ?

同じサヨリ属でよく似ているけれど、全然違う魚なのである。
おそらく数十年前は、私の町の河口域にも生息していたはず・・・
そう思うと、釣って紹介できる嬉しさと同時に、少し悲しくなってしまった。

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イダテンチャタテ Idatenopsocus orientalis :初冬の兆し

2022-12-16 10:08:50 | セミ・ヨコバイ・ウンカなどの仲間
2022年12月16日(金)

イダテンチャタテ Idatenopsocus orientalis

20221203 5mmほど

この日、近くの神社周りを散歩していて出会った。
カジリムシ目という小さな虫たちの中では、大きくよく目立つ連中だ。
そして、今冬初の出会いに感謝した。

というのも、この日散歩で出会った連中が

不明なコバエ? 3mmほど

ハエの仲間は、私のような素人が買う図鑑にはほとんど載ってないし、ネット検索してもヒットしないまま・・・

不明な寄生バチ? 4mmほど(産卵管を除いて)


まるでアリのような姿・形なのだけれど、長い産卵管が見えるからね。
アリガタバチとかコマユバチとか、いろいろ調べてこれまたわからない。


さらに、数年ぶりにまたコイツに出会って・・・
蛾のさなぎ? 柵長30mm


以前は中身のない檻状の黒線だけだったから、全然わからないままだったけれど
今回は、中に蛹様の黒っぽい殻があり、羽化したような穴も見えるから一歩前進だ。


蛾の仲間なんだろうと、勝手に想像しつつ・・・
「どのようにこの黒い檻をつくるんだろう?」とか、わからないことだらけ。

調べるとっかかりもなく、わからないことばかりが溜まっていく散歩はすっきりしないな。
そう思っていた時、祠の壁にイダテンチャタテがいてくれて

とてもほっとした。

ちなみに、チャタテムシは茶立虫と書く。
障子にとまって動く時のかすかな音が、「お茶をたてるときの音」に似ていると昔の人は思ったらしい。
けれども屋外でそんな音はまったく聞こえなくて、私にはピンとこない名前だ。
さらに、俳句では秋の季語になっていることも、私にはピンとこない。
私の地域では、どちらかというと「ずっと冬の間姿を見せてくれる虫」だから。
何より今の時代、チャタテムシを知らない人の方がはるかに多いだろうしね。
チャタテムシ自体も季語とともに現代では駆除・排除の対象物となっていくのだろうか?
独特なスタイルも和名もお気に入りの虫なのだけれど・・・

かくいう私も、コイツは1年前までよくわからない虫だったし、いつか今日載せた不明虫たちもわかる日がくるかもしれない。
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ゴイサギ Nycticorax nycticorax :ゴイは五位

2022-12-14 09:17:53 | 鳥類
202212月14日(水)

ゴイサギ Nycticorax nycticorax

20221212  60cmほど

一昨日かみさんと散歩中、近くにある小さなため池はすっかり冬干しされていて
先に歩くかみさんに驚いたのかバサッと池中央に飛び出してきた。
「ゴイサギだっ!」

夜行性だから寝ぼけナマコで飛び出したのかもしれない。
羽の色や頭にちょんとでている白い飾り羽から4年は生きている成鳥だ。

2か月半ほど前のこと、市内ではまだ生物多様性の残る数少ないため池で

20220930
遠くのアシ原にいた鳥を少し変わったアオサギだと思って撮影していた。

すぐにアシ原の奥へススッと入っていったから変だと思いつつ・・・


帰宅後、画像を拡大して・・・目が赤いじゃないかっ!

ならばゴイサギではないかっ!
と、買い物の度にこのため池へ立ち寄って散歩してきたのだけれど、会えぬまま。

まさか同じ町内の干からびた視界のひらけたため池にいるなんて!

逆光だから少しずつ回り込む。


読んでくださる方々には、似たような画像が続くだけだから
調べたうんちくを書き連ねながら進めると


ゴイサギは美味しい鳥だったみたいで
『平家物語』には、天皇の命令に従って素直に捕らえられたことから「正五位」という位を与えられたと、記されているそうだ。
だから、漢字で『五位鷺』と書く。

ついでに、律令制における「正五位」について調べてみた。
古く聖徳太子の時代の「冠位十二階」の色でいうと「青または薄い青」にあたるらしい。
だから、ゴイサギの背面の濃青灰色・羽の薄青色と合致しているな。


(気づかれたのか頭を下げ、少し目つきが鋭くなった)

また、平家物語での「正五位」では、身内の貴族たちで「四位」までを占め
「五位」からは身内以外の一般的な人々の貢献度で位付けしているようだった。


このように、ゴイサギは位の高い鳥として扱われてきているみたいだ。
それは、明治時代にも続いていて・・・
例えば、明治天皇から「正五位」を与えられた人物の中に『野口英世』がいた!

ゴイサギと野口英世が同じ位置づけにあるなんて・・・
それは、今でも紫綬褒章とか社会貢献など長く続けられてきた方々に贈られる形で残っているからね。

(やっと順光へ回り込んだ)

ま、低くしっかりしゃがまないと


高く遠くへ飛(跳)べないことは、鳥も人も同じだな。

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イソガニ Hemigrapsus sanguineus ♂ :釣査266種目

2022-12-12 10:17:53 | 昆虫以外の節足動物
2022年12月12日(月)

イソガニ Hemigrapsus sanguineus

20221211 甲長45mmほど

昨日、知人と2つの目的で釣りへ。
その目的が果たせない時のために、イシゴカイ100円分も買っておいた。
結果、目的は2つとも果たせないまま・・・
生き物との出会いは本当に一期一会、偶然を重ねて必然に変えていくしかない。

イシゴカイにエサを変え、タナゴ竿・仕掛けで釣れたのは
タケノコメバル10数匹(帰宅後から揚げにして美味!)
ヒイラギ・シモフリシマハゼ・ウロハゼ
そして、このイソガニだった。
釣れてすぐ波止へ落ちたから、あわててタッパーへ入れ撮影した。

少し落ち着いてから観察ケースで確認しながら撮影した。

イソガニの仲間は種類も多く、どれもよく似ているから。

ま、甲表面の模様と大きさからほぼイソガニでいいのだけれど・・・
行きつけの海ではケフサイソガニやヒライソガニばかりで、イソガニを釣った覚えがなかったし・・・


はさみの隙間も狭く、関節部に白い柔らそうな袋もある。


帰宅後、ネット検索してもイソガニの♂で間違いない。
イソガニの体色は「個体間で大きな模様の変異はない」とも書かれていたし・・・

ということで、タナゴ竿・仕掛けで釣った266種目となったのであった。

西太平洋地域に広く分布していて、船舶による物流の際のバラスト水によって東太平洋地域へ移入され
外来種として定着しているらしいから、結構タフなカニだと思われるのだが・・・
私の感覚にすぎないが、他のイソガニ類よりも水質の悪化に弱い気がする。

こうして、本来の目的を達成しようと励みつつ果たせないまま。
だけれど、新たな生き物を釣るという出会いはあった一日だった。
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